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不要不急のいちごマシュマロが必要なのかもしれない

母におつかいを頼まれた

「風呂のゴミを取るアレ、100円ショップで買ってきて」

わたしは二つ返事で承諾した、よくあるゴミをすくう網だな


アレのために2駅先の100円ショップへと向かうことにした

最近引きこもりすぎたので、いい運動だろう

50分ぐらい歩いて、少し規模の大きめな100円ショップにたどりついた


おもちゃコーナーを覗くと売れる気配のなさそうな100円のサルの人形と目があった

その目は人生を半ば諦めている感じがあって、何か言いたげだけど自己主張をする勇気はない

申年生まれで臆病なわたしとほんの少し重なった気がする

20年前のわたしだったら、売れなくてかわいそうだからって言って買ってあげたのかもしれない

けれど、アラサー実家暮らしの女の家に持って帰られるよりは、どこかのタイミングで子供に刺さり、遊び相手の役目を果たした方が彼らにとって幸せな気がする

私はサルの人形に一方的に別れを告げて、別のコーナーへと向かった


おもちゃのコーナーを見ていると、親子連れが近づいて来た

お父さんは短身金髪でいかつめ、おそらくドカタ系の自営業

お母さんの方が若干年上、気が強そう

自宅での決裁権はお母さんが握っている、お父さんの小遣いはおそらく1万5千円

子供は3歳と5歳ぐらいで、15時ぐらいだったので幼稚園のお迎え帰りかもなぁ

家族仲良くていいな、これが家族の何気ない日常なのかなぁ

そう思っているとお父さんが大量に置かれている商品を見てこう発言した


こんなに商品あったら、万引きもし放題やなぁ!


子供はおもちゃを吟味するのに夢中だ

お母さんは発言を完全無視してなかったことにしている

わたしは足早におもちゃコーナーを後にした


廊下挟んで2列隣に美容コーナーがあったので寄った

最近、爪をピカピカに磨くことにはまっていたので

ピンクベージュ色のネイルを買うことにした

黄色や赤など派手なネイルをしたら、母に色気付いているのかと突っ込まれてちょっとめんどくさい

だから塗ったか塗っていないかわからないぐらいの色にした

どうせ実家暮らしで家族以外の人とほとんど会わないし、コロナが落ち着くまでもうしばらく就活もできない


店内では繰り返しアナウンスが流れる

店内ではマスクの着用をお願いいたします、マスクをしてない方は咳エチケットにお気をつけください

店内の95%人はマスクをしていたが、数人はマスクをしておらず

先ほどすれ違った人はアナウンスを聞いたからか、ハンカチを口に当てながら歩いている

マスクなんて半年前の100円ショップで、30枚入り100円で売っていた

今は高いところで1枚100円で売られている、しかもそれさえ手に入りにくい

まぁそんなことを憂いてもしょうがない

近くの棚を見ると、ブタメンが大量に積まれて2個100円で売られていた


ブタメンはちょっと小腹が空いた時にちょうどいい

しかも、実際の内容量は大した量ではなくても、カップ1個ぶん食べるとある程度の食べた感が味わえるので、非常に脳の満足的にもコスパの良い食べ物である気がする

ブタメンはいつでも買える、なのでブタメンのコーナーをスルーしてお菓子コーナーへと向かった

けれど、マスクのようにいつどこでこの間まで普通に売られていたものが30倍の値段で売られるかわからない

お菓子コーナーに向かっている途中、ブタメンを手に取らなかったことへの後悔に駆られたが、よくよく考えてみた

1500円になったブタメン、うん買わないなぁ

ブタメンは不要不急だった

わたしはいちごマシュマロを手にとって食品コーナーを後にした


混沌とした日々を生きている中で、自分の生活に対するモチベーションをあげるものは必要だ

それがある人は高級外車で女を連れまわすことかもしれないし、ある人は50円のブタメンをおなかいっぱい食べることなのかもしれない

私は結局いちごマシュマロとピンクベージュ色のネイルだけを買った

結局、風呂のゴミを取るアレはその店では見つからなかった

もしかして、違う店舗を探したらあったかもしれないが、いろんなことを考えすぎたので帰ることにした

おそらく、風呂のアレは買われるタイミングが今日でなかった気がする


今日も「なのかもしれない・気がする」ことがたくさんあったなぁ

いちごマシュマロを食べながら、来た時よりも少し軽い足取りで歩いて帰宅した


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