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銃ではなくて病原菌

先週から『銃・病原菌・鉄』について、
長々と書いてきました。

そして、ここで衝撃の事実を告白します。

2年ほど前に自分が読んだ時に、
残してあったメモを見返すと、
「下巻の方は、途中から難しくて、
 理解できないところもあった」
と書いてありました。

散々、勧めてきて、
なんともお恥ずかしい話です^^;

しかし、上巻を理解するだけでも、
これだけたくさんの記事が書けるくらい、
おもしろい本なのは確かです。

これでもかなり、はしょっていますし。

そして、今日は私がこの本を読んで、
もっとも衝撃を受けた話を書きます。

個人的には、これがヨーロッパが
世界を席巻できた、
一番の理由なのではないか、
と思います。

これまでの記事にも書きましたが、
農耕・牧畜によって、
人口を増やすことができ、
社会を発展させることのできた国が、
世界の覇権を握ってきました。

こう書くと、
その国々が武力でもって、
他の地域を制圧していった
イメージが湧かないでしょうか。

私もこの本を読みはじめた時、
タイトルにもある
「銃」の部分が大きいのだろう、
と予想していました。

ところがです。

この本を読んで、
ずいぶん時間が経っているので、
多少の記憶の薄れはありますが、
この本の内容において、
「銃」のイメージは
あまり強くありませんでした。

もちろん、武力でもって、
ヨーロッパが他の地域を制圧した、
一面もあることは否定できませんが、
ヨーロッパが台頭した背景には、
実はそれ以上に大きな力が働いていたんです。

昨日の記事でも書きましたが、
15世紀末には中国が
国内で外洋航海の禁止をし、
航海技術を後退させました。

一方で、ヨーロッパの国々は、
新たな土地を獲得するべく、
航海技術を高めながら、
他の地域に進出していきます。

そうやって、
徐々に自分たちの領土を
増やしていった
ヨーロッパ諸国ですが、
彼らはほとんど手を触れるまでもなく、
他の地域を制圧することができたのです。

というのも、彼らが完全に
他の大陸や島に渡った時、
そこにいた先住民は
すでに壊滅状態だったんですね。

なぜだと思いますか。

それは何かというと、
「病気」なんです。

『銃・病原菌・鉄』の中の
「病原菌」ですね。

武力を行使するまでもなく、
先住民はバタバタと
死んでいったのです。

ヨーロッパが進出した地域での
病原菌による累積死亡率は、
50〜100%だったと
この本に書かれています。

つまり、地域によっては、
ヨーロッパが進出したことによって、
病原菌で100%の人口が
失われたところもあるということです。

これはどういうことかと言いますと、
ずっと前の記事に、
「地形的に酪農・畜産できる種類が
多い方が有利だった」
と書きましたね。

これは何もその生産力で、
人口を増やせるから、
という意味だけではなかったのです。

ヨーロッパが世界にもたらした
病原菌というのは、
ズバリ、家畜がもたらしたものなんですよ。

ヨーロッパの国々は、
家畜に向いた動物が豊富だったので、
それらに対する免疫を獲得していました。

ところが、他の大陸や島には、
それらの動物がいなかったため、
そこにいた先住民には、
免疫がなかったんですね。

そのため、ヨーロッパが、
他の地域に進出するだけで、
病原菌が蔓延してしまい、
多くの先住民が壊滅状態に
なってしまったんです。

そう考えると病原菌って、
恐ろしいですよね。

実は、私がこの本を読んだあとに、
今回の感染症の拡大がはじまりました。

ですから、私自身は、
そういった免疫が、
地域によって大きく異なるのを
知っていたのんですよね。

正直に言って、
世界的に見ると、今回の感染症による
日本国内の致死率は、
かなり低いです。

いろいろ言われていますが、
これは日本人がもともと、
免疫を持っていた
可能性が高いとも言えるんですよね。

逆に日本よりも
致死率の高い地域というのは、
免疫を持っていなかったのでしょう。

こんな風に歴史のことを知ると、
世の中の見え方が、
ちょっと変わってきます。

必ず歴史は繰り返すからです。

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