ユーグレナの決算から考える今後の業績

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社ユーグレナです、ミドリムシを活かして食品や化粧品の販売、バイオ燃料の開発などを行っている企業です。

今はSDGsなど環境配慮への意識が高まっておりバイオジェット燃料を利用すると温室効果ガスの排出量を減少させることができるためバイオジェット燃料の開発が特に期待されています。

今回はそんなユーグレナの今後について考えていきましょう。

それでは早速こちらの資料をご覧ください。

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売上高は8.7%減の95.3億円、営業利益は67億円の赤字→10.9億円の赤字、純利益は65.3億円の赤字→8.1億円の赤字となっており売上高は減少しながらも赤字幅は縮小している事が分かります。

ではなぜ減収となりながらも赤字幅は縮小したのでしょうか?

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まずユーグレナの事業セグメントは①ヘルスケア事業(ミドリムシを使った健康食品や化粧品など)②エネルギー・環境事業(バイオジェット燃料やバイオディーゼル燃料)と2つある事が分かります。
それぞれの業績の推移は
①ヘルスケア:売上高104.1億円→95.2億円 利益7.7億円→1.2億円
②エネルギー・環境:売上高2840万円→1306万円 利益68.3億円の赤字→5.5億円の赤字
となっており①ヘルスケア事業は減収減益、②エネルギー・環境事業は減収ながらも赤字幅を大幅に減らしており、エネルギー・環境事業が今回赤字幅が大幅に減少した要因だと分かります。

また②エネルギー・環境事業はまだほとんど売上が立っていませんから、①ヘルスケア事業が減収となった事がそのままユーグレナ全体の業績での減収につながっている事もわかりますね。

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ではどうしてエネルギー・環境事業で赤字幅が減少したのかというと、前期はバイオジェット燃料の実証プラント(工場)の建設費用63.7億円を研究開発費として計上したためだとしています。

プラント建設という63.7億円の一時費用の増加が大赤字となった要因だったという事で、今期の営業利益は67億円の赤字→10.9億円の赤字へと56.1億円の赤字減少ですから実質的には減収減益だったと考えられますね。

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またコロナ禍で開発段階であるバイオジェット燃料のスケジュールに影響が出ているとしています。

さらに新型コロナによって航空機の需要が大きく減ってしまっていますから、バイオジェット燃料自体の需要が減ってしまう事も考えられますが大丈夫なのでしょうか?

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こちらの資料から分かる通りで大量生産して採算が取れる段階に入るのは2025年からという計画ですので新型コロナの影響というのは収まり通常通りの国家間の移動が再開されている可能性が非常に高いのですね、ただし欧州を中心にSDGsなど環境配慮への意識が高まり航空機の利用を控えるといった動きがありましたから、特にビジネスでの出張利用が回復しない可能性があるというのはリスクがありそうです。

とはいえ新型コロナの影響がある間はそもそも実験段階だったという事から、スケジュールに遅れが出たとはいえそこまでの影響はなさそうです。

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またヘルスケア事業も減収減益となってしまっていましたが、それは広告宣伝費を積極的に投下したからだとしています。

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新型コロナによって健康志向が高まったこともあって結果として過去最高の伸びとなる4.6万人の定期購入者が増加したとしています。
ここ最近は2018年の3Qの29.2万人をピークとして減少傾向にありましたが大幅に回復している事が分かります。

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今回は広告宣伝費によって減益となってしましましたが、3ヶ月や6か月の定期コースの選択率が高く、LTV>CPOなので問題は無いとしています。

ちなみにLTVとはライフタイムバリューというもので、今後も含めてその顧客がどれだけ利益生んでくれるの?という数字です。
例えばある顧客が1年間に1万円分利益を生み10年間継続してくれればLTVは10万円となります。

一方CPOとは顧客を獲得するためのコストです。
つまりLTV>CPOというので何を伝えているのかというと、例えば顧客を獲得するのに1万円使い(CPO=1万円)、その顧客が今期生んでくれた利益は2000円で今期は8000円赤字になってしまったとします。
しかし今後この顧客は2万円の利益生んでくれる(LTV=2万円)とするとLTV(2万円)>CPV(1万円)となるのでトータルでは得しているよって話です。

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ユーグレナも広告戦略によって一時的に赤字が拡大したものの、来期以降の利益にプラスの寄与を見込むとしている事が分かると思います。

ユーグレナはここ最近はヘルスケア事業の方は不調気味で、会社としても将来性のあるバイオジェット燃料の方へ注力していくような感じでしたがそちらが新型コロナで一時的にストップしてしまった事で、一時的にヘルスケアの方へコストを割いているのでしょう。

先ほどの量産化のスケジュールをみると分かる通りで、バイオジェット燃料の開発はまだしばらくの間赤字が続きそうですから、新型コロナでバイオジェット燃料の方が停滞していて投資余力がある間に、ヘルスケアの方で将来の収益を確保しているというのは非常によさそうですね。

という事でバイオジェット燃料の開発はスケジュールの遅れがあるものの、まだまだ採算のとれる段階に入っていなかったために影響が少ない事、ヘルスケア事業の方は将来の利益をしっかりと確保できているため、今後もバイオジェット燃料の開発へしっかりとコストを割いていけそうだという事で成長が期待できそうです!!

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