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震災時のボランティアと消防士の活動の違いについて

豪雨災害や津波など、日本では毎年のように各地で災害が起きており、災害の規模が大きいものを震災と呼んでいます。

震災時の消防士の活動は、基本的に人命救助です。

人命救助の際は、「72時間の壁」と呼ばれる人命救助のタイムリミットがあり、震災後から3日以内に助け出さないと生存率が著しく低下すると言われています。

なので、消防士は、震災後直ちに活動し、人命救助を行う必要があるのです。

では、震災後から3日後は何をしているのか?

実は、非常にグレーで、繊細な問題があります。
それは、限りなく人命救助の可能性は0だけど、ある一定期間(震災の規模が大きければ数ヶ月)は活動していることです。

例えば、震災による瓦礫の撤去。
人命救助という点であれば、生存の可能性がある人のために、瓦礫の撤去を行います。

しかし、震災から3日後は、生存の可能性は著しく低いので、語弊があるかもしれませんが、ご遺体捜索となります。

実は消防士の任務に、ご遺体捜索はありません。

消防士の基本的は活動の概念は、「国民の生命、身体及び財産を災害から守ること」であるからです。

では、なぜ震災から数ヶ月も活動する場合があるのか?

それは、行政サービスの一環だと言われています。
困った人がいれば助ける、という考えるです。

ですが、これは本来の消防士の業務ではないわけです。

そんなわけで、実は1番難しいのが、震災における活動の辞め時なのです。

例えば、震災があって、行方不明者がまだいる状態で、いつ消防士としての活動を終えるのか?

もちろん、全員が見つかるまでが理想ですが、それも困難となった場合は、非常に難しい問題となるわけです。


さて、本題に戻りまして、震災時のボランティアと消防士の活動の違いについてですが、瓦礫撤去等においては、震災からある一定期間が経過した後はほとんど同じ活動です。

ただ、目的が違うだけです。

消防士の活動の目的は、ご遺体捜索(形式上は人命救助)です。
ボランティア活動の目的は、主に清掃となります。


ここで、私が感じている違和感を話させてください。

消防士は、仕事なのでお金をもらえます。しかも、ほとんどが時間外対応なので、結構なお金をもらっています。

ボランティアの方は、お金をもらえないどころか、仕事を休んだり、遠方からの交通費などで、むしろ金銭的にはマイナスです。

なんで活動内容は同じなのに、お金の面でこんなにも違うのかということです。

だから、私の持論としては、「震災から3日間経過後は消防士としての活動は終了。それ以降は、したい人がいればボランティアで行う」ということです。

公表されていないと思うのですが、震災が起きた後の消防士に対する人件費は、皆さんの想像をはるかに超えているかと思います。

震災があれば、各地から寄附金が集まります。
それは、被災地がお金が必要だからです。

消防士は、ボランティアと同じ活動なのに、多額のお金を費やしていることが、本当に行政サービスの一環なのか、と思うのです。

お金が必要な被災地の皆様のために、多額なお金を使ってボランティアの方と同じことをする消防士は、被災地の皆様のためになるのでしょうか。


私は偏見の塊かもしれませんが、私は震災があれば、寄附やボランティアに行きます。

しかし、消防士の同僚や上司なので、「寄附したよ」「ボランティア行ってきたよ」なんて、ほぼ聞いたことがありません。

なぜなら、仕事で瓦礫撤去等をして、良いことをしたと満足してしまっているからだと思います。

本当にびっくりするくらい、震災後の消防士に対する労いの言葉は多く寄せられます。

でも、消防士はあくまで仕事として活動しているだけです。
それなのに、感謝ばかりされます。


ぶっちゃけた話しですが、私が消防士として、震災後の活動で現場に行く時は別として、消防署で待機している際も時間外対応です。

しかも、震災後は待機の時間の方が長いです。
なぜなら、隊員の数をどれだけ集めようと、現場で活動するための消防車の数は限られているからです。

そして、震災等のイレギュラーな場合、時間外の計算もややこしいため、時間外対応中にみんなで時間外の計算をしていることもありました。

私はそんな時、これを一般の方が知ったり、またはボランティアの方が知ったらどう思うのだろうと思いました。

だから、私は震災後の時間外で得たお金の一部は寄附しなくてはならないと感じたことを覚えています。

一方で、私がボランティアに行った時に出会ったボランティアの方々の熱意や情熱には、めちゃくちゃ感動しました。

それなのに、「消防士さんなんですね。仕事で大変なのに素晴らしいですね」なんて言われたことがあったが、「いやいや、あなたの方が何倍も素晴らしいです」と行ったのを覚えています。

だって、わざわざ仕事を休んで、無給のボランティアに、遠くからわざわざ来てくださって、普段なかなか身体を動かせないだろう人達が、汗水たらして頑張っている姿を見て感動しないわけがありません。


結局、何が言いたいかというと、

震災後に仕事で活動する消防士より、ボランティアに行かれる方々の方が100倍素晴らしい、ということです。

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