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雑誌『WIRED』との出会い(後)時代の最先端に触れる

前回の記事では、
雑誌『WIRED(ワイアード)』を
知ったのは、

『デザインの授業』
という本を読んだのが
きっかけだったと書きました。

アメリカで『WIRED』が
創刊されたのは、'93年です。

この時代は、パソコンの
表現が広がった時代でも
ありました。

今でこそ、パソコンを使って、
印刷物の紙面を作るのは、
一般的ですが、

かつては当たり前のことでは
なかったんですよね。

そういう分野のことを
「DTP(Desktop publishing)」
と言いますが、

’90年代初頭は、
その DTP の分野において、
主流となるソフトが
出そろった時代でもあるんです。

イラストが描けるソフト
「Illustrator」の
リリースが'87年、

画像の編集ができるソフト
「Photshop」の
リリースが'90年でした。

そして、『WIRED』が
創刊された時代は、

現在でも私たちが
インターネットで利用している
「WWW(World Wid Web)」が
一般に普及しはじめた頃です。

(いずれもアメリカでの話、
 これらのソフトや技術が
 日本でも広まるのは
 もう少し後のこと)

それに伴い、初期の『WIRED』の
誌面もその時代の空気感を
色濃く反映したものでした。

『デザインの授業』に
掲載されている、
それらの紙面を見た時、

私は、10代の頃から
親しみのあった、
あるものを思い出しました。

それが何かと言えば、
私が18歳の頃に
ハマりはじめた
「テクノ」だったんですね。

初期の『WIRED』の
誌面デザインは、

同じ時代のテクノの
CD のアートワークと
似た雰囲気があったんです。

例えば、私が思い出したのは、
以下に挙げるような
アートワーク群でした。

この時代のテクノの
CD のアートワークは、
音楽のタッチに合わせて、

コンピューターを
使ったデザインが
特徴的でした。

初期の『WIRED』も
当然、パソコンを使って
デザインされていたので、

なんとなく、
雰囲気が似ているんですね。

コンピューターでも
スペックが上がると、
表現力も上がって、

もっと複雑な加工ができますが、
この時代は、できることが
限られていましたから、

このように、
人工的な味わいが強い、

いかにもコンピューターっぽい
無機質なデザインが
多用されていたんですね。

アートワークも含め、
10代の頃から
テクノ好きだった私は、

やはり『WIRED』の
誌面デザインが気になって
しかたがありませんでした。

早速、書店で『WIRED』を
探してみると、

幸運なことに、
日本語版『WIRED』が
復活して間もない頃
だったんですね。

古本屋でも
過去のバックナンバーを
何冊か入手して、

『WIRED』をじっくり
読むことができました。

'90年代に発行されていた
『WIRED』は、
日本独自の記事も多く、

とにかく、誌面から
あの時代の
空気感が溢れています。

当時の最先端の
CG を使っていたり、

印刷物としても、
今の雑誌では考えられない、
豪華な蛍光インキを使っていたり、

今見ると、さすがに
古い感じもあるんですが、

今とは違った豪華さがあって、
個人的には好きなデザインでした。

2011年に復活して以降の
『WIRED』日本語版は、
割と、本家の『WIRED』に
忠実な誌面構成で、

’90年代のそれとは、
また違った、

今の時代の
最先端を見せてくれる
画期的な誌面です。

私が『WIRED』を
定期購読していたのは、
わずか2年くらい
だったと思うんですが、

この雑誌を読んでいたおかげで、
世の中に出てくるトレンドを
ちょっとだけ先取りして
知ることができました。

今では有名な
インターネットの「クラウド」、
VRゴーグルの「オキュラス」、
「ブルーボトルコーヒー」

いずれも、世の中で、
知名度が上がる前に、
雑誌で記事を読んでいたので、
知っていたんです。

こうした経験から、
雑誌というメディアも
捨てたものではないなぁ
と感じたりもしました。

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