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豊かさは、選択肢の多さではない。羊と星空と戯れながら感じたこと【6月25日〜27日 北海道富良野市〜美瑛町】

北の住まい設計社を出発して、向かったのは富良野方面。天気も良さそうなので、今日から2泊は中富良野にあるキャンプ場に宿泊することにした。東川から美瑛、富良野へと車を走らせると、そこは丘陵地帯。美しい新緑が目に入ってきて、そのたびに声をあげてしまう。ラベンダーはもう少し先だけど、本当に雄大で見惚れるほどの景色。

道の駅に寄ったりしながら到着したのはこちら。ネーミングに期待が高まるじゃないの。(地図では「富良野ジンギスカンひつじの丘」となっている場所)

到着したのは17時過ぎ。遅めだったけれど、こちらの名物ジンギスカンを宿泊者限定で夕飯に食べられるという。それならもう、今夜はキャンプ場のテラスで乾杯といきましょうか。ジンギスカン、3種のお肉があって、どれもとても柔らかでクセもなく、美味しくいただけた。娘は富良野のしぼりたて牛乳も気に入った様子。

食後、シャワーを待っていると、美しい夕景に巡り会えた。風が気持ちいテラスで、息子とパチリ。この旅であまり夕焼けに出会えていなかったこともあって、ゆっくりゆっくり、沈みゆく太陽を鑑賞した。

シャワーで汗を流したあと、「星空ツアー」という旗を発見。聞くと、たまたま「star forest」という星空案内人の方が宿泊しているため、今日限定で星空解説をしてくださるという。こんなチャンスを逃すはずもなく、夜8時、集合場所へ。少し雲が出ていたけれど、目が慣れてくると同時に晴れ間も広がってきて、数え切れないほどの星空に包まれた。星の名前や星座の見方を丁寧に解説してくださり、望遠鏡で木星を覗かせてくださり、娘もあれこれ質問して、充実の1時間はあっという間だった。

ツアーを終え、子どもたちが寝静まったあとは、主人とふたり、焚き火を囲んで大人タイム。旅のこと、子供のこと、家族のこと、それぞれの生き方のこと。主人はウィスキーを片手にゆるゆる語り合っていたら、星空に光るものが!そう、なんと、流れ星に巡り会えてしまった。幸せすぎるロケーションでのありえないできごとに興奮を隠せず、大人気なくはしゃいでしまった私。神様、ありがとう。

翌朝も、晴天の中、目が覚める。娘は起きるなり、昨晩できたお友達のところへ。うさぎに餌やりをすると言う。この旅でどんどん積極的になって、子ども大人問わず自分から話しかけるようになった。頼もしいなぁ、と遠くにその姿を見やりながら、朝ごはんの準備。

今日は富良野産ベーコンと富良野産小麦のパンで、オープンサンド。

気持ちよく音楽を聞きながらいただいていると…あら、羊さんが。このキャンプ場、朝は羊を放し飼いにするらしく、こんな光景に。あのー、息子、食べられそうなんですけど。笑

娘が心ゆくまでうさぎやひつじと戯れたあとは、少し車を走らせて、美瑛へ。美しい丘陵地帯の景色と有名な青い池を堪能したあと、気づけばもう13時。お昼をどうしようか、検索してもあまりお店はなく、小麦畑が広がる中、ぽつんと佇んでいた小さなカフェへ。

豚のマークに、「PECOPECO」という看板。もう14時近かったけれど、まだランチをやっているというので店内へ。可愛らしい内装、子どもも楽しめる絵本などあり、娘もうれしそう。明るく気のいい店員さんに、ハンバーグと豚のワイン煮をオーダー。10分ほど待って出てきたお料理の、まずはボリュームに驚く。そして、なんて美味しそうなの!

ワイン煮はほろほろ食感、ハンバーグは肉汁がとめどなく出てくるジューシーさ。普段あまり塊肉を好まない娘も、食が進む進む。あっという間に平らげて、お店の方に聞くと、オーナーでシェフのお姉さんの弟さんがこの美瑛のまちで養豚業を営まれていて、その「もち豚」を使っているのだとか。「美味しいですよね〜」と、お店のお姉さんもこの豚肉に惚れ込んでいる様子。いいなぁ、自分のお店の味を絶賛できるこの感じ!こちらまで、うれしくなる。

食後、娘とも遊んでくださり、お店でゆっくりと談笑していると、農家風のお兄さんがやってきた。手にはトマトをどっさり。近くで「本山農場」を営んでいて、このお店で使うトマトを配達に来たらしい。大きな大きな、ぷりっぷりのトマト。聞くと、シェフの弟さん(養豚の方)の同級生だとか。そして自分のトマトを「見た目はブサイクですけど、味は絶品です!僕と同じで(笑)」と。笑

またまた、うれしくなる。ハンバーグのトマトソース、これ美味しいね、甘いよね、って主人とも話してた。農家のお兄さん、「トマトソース美味しいでしょ?シェフの腕ももちろんすごいんですが、僕のトマトも美味しいんですよ、見た目は僕と同じでブサイクですけど!(笑)」と、繰り返す。あはは、最高です!

なんというかね、この旅に出て、地域で生きるいろいろな方と触れ合う中で改めて感じたのは、豊かさって、物質的なものの多さとか、選択肢の多さではないんだなぁ、ということ。「なんにもないところですよ、このあたり」って言う方も多いし、田舎に移住した友人は、「選択肢がこれしかなくて…」と、嘆くことも多い。確かに人口が少ない地域は、お店も子どもの教育も、選択肢はとても限られている。それは一見、ネガティブな要素なのだけれど、でも実は、地元で唯一の特産物や、お友達や親戚のやっているお店、仕事仲間のことを、心から誇りに思っていて、お話してくれたりする。顔の見える「あの人」の「あの一品」、「この仲間たち」が最高です!と。そういう人やものに囲まれた暮らしは、間違いなく、豊かだと私は思う。そして、そういう人と人のつながりを大切にあたためながら自分の手でつくっていく暮らし方・生き方は、お互いの生き方・暮らし方をいかしあうことにもなるし、自分自身を深く深く見つめることにもつながって、相乗効果でどんどん豊かさを増していくようにも思う。

多くの選択肢に囲まれて自分の意志で選び取りながら生きる生き方も、もちろん幸せだと思う。でも一方で、そうやって手の届く範囲の限られたもの、すでに持ち合わせているものとの関係性をあたため続け、自分自身をいかし、いかしあいの中で生きる人々に出会う度、私は心が満ちていくのを感じている。

旅立ち前から、娘の進路や自分の今後の生き方・働き方に少しの迷いを感じていた私。選択肢があることは幸せだけれど、答えはもっとシンプルなところにあるような気がしてきた。まだまだ答えは、出ないのだけれど。

さて。「豚肉も美味しいでしょ?アイツ(同級生)のつくる豚もこのお店シェフ(同級生のお姉さん)の料理も間違いないです!」と言い、そのあともニコニコと豚肉の購入先やトマトへのこだわりを聞かせてくれたお兄さん。お姉さんたちも、お店のことやまちのことをあれこれ聞かせてくれて、私たちの旅の話も、興味津々といった様子で聞いてくださった。気がつけば日も傾く時間。名残惜しい気持ちもあるけれど、心からのお礼をお伝えして、お店をあとにした。またまた、訪れたい場所、会いたい人が、増えた幸せを噛み締めながら。

夜はまた同じキャンプ場に戻り、夕暮れに包まれながらアヒージョと地場野菜の焼物で簡単な夕食を。娘がお友達になったご家族と花火して、星空を眺めて、おやすみなさい。

お天気にも出逢いにも恵まれた、美瑛・富良野時間。あ、そうそう、次の日には、富良野チーズ工房で娘がアイスクリームづくり体験もしましたよ。大好物のチーズも購入し、それはそれは大満足。味見しすぎ!だったけどね。

感謝の気持ちとともに、今度は最北端を目指して旅立ちます。いろいろな表情を見せてくれる北海道。今度はどんな出逢いが待っているのかな。

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フリーランスライター・エディター、2人の子どものお母さん。人の言葉をありのままに聞くことで本質を見つめるインタビューがライフワーク。現在は主にウェブマガジン「greenz.jp」にて、「ほしい未来」のつくり手のみなさんの言葉を紡いでいます。
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