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音楽レビュー『MINT JAMS』CASIOPEA(1982)日本を代表するフュージョンバンドの海外デビュー盤

日本を代表するフュージョンバンド

カシオペアは日本を代表する
フュージョンバンドです。

フュージョンというのは、
’70年代中盤にジャズシーンで
生まれたジャンルで、

ジャズにロックや電子音楽など、
他ジャンルの要素が加わっています。
(クロスオーバーとも言われる)

日本では’70年代後半から
’80年代にかけて、
フュージョンブームが起こり、

数々のバンドやプレイヤーが
注目されました。

なかでもカシオペアは、
その高い演奏力に定評があり、
後に続く多くのバンドに
影響を与えたバンドです。

同時代のバンドに、
スターダストレビューがいますが、

彼らはカシオペアの演奏を見て、
その演奏力の高さに感銘を受け、

インストバンドでは
太刀打ちできないことを悟り、
ボーカルバンドに移行した
という逸話もあります。

他にも有名音楽プロデューサー、
亀田誠治もカシオペアの
ファンであったことを明言していますし、

(亀田誠治:
 東京事変のメンバーであり、
 プロデューサーとして、
 椎名林檎、平井堅、スピッツなどの
 作品に携わる)

モンド・グロッソ(大沢伸一)や
海外のアーティストが
カシオペアの楽曲をサンプリングして
自身の楽曲に使用したりもしています。

レコードのためのライブ演奏

’79年にデビューしたカシオペアは、
’80年代から商業的にも成功し、

インストバンドながら、
全国ツアーを周るほどの
人気ぶりを見せました。

そんな中、ライブ演奏の素晴らしさが
海外のレコード会社の目に留まり、
ヨーロッパデビューが決まります。

当初はベスト盤が
海外デビュー盤として
発表される予定でしたが、

海外のレコード会社の担当者が
直前のカシオペアのライブ演奏を
いたく気に入り、

ライブ盤として本盤が
発表されることになりました。

ライブ盤を作る録音素材のために、
東京の中央会館にて
(現・銀座ブロッサム 中央会館)

二日間の単独ライブを行ない、
本盤はその素材をもとに
制作されたのです。

つまり、本盤は、
スタジオで手を加えることを
念頭においたライブ演奏が
されていたのですね。

密度の濃い演奏と
ドラマチックな構成力

ライブ盤というと、
会場の歓声や手拍子を含む
熱気を封じ込めたものも多いですが、

本盤は、一部の楽曲を除き、
楽器の音以外の音を排除した
ライブ盤となっています。

結果、スタジオ収録した作品並みに
純粋に演奏の音を楽しめる
作品でありながら、

ライブ演奏のパフォーマンスも
充分に発揮された稀有な音源です。

計6曲と収録曲は少なめですが、
その分、1曲ごとの密度が高く、
ドラマチックな構成もたまりません。

以下に1曲ごとの解説を書きます。

①『Take Me』
1曲目はゆったりとしたテンポ、
なごやかなメロディーが印象的です。

②『Asayake』
カシオペアの代表曲の一つ。
イントロのワクワク感がいいです。
軽やかなメロディーとリズムが
徐々にテンポアップしていきます。

③『Midnight Rendezvous』
ミステリアスなコード進行で、
このアルバムの中では唯一、
ジャズテイストが強めの楽曲です。

④『Time Limit』
イントロのシンセの音色にワクワク。
ファンキーなベースとドラムに、
ギターとシンセの
絶妙なアンサンブルが加わります。

⑤『Domino Line』
7分にもおよぶ長尺の曲で、
聴きごたえ抜群。
イントロから勇ましい
メロディーラインで掴みます。
中盤にあるベース、ドラムのソロが
めちゃくちゃかっこいいです。
(ともに1分20秒ほど)

⑥『Tears Of The Star』
これまでの演奏とは一転し、
しっとりとしたバラードです。
濡れたような音のシンセ、
ドラマチックなギターが聴きどころ。

⑦『Swear』
ゆったりとした
さわやかな南国風の楽曲です。
夏の朝にピッタリな1曲。
ラストにこれを持ってくるのも
憎い演出ですね。


【作品情報】
リリース:1982年
アーティスト:CASIOPEA
レーベル:アルファレコード

【アーティストについて】
日本のフュージョンバンド。
’77年結成。’79年デビュー。
’06年に活動を休止するも
’12年に活動を再開。
メンバーを変えながら
現在も活動している。

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