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ホームレスを異文化扱いしてはだめなのか

cakes の記事が燃えていて、わたしも Twitter でいらんことを言って巻き込まれ事故しました。まったくの自業自得です。

発言の端々に「私は絶対ホームレスになることはない」という意識を感じますが?

いいえ、わたしは前提として「誰でもホームレス状態に陥りうる」と考えています。

健康を害してしまったとき、家族に頼ることができなかったら。
いまは大丈夫でも、50代、60代、70代と歳を重ねていったらどうだろう。

ほとんどの人は「自分が絶対にホームレス状態にならない」なんて言えないんじゃないかと思います。

だからこそ、その知見に尊敬の念を抱いているし、知りたいと感じているのです。

「異文化」と捉えたこと自体が無意識の差別では?

わたしにとっては、ホームレスの方々の生活は「異文化」です。

わたし自身、大量生産・大量消費・大量廃棄が当たり前の世界で生きてきたので、「あるものや拾ったものだけで欲しい物を作る」「なんでも直して使う」という価値観は新鮮です。

国の違いも会社の違いも育った地域や家庭の違いも、文化が違えば「異文化」で、都会で育った少年が田舎の祖父母の家に行けば、新鮮な体験に感動することもあるのと同じです。

これは多くの人にとってそうではないでしょうか?

以前読んだ『モバイルハウス 三万円で家をつくる』という本のなかで、そこらへんで手に入る木で、なるべく安く、日本の気候に耐えうる家を作るためにはどうしたらいいかを考えるときに、ホームレスの方にヒヤリングしていたパートがあって、大変印象的でした。

どうすれば安く住まいが手に入るのか、どうすれば住まいを暖かく保てるのか、どうすれば快適な環境を作り上げることができるのか。

知らなかった知識ばかりで、目から鱗が出まくりました。

河原に端材で組まれた居住空間には、かなりのクリエイティビティが詰まっているんだな、すっごい面白いなと感じました。

ホームレスの方々のクリエイティビティがもっと評価されても良いのに。

え、こう思うことって差別なんですかね……?

例の炎上についてどう思ってるの?

確かに細かく見ていくと、「わたしだったら、「自分とは違う生きかたを覗きに行きたい」とは書かないかな〜」とか「もうすこし丁寧な言葉をチョイスするかも〜〜」的な拙さがあるような気もします。

しかし、記事の中で「魅力」という言葉がたくさん出てくるように、基本的には魅力を伝えたい記事だったのだと思います。

実際、彼らのDIYや生活の知恵はとても価値のあるものだと、わたしも思います。

そして何より、たとえ興味本位でもボランティアや話し相手にもなって、それを3年継続していることは批判できるものではありません

なので、炎上に関しては「うーん、そこまで叩くレベルだった……?」って感想です。これが分からないわたしはどうかしてるのか?

また、「ライター本人は没頭していて見えないところもあるから、これを表彰し、編集しきれなかった編集者が悪い」という意見もあります。

確かにこんなに可燃性の高いものだったら、気づいてほしいところではありますが、わたしがもし仮に編集者だったら「この炎上はぜったい防げねえ〜〜」と思いました。編集者って大変ですね……。

本件は批判が多いし、炎上してるし、きっと今日くらいには謝罪文が出て、この連載はなくなってしまうのでしょう。

正直なところ、別件ではわたし自身がポリコレ棒ぶん回しているときもあるので本件を表立って「ほんっっとインターネットって、世の中ってクソだわ〜〜〜〜」とは言えませんが、ポリコレ棒飛び交う中でも、少数派が口を閉じないような多様性は大切だと思います。

なので、せめてわたしだけでも、心をつよくこの文章を書き留めておこうと思います。

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池澤 あやか

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