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働きながら旅する。【6月9日〜10日 宮城県川崎町〜山形県鶴岡市】

昨夜は、福島市内から山形自動車道を少し走り、PAで車中泊。早朝、目覚めるとそこは新緑の深い山の中。車中泊仲間の車がポツリポツリと。青空も少し見えてきた。

子どもたちが起きたので、福島で手土産にいただいたヴィーガンマフィンとカフェのレジ横で販売されていた地元野菜を温野菜にして朝食を。網戸から吹き込む風と太陽の光が気持ちいい。昨夜も冷えたけど、子どもたちは風邪もひかずに元気。健康に感謝して、今日も移動からのスタート。

今日の目的地は、山形県鶴岡市にある「やまのこ保育園」。約1年前に私が取材で訪れた場所に、再び訪問する機会をいただいた。昨年秋から新しい場所で拡大オープンし、園児もスタッフも増員。にぎやかになった保育園をもう一度、取材することに。そう、お仕事です。この旅でやってみたかったことのひとつ、「働きながら旅する」をいよいよ実践する日。

途中、ダムを見下ろす展望台で休憩し、美しい新緑の中を気持ちよくドライブ。運転しながら、今日のインタビューを頭の中でシミュレーションをしたり、1年前に出会った保育者のみなさんの顔を思い浮かべたり。この高揚感がたまらない。

鶴岡に到着し、まずはお蕎麦と麦きり(少し細めのおうどん)でお腹を満たす。ずりばいができるようになり、とにかく前進することが楽しい息子は、テーブルの下から這い出て、隣の席へ侵入。地元の方かな。あやしてくれて、息子もますますごきげん。

取材場所に到着すると、シロツメクサの中から娘が4つ葉のクローバーを探し始めた。10分ほど探していると…あった!とパパの声。続いて私も発見。娘もパパのアドバイスで見つけ出し、3つの幸運が出揃った。ふふふ、いい予感。娘がシロツメクサで指輪もつくってくれました。

今回の取材は、今日の午後と明日の午前と午後、3回にまたがる少しボリュームのある構成。今日は1時間ほどの対談収録なので、保育園の中で家族も一緒に過ごさせていただくことに。

園長の遠藤綾さんとは、もう10年ほど前に、西村佳哲さんのワークショップで出会って以来のご縁。1年前の取材時はお腹にいた子どもとの対面も喜んでくださり、それぞれの人生を通してのお付き合いができていること、とてもうれしく思っている。登壇者のみなさんとも家族ごとご挨拶を交わし、対談がスタート。背後に子どもたちの声を聞きながら。

1時間なら、子どもも退屈することなく待っていてくれた。ありがとうね。園のすぐとなりにある宿泊施設にチェックインしたあとは、ふたたび保育園へ。スタッフのみなさんと、家族連れで夕飯をいただくことに。なんと、鶴岡の郷土料理や手作りのお料理でもてなしてくださった。なんて、あたたかな夜なんだろう。やまのこ保育園の温度を全身で感じ取る、幸せな時間。パパたちはビールを交わし、子どもたちもあっという間に仲良くなっていた。食後は、子どもたち自らコーヒーを淹れてくれて、あぁ、幸せ。

楽しい夜とホテルのふわふわお布団が深い眠りを誘い、この日は家族みんなで朝までぐっすり。目覚めると水田風景の先に月山が美しく見え、この旅の幸運に感謝の気持ちがこみ上げる。朝食を済ませ、私は息子を抱っこしながら再び取材のため保育園へ。娘とパパは、保育園の隣りに昨年オープンした「キッズドームソライ」で遊ぶことに。今日もいいお天気。風が少し強い。

息子は現在、7ヶ月。スリングで抱っこしながらのお仕事は、慣れてきている。午前中は、園長の綾さんへのヒアリングと園の見学。子どもの声が聞こえる環境で、息子も落ち着いて過ごすことができた。

お昼前にパパと娘と合流。ランチを…と思ったけれど、娘はソライでの遊びに夢中。私が行くと「ママと遊ぶ!」と言うので、お昼ごはん返上で遊ぶことに。あらゆる素材をもとに自由な創作活動ができる「ツクルバ」エリアでは3Dプリンターを使って可愛らしいパーツをつくり、身体を思い切り動かせる「アソビバ」エリアでは滑り台をケタケタ笑いながら転げ落ち、絵本をおねだり。ソライ、すごい。楽しすぎる。私が仕事中、娘もどっぷり楽しんでいることを感じ、うれしくなる。

お腹は減ったけれど心は満たされたので、午後の取材へ。娘とパパは、午後2時にやっとランチへ出かけて行った。約2時間、保育者の方々の、それぞれの暮らし方、働き方のお話をじっくりと聞かせていただく。

「やまのこ保育園」には、全国各地から移住してきた人々がともに人生を営んでいる。バックグラウンドは実に多様で、パーマカルチャーを学んだ方、写真家さん、美術館で働いていた方…などなど、「子ども」「保育」というテーマを持たずに歩んできた方も、自然に溶け込み、子どもたちと日々の暮らしをともにしている。関東から新卒で鶴岡に移住してきた男性(昨年の記事を読んで応募してくださったとか!)、ご主人は東京勤務のまま子どもたちと鶴岡に移住し、2拠点暮らしをスタートさせた女性、世界一周の旅のあと、めぐりめぐってここで保育をすることになった女性などなど、「やまのこ保育園」は、冒険家たちの人生の合流地点のような場所になっている。

「なんか、プロジェクトなんです。いつも、プロジェクトを立ち上げて実践しているみたいな。笑」

ある保育者の方がそう語ってくださったけれど、その生き様は実にしなやか。一般的にどうか、とか、他の方がどう思うか、といった視点ではなく、自分がいかに気持ちよく生きるか、自分がどうありたいか、何を大切にしたいか、といった視点で生き方を選び取り、壁があってもやり方を工夫し、実践してみる。人生をかけたプロジェクトを臆することなく遂行し続けている彼らの顔からは、冒険の真っ只中にいる充実感がにじみ出ている。

「やまのこ保育園」を舞台に生きる彼らのこと、もっと書きたくなってきたけれど、続きはこれから旅しながら執筆する記事に心を込めてしたためますね。

心地よいインタビューと対話の時間を過ごさせていただき、改めてみなさまにも心からのお礼を伝え、最後には娘(1年前に一緒に取材に来て、遊んでいただいたのです)もご挨拶に伺い、やまのこ保育をあとにしました。また必ず、ここを訪れるんだろうな、という確信とともに。

ご縁がつながっていく仕事、暮らしの一部のような仕事。そして、今回は旅しながら働く、というチャレンジ。

私もやまのこ保育園のみなさんのように、しなやかに人生というプロジェクトを遂行していきたいと思います。失敗しても、それを学びに変えていけばいい。それこそ、人生の豊かさにつながるから。

出発してからも、編集校正の仕事はしていたけれど。執筆はやっぱりものすごい時間と精神力を使う。果たして、キャンピングカーに乗って子どもと旅しながら、執筆できるのかな、無謀かな?わはは。旅路は続きます!

あ、こちら、私が仕事中、パパが「ツクルバ」でつくったダンボール製キャンピングカーのミニチュアです。DIY好きの主人、めちゃ楽しそうだった。笑 私の仕事中も楽しんでくれて、ありがとうね。

貴重な時間を割いて読んでくださったこと、感謝申し上げます。みなさんの「スキ」や「サポート」、心からうれしく受け取っています。