【子育て】「子育ての常識」は時代で変わる
先日、母が言っていました。
ー60年前は『きっちり3時間おきに授乳』とか、『泣いても抱っこせずに放っておけ』とか、『添い寝はダメ』とか育児書に書いてあったよー
現代とはかなり違いますね。
私が生まれたのは約60年前の1964年です。1964年頃に読まれていた育児書って何でしょう?
有名な『スポック博士の育児書』が日本語に翻訳されて出版されたのは、1966年。これは違いますね。
もう一つ有名な松田道雄さんの『育児の百科』は1967年発刊。これも違いますね。
仕方がないのでChat GPTさんに「1964年に読まれていた育児書は何?」と質問してみたら、「1964年に読まれていた育児書は、「小児必用養育草」という書籍です。江戸時代に書かれた日本初の育児書です」と出てきました。いやいや、いくら何でもそれは読んでない。
で、もうちょっと別の角度から調べてみました。すると「母子手帳」が浮かび上がってきました。
「母子手帳」の中に、「育児の心得」という項目があり、その内容が時代によって変わっていくのです。
しかも、1964年から、「母子手帳副読本」が作成・配布されています。
母が言う育児書ってこれのことかな?
「母子手帳」は、1941年に、国が妊婦や出産数を把握するために作られたものだそうです。配給時にも活用するしくみになっていたため、「妊娠したら届け出て母子手帳をもらう」という制度はすぐに浸透したとのこと。
1945年に終戦を迎えます。
アメリカでは高度経済成長に入り、これまで家にいて、家事や育児を担っていた女性の労働力が必要となります。
『スポック博士の育児書』は、そのような社会の要請に合うものである必要があったので、「厳格に授乳時間を決める」「添い寝禁止」「泣いても放っておく」という育児法が記載されることになったようです。
そして、「スポック博士の育児書」は時代に合わせて修正を繰り返されていくことになります。
一方、日本では、1950年に母子手帳の第一次改正が行われます。
この改正ではじめて、「育児の心得」の項目が入りました。そこには、
3時間おきの授乳
泣いても放っておく
添い寝の禁止
が、記載されています。
アメリカ式の育児が導入されたということでしょう。
日本も高度経済成長時代に入り、「核家族化」も進みます。
それまでは大家族の中で育っていた赤ちゃんですが、核家族化により、育児がお母さんひとりに任されてしまいます。
その時代はスマホもないし、「たまごクラブ」みたいな雑誌もありません。
育児についての情報は、「母子手帳」や「副読本」から得るしかない人も多かったことでしょう。
この時代のお母さんたち、情報を得るのも難しい中で、ひとりで必死に頑張っておられたんだろうなぁと思います。
1966年になると、母子手帳の「育児の心得」から、上の3項目がシレっと消されています。「これはよくない」という研究が進んできたのでしょうか。
確かに1967年発刊の松田道雄先生の『育児の百科』は、「赤ちゃんは一人一人違うので、育児書通りにならなくても気にする必要はない」というスタンスで書かれています。
「母子手帳」からは3項目が消されましたが、「副読本」の方は、1985年にようやく改訂されます。
科学の発展や社会状況に応じて、「育児」についての考え方や発信もいろいろに変わってきたんですね。
今は、「心身の発達や愛着形成のため、抱っこやスキンシップが大切」と言われますよね。
また最近では、「行動遺伝学」も注目を集めていますね。「親の育て方より遺伝」という…。
今の育児の常識も、しばらくするとまた変わるかもしれません。
わけがわからなくなってきましたので、
「育てたようには子は育たない」
「一生懸命育ててたらそれで良しとしよう」
「いろいろ気に病むのはやめよう」
ということで、締めたいと思います👍
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