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産業衛生分野に関わる用語の解説

今回は、産業衛生分野でのセラピーを行っていく上で必要になる用語の理解の解説を中心に記事を書いてみました。

今回の記事は、「予防と産業の理学療法 南江堂 2020」、令和2年9月に出された経済産業省ヘルスケア産業課の「健康経営の推進について」のスライドを中心にまとめさせて頂きました。詳細は、リンク先のURLをご参照ください。

健康とは

WHO憲章(1947)では「健康とは、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、単に病気がないとか虚弱でないということではない」(Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity)と述べています。

産業衛生とは

日本では明治時代に短期間で近代産業国家となり、鉄鋼業、鉱業、繊維産業などが急速に発展しました。しかし、爆発や科学汚染、長時間の過酷な労働による結核患者の増加などが原因で、大正時代に安全衛生の民間運動が盛んになり、労働者の就業時間など最低労働基準、特に女性、年少者の保護を目的に工場法が施行されました。そして国は1947年に労働安全衛生法という法律により、労働災害を防止するための危険な業務の防止基準を定めました。本法では、責任体制の明確化と自主的活動の促進など、総合的かつ計画的に対策を推進するように明記されています。本法は、職場における労働者の安全と健康を確保しながら、快適に職場環境の形成を促進することを推奨としています。事業者は自分の事業所の従業員の健康を守る義務があるということが明記されています。法律の中で明確に示されている産業衛生専門職種は、産業医および衛生管理者、労働衛生コンサルタントです。現在の日本では、保健師や看護師なども産業衛生に関わっていますが、労働安全衛生法には定められていません。当然ですが、理学療法士も同様の状況です。海外では、理学療法士が産業衛生に関わることにより腰痛などの筋骨格系障害を予防し、生産性の低下を予防することが認められているため、この領域で活動しています。

労働衛生と産業衛生とは

労働衛生とはOccupational Helthを和訳したもの。同義語として産業衛生があります。
労働衛生とは、労働者の安全と衛生を守ることを目的に対策を講じることです。具体的には労働者の心身および社会的福祉を維持、増進させ、労働者を不利な条件から保護し、作業者に適した作業環境への配置することです。
産業衛生とは、作業環境での労働者の健康を損なうリスク因子を推察、認知、評価、制御することにより、職業に起因する労働者の健康障害を回避する技術・科学とされています。
以上のことから労働衛生は広義として捉え、産業衛生は産業保健専門職者に特化した内容として捉えると分かりやすいでしょう。

健康経営・健康投資とは

健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。
健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取り組み。
企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待される。
アメリカでは1990年代頃から徐々に広がりを始め、日本においては2009年頃から大企業を中心に取り組みが始まっている。

プレゼンティーズムとアブセンティーズムとは

アブセンティーズムとは、病気や体調不良により従業員が会社を欠勤すること。
プレゼンティーズムとは、出社しているものの心身の状態の悪さから生産性(働くパフォーマンス)が低下している状態のこと。上記は、医療費、薬剤費と比較しても企業の損失額として大きいため着目されている。特に最大の損失はプレゼンティーズムであることがわかっています。

健康経営の企業価値への寄与

アメリカのジョンソンアンドジョンソンでは、健康経営に対する投資額1ドルに対して3ドル分の投資リターンがあったと報告されています。具体的には、生産性の向上、医療コストの削減、モチベーションの向上、リクルート効果、企業のイメージアップが図れたと報告されています。
◯健康経営をしている企業では離職率が低い
◯健康経営度の高い企業では、有給取得率、有給取得日数が高い傾向がある。
◯法人単位の特定健診実施率も、健保組合平均と比べ高い傾向があった。
◯就活生および就職を控えた学生をもつ親に対して、健康経営の認知度及び就職先に臨む勤務条件等についてアンケートを実施。結果として、就活生・親双方で「従業員の健康や働き方への配慮」が高い回答率であった。

まとめ

産業衛生分野で必要になる用語の解説を行いました。書籍やスライドからの引用ですが、簡易的にはまとめられたのではと思います。改めて用語の意味や法律の流れなどを知ることで、産業衛生分野での健康という観点でセラピストとしてどのように関わることが出来るのかという方法を模索していくことができればと思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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