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05: 画力がなくてもどうにかなります! 5つの要素とそのポイント

【前回】04: 主人公のキャラクターをデザインする。顔に必要なものは何? 私のキャラの裏話も。

今回は、画力に自信がなくてもココとココだけ押さえておけば充分描けます!というお話です。順番にご説明します。

できる限り「絵で!」表しましょう

コミックエッセイに描くことは、「出来事」「その時の気持ち」です。この2つを、常にセットで描き進めていきます。

絵で表せることは極力絵で表して、文字はなるべく少なく効果的に使いましょう。その方が、読む人が楽なので読まれやすくなります。

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下の例をご覧ください。右側の方が、何が起きてどう思ったか、パッ!と直感的に分かると思います。状況がすぐ分かる方が、興味を持って読み進めてもらいやすくなります。

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「絵で」表すための5つの要素

顔の表情だけでなく、動作やポーズ、フキダシの形などでも気持ちを表すことができます。5つの要素に分けてそれぞれご説明します。

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次に1〜5のそれぞれについてポイントを書きます。

1. 顔の表情

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表情を大袈裟に描くよりも、そのときの気持ちをよーく思い出してなるべく正確に描く方が、かえって表情豊かな感じに見えると思います。読み手の方は、表情の微妙な違いもしっかり受け止めてくださいます。

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表情のバリエーションを増やすために、他の人の作品を参考にするのもありだと思います。良いところをどんどん取り入れましょう。

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「自分だけのオリジナルを!」とお思いになるかもしれませんが、なかなか簡単じゃないと私は思います。私たちは皆、大なり小なり、これまでに見たり読んだりしてきたものの影響下にあるので。

自分で「これがベスト!」と思っていることも、実はただの過去の流行に過ぎないかもしれない。化石になるのが怖いので、意固地にならず、なんでもかんでも取り入れていかなければ!と思っています。

オリジナルかどうか、個性的かどうかは、人が見て感じることであって自分で判断できることではありません。だから、あまり気にしなくていいと思います。無理に個性的にしようとして変な風になってもいけないし。

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他の人の描き方などを参考にするのはいいですが、そのままひょいっと拝借するとなぜかバレます。どうしてだか、そこだけ浮いて見えます。一回飲み込んで出すような気持ちで、あくまでも自分自身の感じたことや考えたことを、よく見て正確に描きましょう。

2.体の動作と表情

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体、めっちゃ難しいですよね。私は画力があれなので、関節はもう放棄しました。

人体を正確に描くことより、気持ちを正確に描くことの方が大事だと思います。

人体の細部が正確に描かれてなくても差し支えないですが、頭と体の比率がフラフラ変わっていると、かなり下手っぽく、描き慣れてない感じに見えます。「何頭身か」を決めて守るだけでグッと画力が上がった感じに見えます。

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3.背景

次に、背景です。「背景を描かなければ!」と、そこに凄く高いハードルがあるように感じている方もおられると思います。けど、背景は全部しっかり描き込まなくても大丈夫です。押さえるべきポイントを書きます。

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画力はあるに越したことはないと私も思うのですが……なければないなりに出来事や気持ちをお伝えすることは充分可能です。

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「きちんと描かなければ!」という気持ちで無理して描き込むと、かえって退屈な画面になる気がします。もし背景などを詳しく描き込む場合は、その場所をしっかり思い浮かべて描きましょう。

4.物

物も、周囲を見渡すと沢山あって描くのが大変そうですよね。全部描かなくても、お話に関係ある物だけ描いとけば大丈夫です。

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わからないことが多いと、読んでて疲れます。「わかってくれるだろう」と投げ出さず、物を描く時は「これなら誰が見ても何の絵かわかるだろう」と思えるところまでは頑張りましょう。

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5.フキダシの形、記号、描き文字の大きさや形など

フキダシや記号などのマンガ特有の表現も、大変便利ですから使ってみましょう。量や程度はお好みで調節してください。ご自身の気持ちがより正確に伝わるように、調節なさるのが良いと思います。

フキダシの形からも気持ちは伝わります。マンガ作成アプリのデフォルトの楕円でもとりあえず用は足りますが、内容に合わせて形を工夫してみたりなどすると、より気持ちが伝わりやすくなると思います。

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真面目に描け? いいんですこれで!

物の形を正確に描こうとするのが真面目でいいことだと私は思いません。自分の気持ちや感じたことが読み手にそのまま伝わるように工夫するのが、真摯な態度だと思います。

それに、全てを正確に描ききることなんかできっこありません。自分の目で見て、だいたい不自然じゃなければそれでいいと思います。

「アルミサッシの構造がおかしい」とかマニアックないちゃもんをつけてくる人はほっておきましょう。お話に関係ないことは、描かなければいちゃもんも発生しません。適当に省いておきましょう。

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絵は上手いに越したことはないと私も思いますが、画力を追求し始めたらキリがないです。それに、ぶっちゃけ、「絵が上手ければ上手いほど読まれる」というものでもないと思います。絵が上手いかどうかよりも、面白いかどうか、つまり、読んで気持ちを動かされるかどうかの方が大事です。

拙著について、「絵が下手だ」という苦情は、意外とないです(「絵が下手w」みたいに言われることはありますが…)。「雑だ」「ごちゃごちゃして見辛い」といった苦情は、ありました(以後そのようなことがないように気をつけます!)

つまり、上手じゃなくても丁寧に、できるだけ見やすく描いてあれば大丈夫です。

「絵が上手くなってから!」などと思わずに、今の画力で、今描きたいことをお描きになるのが良いと思います。今描きたいことを描けば、それを今読みたい人がどこかにおられると思います。

【次回】06: 描くことの候補を書き出す。具対的なやり方と、書き出す時に気をつけること

お読みくださってありがとうございます!