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"新"資本主義時代

少し前、京都の飲食店佰食屋のオーナー中村朱美さんの「売り上げを減らそう」という著書が話題になりました。
佰食屋では、1日に提供する商品を3メニュー100食限定とすることで、残業を無くし、余計な在庫を持たないことで経営を維持させながら、オーナーも従業員も生活に十分な収入を確保し、従業員の健全な働き方、健全な店舗経営も実現しているという、いわば、資本主義社会では当然の常識とされている"売上至上主義"に逆行するスタイルで経営を安定させているというお話。

一方、「社会に価値を提供し、従業員も企業もハッピーになろう」という、最近国内企業でも注目されているCSV(Creating Shared Value)という概念。
残念ながら、日本企業においては今なおCSR、つまり社会に対する企業の責任として、一種のポジション担保的な意識が先行しているものの、国連がSDG'sを提唱するようになってから、少しずつ企業・人の意識価値観が変容しつつあるようにも思えます。

また、富豪ビジネスマン出身のドナルド・トランプ氏が退き、社会保障の充実や環境保全を善と主張するジョン・バイデン氏が世界を牽引する米国の大統領に選ばれたことを見ても、どうやら世界では、民主主義的な意識がこの時代に及んで定着しはじめているように思えてなりません。
(念の為付け加えておくと、変なデモを湧き起こすような一部の日本の左翼的集団の存在はまた別のジャンルの話だと僕は思っています。この話はここでは割愛しますが。)

さて、今日の本題は"脱"資本主義。
そもそも、限りなくお金を儲けることを求め続けることが果たして善であるのか?皆さんも一度は考えたことがあるでしょう。

しかしそもそもお金って何でしょう?
お金には様々な側面がありますが、その最たるものは「安心の指標」ではないかと思います。
言わずもがな、現代社会を生きていくうえでお金は必要です。
お金がなければ衣食住も満たされないし、子供に良い教育を受けさせてあげることもできない惨めな生活を強いられる危険性もあります。
だからお金は必要。当然です。

そのうえで多くの人は"労働の対価"として所属先の企業や組織から給与という形で受け取り、生活に必要なモノ・コトを入手するための支出として消費していきます。
労働者は、生活のために貯金がたくさんあったほうが良いし、企業も何らかの危機に備えて、内部留保を多く持つことで安心を担保しているのが当たり前の常識。

しかしそれは、"従来の資本主義社会の制度前提のあり方"であるということを、今一度認識すべきではないでしょうか?
何言ってんだコイツ・・・?と思われるかもしれません。
いや、僕も何言ってんだ俺?とちょっと思いました。

もう一つ上の次元の話をしましょう。
では、人間が生きていく上で一番求められることは?
諸論あるでしょうが、抽象度を高めていった先には「幸せに生活すること」だと思います。
幸せになりたくない人など、この世に存在しませんよね?
そう考えれば、お金とは単にその手段にすぎないはずです。

それなのに、幸せを実現させるはずのためのお金のせいで苦しんでいる人が世の中にどんなに多いことか。

そんな矛盾に今こを目を向けるべきではないか?と僕は思うわけです。

ではどうすればよいのか?


・どんな生活をしたいのか
・そのためにいくら必要なのか
・その収入を担保するためにどんな働き方をすべきなのか

を定義すること。

「でも、もしかしたら怪我や病気で働けなくなるかもしれないし・・・」
→じゃあ生活支出に保険代も入れておけばいいじゃない。

「子供の教育にいくらかかるかわからないし・・・」
→毎晩遅くまで身を粉にして働いて学費を稼ぐのと、毎日子供と対話すること、どっちが大事ですか?
お金をかけないと本当にいい教育はできない?高校無償化も進んでるよ。

「いや家のローンが・・・」
→売却益でローンを完済できるタイミングで売って賃貸に転居じゃだめですか?

ある論によれば、日本人は年収700万円が幸福の頂点で、そこを越えるといくら稼いでも幸福を感じないというデータもあります。
僕自身も、経営という世界にいる中で、不幸な金持ちを何人も見てきたのは事実。

場所を選ばずに仕事ができる時代になった今、地方に出れば、東京の半分近くのコストで生活できます。
不動産価値が上がらない現代の日本で、定年後まで払い続けなければならないローンを組んでまで、家やマンションを持つべきでしょうか?
時々車が必要なら、カーシェアリングサービスも充実しています。

・どんな生活をしたいのか
・そのためにいくら必要なのか
・その収入を担保するためにどんな働き方をすべきなのか

たくさん稼いで豪勢な生活をしたいという考えもあっていいと思います。
(これをモチベーションに成果をあげるひともたくさんいます。)
だけど、"幸せ"という最低限にして最高の概念を実現させるために本当に必要な物って何なのでしょうか?

改めて問い直してみると、今の/これからの世の中で物心ともに豊かな生き方が実現できるかもしれません。




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