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小説 朝陽のむこうには サバトラ猫のノア

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小学生だった僕が猫になっちゃったお話です。牧場で猫として生まれた僕には、人間だった記憶がある……。全8話をマガジンにまとめました。
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#笑顔

【連載小説】朝陽のむこうには ~サバトラ猫のノア~ 8 最終話〈全8話〉

ある日の午後。 おかあさんと弟は学校の行事があると言って出かけていた。 家の中には仕事が休みのおとうさんと僕だけ。 おとうさんはリビングの床に座って、僕のおなかやしっぽの付け根をなでたり、額のあたりを指でこちょこちょしたりする。 おとうさん、よく分かってる!  そこは気持ちいいんだよ。 夕方はいつも弟が僕を独占しているから気づかなかったけど、おとうさんって猫好きなんだ。 「気持ちいいかー。そっかー。ここか? よしよし。いい子だー」 声もいつもより柔らかい。 今日のおと