高島屋の決算から考える今後の業績

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社高島屋です、もちろん百貨店の高島屋を運営している会社ですね。
高島屋に関しては以前にこんな記事を書きましたのでよろしければどうぞ
高島屋の決算にから考える、投資信託販売の狙いと今後

さて、こんなニュースがありました。

高島屋の3~5月、最終赤字205億円 店舗休業で特損
2020/7/6 20:30
高島屋が6日発表した2020年3~5月期の連結決算は、最終損益が205億円の赤字だった。前年同期は105億円の黒字。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた4月からの約2カ月の店舗休業で売り上げが激減した。営業再開後も都心部を中心に売り上げは前年を割り込んでおり、業績には不透明感が残る。

どうやら高島屋は、新型コロナによる店舗休業の影響で205億円もの大赤字となってしまったようです。

今回はそんな厳しい状況にある高島屋の今後を考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧下さい。

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2020年3月~5月の売上高は48パーセント減の1162億円、営業利益は77.4億円→73.6億円の赤字、純利益は105.9億円の黒字→205.3億円の赤字となっており大幅に業績が悪化している事が分かります。

もちろんその要因は新型コロナによる外出自粛と店舗休業です。

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日本国内にとどまらず、国外店舗でも休業が行われている事が分かります。
特に、シンガポールでは6月に入ってからも休業が続いているようで、今後の決算にも大きな影響を与えそうです。

また、シンガポールでは一旦感染が落ち着いたのちに第2波で大きな感染拡大が起きてしまいましたから、シンガポールはもちろん他国でも同じようなことが再び起こる可能性がありしばらくリスクが付きまといそうです。

つづいてこちらの資料をご覧ください。

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高島屋の事業セグメントは①百貨店②商業開発③金融④建装と4つあり、そのすべてで業績が悪化している事が分かります。
商業開発も百貨店の高島屋の開発がメインですから連動して悪化してしまうんですね。

売上規模が小さいながらも金融事業は利益率が高いですね。
この金融事業は主に高島屋で発行するクレジットカードを取り扱っています。
また以前の記事でも取り上げましたが、投資信託などの金融商品販売も行っています(高島屋の決算にから考える、投資信託販売の狙いと今後)

さて、金融事業も減益となってしまいましたがそれはどうしてでしょうか?

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高島屋が休業したことによって、クレジットカードの取扱高が減少し新規入会数も大きく落ち込んだとしています。

高島屋のクレジットカードを使うのはもちろん、一番ポイントなどでお得になる高島屋での買い物利用が多いわけですから、高島屋本体の売り上げが落ち込むと金融にも大きな影響が出てしまうという事ですね。

また、高島屋の主要な顧客の年齢層は高めです。
となるとECなどの利用率も低い可能性が高く、例えばアマゾンで買い物をしたとしても高島屋のカードをメインカードとして、利用してもらえれば金融事業の収益となりますがそういった効果が少なそうだというのも難点です。

という事で百貨店の売上が落ちてしまうと、ほぼ全てのセグメントで収益性が悪化してしまう構造だったからこそ、店舗休業で大赤字となってしまったのですね。

今後も厳しい状況が続きそうですが、どの程度の売り上げを確保できれば黒字化できるのでしょうか?

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詳しい内訳は分かりませんので、ざっくりとした計算になるのはご容赦ください。
まずその他の営業収入を除いた売上総利益率は20%強です。
また販管費は今期456.3億円ですが、店舗休業に伴って人件費が減っていると考えられますので、これは店舗再開によって戻ってくると考え前期の170億円を利用してみます。

ここから計算すると営業黒字化のためには、その他の収入を除いた売上総利益で367億円ほど必要になります。
とすると、百貨店などで必要な売上高は367億円÷20%強で1700億~1900億円ほどとなります。

非常にざっくりした計算なので正確性に自信はないですが、前期の売上が2236億円だった事を考えると前期比で80%程度の売上が維持できれば営業黒字化の可能性がありそうで、85%ほどあれば黒字化出来そうです。

続いてこちらの資料をご覧ください。

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これは6月の月次売上ですが、多くの店舗で前期比80%以上の回復を見せいている事が分かります。

しかし規模の大きな主要都市ほど売上の戻りが遅いですね。
前期の資料を見てみるとこの赤で囲まれた戻りの遅い主要店舗6店舗で全体売上の81.5%を占めていましたから、国内での8割の回復はギリギリというところですね。

さらにここにシンガポールなど海外の閉店の影響も出ますから、まだ黒字化となるのは非常に難しそうです。

また、新宿の売上の戻りが非常に遅いことが分かります。
歌舞伎町での感染拡大が話題となりましたから、かなり風評被害を受けている感じはありますね。
新宿でも歌舞伎町と高島屋では距離もありますし、夜の町などでは無いですし、新型コロナは基本的には飛沫感染だといわれていますから、3密や濃厚接触を防ぐ感染症対策をしていれば本来は問題ないはずです。
しかし高島屋の主要な顧客である高齢層からすると、重症化リスクが高いので行く必要はないという判断になるのでしょう。

やはり主要顧客の年齢層が高いですから、主要都市での回復は比較的時間がかかる事が想定されますね。

という事は今後も厳しい状況が続きそうな高島屋ですが、今後業績回復のためにどのような方針をとっていくと考えられるでしょうか。


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今回の決算を見てみても、コストカットを推し進めている事が分かります。
今後しばらく回復しないとなると、当然コストカットは必要でしょうしさらなるコストカットを進めていく必要性が高そうです。

となると一番最初に考えられる施策は、規模の大きい人件費の削減、つまりリストラでしょう。

しかし個人的にはそうなる可能性は低いだろうと考えています。
高島屋が売りにしているのは、ブランド力でもあるからです。
若い世代からすると、終身雇用の意識は低いですからリストラがあってもイメージ悪化は小さいでしょうが、高島屋の顧客層の年齢を考えると終身雇用がいい会社だという価値観の方が多いでしょうから、リストラを行うとブランド力を損なってしまう恐れがあるわけです。

EC化なども顧客層との相性が悪いですし、となると考えられるのは「耐える」という策です、悪く言えば正直打つ手なしなのではないでしょうか。

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この資料からもわかる通りで440億円近く、借入を増やしています。
高島屋は店舗の立地の通りでかなりの額の不動産を持っていますので借入はまだまだ出来るわけです。
耐えるとなると借入で対応できるんですね。

しかし借り入れを増やせば利息がかかりますし、売上減少の中でその負担は大きいはずです、何よりもそもそも百貨店自体が衰退してきており厳しい状況だったわけです。

金利負担や借入返済の負担が増えることは楽ではないはずで、今後に長期的なダメージを与えてしまうのではないでしょうか。

という事で、長期的にみても厳しい状況が続くことを予測します!!

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