すかいらーくの決算にみる出口戦略

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。
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今日見ていくのは株式会社すかいらーくホールディングスです。
ガストやジョナサン、バーミヤンなどを運営している会社ですね。

さて、こんなニュースがありました。


「ガスト」や「バーミヤン」などを展開するファミリーレストラン大手の「すかいらーくホールディングス」は、すべての店舗で24時間営業を廃止すると発表した。
全国およそ3200店のうち、およそ150店で24時間営業を行っているが、働き方改革の一環で、1月から順次営業時間を短縮し、4月までにすべて廃止する。

どうやら24時間営業を廃止するようですね、学生時代にテスト前日にガストで一夜漬けをしていた身としては何となくさみしさを感じてしまいます。
ですが今は本当に人が集まらないので、社員さんが必死に働いて24時間営業を守ったとしてもマイナスなのは想像できますので賢明な判断ではないでしょうか?

それでは、そんな決断をしたすかいらーくの決算を見ていきましょう。

面白ポイント!!巨額ののれんと、IFRS16号

まずこちらの資料をご覧ください。

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IFRS16号の影響で資産、負債が一気に1100億円も増加していることが分かります。

ちなみにIFRS16号とは、オペレーティングリース取引をオンバランスしましょうというルールの事です。以前ライザップでIFRS16号について書いたことがありますので興味のある方はどうぞ(どうぞ)

今の説明では、全く意味がわからないという方にも説明します。
まずリース取引とは、単純に言うと貸借取引で車を1ヶ月3万円で借りますといった取引の事です。

そしてこのリース取引は基本的に長期になる事が多いのが多いのです。
「1か月3万円を5年契約ね」って感じです。

そうすると、これってお金を借りて5年ローンで車を買って月3万円づつ返済するのと実質的には同じことなんじゃないの?となるわけです。

ここで1つ問題が出てきますリースを選択すると、財務諸表には何も数字が出てきませんが、借入をして車を買うという選択をすると資産に車、負債に借入が計上されてしまいます。

実質的には同じことをしていても違う財務諸表になってしまっては、企業間比較が出来なくなってしまいますよね。なのでリース取引でも資産負債を計上したほうがいいんじゃないかという議論がされていたわけです。

リース取引には、貸借に近いオペレーティングリースと売買に近いファイナンスリースがあるのですが、ファイナンスリースについては既にお金を借りて買った時と同じように資産と負債を計上しようというルールに変更されています。

今回のIFRS16号とはそれをオペレーティングリースにも拡大しようという事なのです。

すかいらーくはこのオペレーティングリースを利用してなるべく資産や負債を決算書に載せないようにしていたわけですが、それはどうしてでしょうか?

こちらの資料をご覧ください

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非常に大きなのれんがある事が分かりますね、総資産4400億円のうち1400億円と30%以上がのれんであることが分かります。(のれんについてはこちら)
これは野村證券主導のMBOと呼ばれる手法によって2006年にすかいらーくは1度非上場となったことが要因です。(MBOについてはこちら
ちなみに、この際にすかいらーくは1500億近く借り入れを増やすことになりました。

その後、不振に陥った野村証券はベインキャピタルへ株式を譲渡しました(この際にもすかいらーくは、借り入れを1000億ほど増やすことになります)
そして2014年にすかいらーくは再上場しますが、その際に株価が2006年時点より下がってしまいます。
マネーゲームの道具にされて財務状況がぐちゃぐちゃになったので、そりゃそうという感じですよね。
そしてこの一連の取引の中でベインキャピタルは上手く売り抜けて2千億以上稼いだようです。

つまりなぜ、これだけ財務諸表に載せないオペレーティングリース取引が多かったかというと、上手く売り抜けしたかった野村證券、ベインキャピタルは経営指標が悪化して再上場時の株価が安くなることを防ごうとしたからではないでしょうか。

そしてその再上場前からの運営体制が現在まで続いてきたのではないでしょうか。

すかいらーくの未来!!

すかいらーくの決算を読んでみると、マネーゲームの道具として好き勝手使われてきた様子が見て取れました。

過剰なのれんや、借り入れなど厳しい状況にあるのは間違いありませんが、その懸念を払しょくするには本業を頑張るしか方法がありません。

純粋に本業が利益を出し続けられるのかに注目です。

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