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留学生紹介 Binaさん ~安心と不自由に囲まれた日本で~(Vol.2)

今回お話を伺ったのは留学生のBinaさん(以下ビナさん)。
一橋大学法学部を経て、一橋大学国際・公共政策大学院(以下IPP)のグローバルガバナンスコースに進学され、現在IPP在学1年目に当たります。
ご家族の都合で幼少期をイランや日本、オーストラリアなど様々な地域で過ごし、大学進学を機に再び来日したビナさん。
Vol.1からVol.3に分けてお届けする今回のインタビュー、Vol.1では国際経験豊富なビナさんの生い立ちや現在の音楽活動、Vol.2では日本と世界の文化や仕事観の違い、Vol.3では国際政治のお話を伺いました。(取材は7月に行っております)
 
この記事ではVol.2をお届けします!


1.「おいくつですか」に見る日本文化


槇尾)日本と他国との文化の違いで何か感じることはありますか?
 
Bina)文化の違いで日本に関して思いついたことは上下関係ですかね。
 
槇尾)と言いますと?
 
Bina)大学では先輩後輩、1年2年3年…、あと社会人でも入社何年目という形で上下関係がありますよね。大人同士で会う時も最初に「何歳?」って聞かれるじゃないですか。
 
槇尾)聞きますね。日本人からしたら「おいくつですか?」、あと「どこ出身ですか?」と聞くことは普通の感覚な気がします。
 
Bina)そうですよね。日本人が相手に年齢を聞くのは、相手が自分より年上か下か分かりたいからが多いじゃないですか。この人に対しては「ですます調」で話さなくてはいけないとか。
 
槇尾)わかります。同い年感覚で話した人が年齢聞いたら年上で、気まずくなることとかあるあるです笑
 
Bina)ですよね笑 でも例えばイランの大学だと、1年生が4年生に対して先輩という感覚はなくて、1年生同士が話すときも、1年生と4年生が話すときも接し方の違いは全くないです。同じ大学で同じ学部の人同士という感覚だと思います。大人同士でもほとんど年齢を聞くことはないんですよ。
 
槇尾)自分からしたら相手の年齢を知らないとザワザワしちゃいます。笑
 
Bina)全然感覚が違いますよね。笑 イランに限らず他の国では、だいたい年齢に基づく上下関係がないんですよね。それでもイランは中東の文化で、ヨーロッパとかと比べると年上リスペクトの文化はあります。でも日本に来て、1年2年…とすごく細かい上下関係があるなと感じました。
 
槇尾)1歳差でも全然違いますもんね。
 
Bina)そうですよね。それはおもしろい文化の違いの気づきでした。
 
また出身の話でも、海外では最初に聞くことはあんまりなくて、例えばアメリカなら失礼と捉えられることもあるかもしれないです。アメリカは移民の国だから、見た目はアジア系でもずっとアメリカで育ったという子もいて、その子に出身を聞くことは、お前は外から来た人だ、と伝わっちゃうかもしれないんですよね。聞いちゃいけないということじゃなくて、最初には聞かないという感じですね。
 
槇尾)日本で外国の方と話すとき以外にも、私たちが外国に行った時も気を付けるべきことですね。勉強になります!
 
2.会社名を答える日本と仕事内容を答えるイラン
Bina)文化とは少し違いますが、日本は就活においても独特だと思います。みんな大学3年生になったらエントリーシートを書き、面接を受け、採用されたら4月1日から新卒一括で仕事を始める。それで入社前は自分が具体的にどういう仕事をするようになるのかわからず、入った後に配属されてやっと仕事がわかるという感じになっていますよね。専門性も入社前から求められることは少なく、入った後に身に着けるものとなっています。
 
槇尾)その通りだと思います。私もこの方式を当たり前だと思っているのですが、やはり海外から見たら特殊なのでしょうか。
 
Bina)私の知る限りではかなり独特なスタイルだと思います。
 
槇尾)以前、留学生のジョディさんからお話を伺った時は、日本の就活は開始が早いという話題が上がったのですが、時期だけでなくやり方にも大きな違いがあるということですよね。
 
Bina)やり方も違いますね。日本では会社を見て仕事を決めるということが多く、海外では仕事内容を見て仕事を決めるという違いだと思います。そして日本で一番重視されているのは安定感ですかね。日本の会社に入ると安定するということだと思います。でも実際に給料を見てみると、私の東大の友達でも今のインフレの世界で十分な生活ができるような給料は貰えていません。それでも安定感があり、みんなそういった就活をしているという理由で会社を決めていると思います。でも外資系などの枠外に目を広げると、もっと状況の良いところはたくさんあります。経済状況が変わっていってるので、海外やベンチャーなどいろんな視点で仕事を探すのもよいと思います。
 
槇尾)日本にはいわゆる大手と呼ばれる会社があり、そういった会社に入ることが良いことみたいな風潮はありますよね。会社名で仕事を決めるといったようなことも聞きます。
 
Bina)そうですね、会社名で仕事を言うことも日本独特ですね。例えば「どこ就職したの?」という質問自体が独特です。イランであれば、「なにしているの?」という風に仕事の内容を聞く質問をすると思います。例えばデータの分析だったり、人事だったり、仕事の内容が仕事をしている会社よりも大事だと考えているからだと思います。でも日本では、内容はほぼ話さずに働いている会社名を話しますよね。これは大きな違いでおもしろいと感じました。
 
槇尾)私としても当たり前の感覚が異なることを知ることができて、すごく興味深いお話でした。お話しいただきありがとうございます。

Vol.3 に続く


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