振り返れば俺がいる(52)映画について(その6)20歳の頃の映画体験『勝手にしやがれ』『カッコーの巣の上で』

――他に20歳の頃にハマった映画はありますか?

ゴダール監督の『勝手にしやがれ』(’60)を観たのも、20歳の時でした。

――フランスのヌーヴェル・ヴァーグの代表的な作品の一つですね。

はじめて観たフランス映画でした。というかね、ヌーヴェル・ヴァーグの作品はこれしか観たことがないんですけど。

これもオシャレな映画で、それまでに観たことがないようなタイプの作品でしたね。ストーリーとかではなくて、映像そのものを楽しませるタイプの映画ですよね。

今でもDVDを持っていて、サントラのCDまで買いましたね。

――『勝手にしやがれ』は、どの辺が気に入ったのでしょうか?

とにかく、いちいちかっこいいじゃないですか。セリフ回しも、音楽も、映像も。

前回紹介した『逃走迷路』(’42)も「逃げる」という点では、おんなじタイプの作品ですけど、『勝手にしやがれ』は、サスペンスじゃないんですよね。

なんだか、すごくのんびりしていて、「本当にこの人は逃げる気があるのか?」という感じで(笑)

シャンゼリゼ通りの夜景の映像は、未だに脳に焼き付いていますね。

――やはり、この頃は古い作品をよく観ていたんですね。この頃に観たもので、他に印象的だった作品はありますか?

なんと言っても、私が20歳の頃に観た映画の中で、一番外せないのは『カッコーの巣の上で』(’75)ですね。

――アカデミー賞で主要5部門を独占した名作ですね。どういう経緯でこの作品を知ったんですか?

たぶん、私が高校生くらいの頃に、この映画のことを母から聞いたんだと思うんですよね。

私が生まれる前に両親が映画館でこの映画を観たそうなんですよ。年代的にはもっと古い映画なので、両親もリアルタイムで観たわけではないんです。

本当は他の映画を目当てで映画館に行ったんだけど、思いのほか、目当ての作品がおもしろくなくて、同時上映された『カッコーの巣の上で』の方がおもしろかったので、印象に残っていたそうです。

そんな話を覚えていて、20歳の頃にレンタルビデオで、これを借りて観たんですよね。そしたら、おもしろいのなんの。

――精神病棟の話ですよね。どのあたりがおもしろかったんでしょうか?

うーん。具体的に何がおもしろいか、というと、結構難しいんですけど。

やっぱり、主演のジャック・ニコルソンの名演に尽きますね。

ジャック・ニコルソンの役どころは、精神病ではないのにそれと偽って、精神病棟にやってくる若者で。精神病棟の従順な患者たちの振る舞い、抑圧的な看護婦長の対応に反旗を翻すという内容です。

――『カッコーの巣の上で』は、アメリカン・ニューシネマの末期の作品でもありますからね。

そう、すごく反体制的な映画だったと思いますね。当時は、そんなことを知らずに観ていましたが(^^;

この映画でジャック・ニコルソンに惚れ込んで、ジャック・ニコルソンの評伝を買って読んだり。20代の頃は、彼の出演作品もずいぶん観ました。

『イージー・ライダー』(’69)

『さらば冬のかもめ』(’73)

『チャイナタウン』(’74)

『シャイニング』(’80)

『愛と追憶の日々』(’83)

『ア・フュー・グッドメン』(’92)

『恋愛小説家』(’97)

『プレッジ』(’01)

『アバウト・シュミット』(’02)

名作ばかりですね。本当、今でもジャック・ニコルソンは、一番好きな俳優なので、話すと長くなります(笑)

機会があれば、その時にたっぷりと語ることにしましょう。

(次回に続く)

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