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小説 朝陽のむこうには サバトラ猫のノア

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小学生だった僕が猫になっちゃったお話です。牧場で猫として生まれた僕には、人間だった記憶がある……。全8話をマガジンにまとめました。
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2022年12月の記事一覧

【連載小説】朝陽のむこうには ~サバトラ猫のノア~ 1〈全8話〉

#創作大賞2023 #ファンタジー小説部門 あらすじ 牧場で猫として生まれた僕には、人間だった記憶がある。確か小学生だった。今はサバトラのオス猫。ママ猫ときょうだい猫と一緒にのんびり気ままに牧場で暮らしていたある日、人間の言葉が理解できるようになっていることに気づいた。 牧場の人たちや、牧場にいつもやってくる野良の黒猫の話を訊いているうちに、かつて人間だった時に過ごしていた街に行ってみようと決心する。 幾多の困難に遭遇しながらも、僕は歩き続けた。そして、家族と再会。でも、お

【連載小説】朝陽のむこうには ~サバトラ猫のノア~ 2〈全8話〉

きょうだい猫の三匹が新しい家に行ってしまった。 六匹だった僕たち猫家族は、ママ猫のミイときょうだい猫のトム、そして僕だけになった。 「場所を移るよ」 ある日、小屋に戻るとミイが待っていた。 「どこに行くの?」 「ハウスの中にお引っ越しだよ」 僕たちが暮らす牧場内には「センターハウス」と呼ばれる家があって、今日からそこが僕たちの拠点になるそうだ。 「そろそろ寒くなってきたからね」 ミイは僕たちが生まれる前はそのハウスで暮らしていたらしい。 そこは二階建てで、丸太を積み重ね