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自動車業界編まとめ・徹底比較(トヨタ・日産・ホンダ・テスラ)

どうもコージです!!
自動車業界は100年に1度の大変革期といわれていますが、「自動車が一般に普及してからまだ100年たってなくね?」と思っています。

さて、今週は自動車業界について取り上げていきます。
日本のトップ企業といってもいいトヨタ、コロナ前からゴーンさんの件などもあり低迷気味だった日産、二輪車にも強みを持つHONDAと時価総額では自動車業界最大となったテスラの4社を取り上げていきます。

あとは大変革期といわれている自動車業界の大きなトピックであるMaaSについても改めて詳しく解説していこうかと思っています。

なので各社の決算から短期的な業績を取り上げて、自動車産業の大きな流れとしてはMaaSの回で話していこうかと思います。

今回はこれまで見てきた4社のまとめ、比較をしていこうと思います。

個別企業について具体的に知りたい方はこちらをご覧ください!!

それではまずは各社の評価の違いを見ていきましょう

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時価総額を見てみるとテスラが65兆円(1ドル110円換算)と圧倒的で、そこから大きく離れてトヨタが24.8兆円、ホンダがそこからさらに大きく離れて5.7兆円、そして日産が2兆円となっています。

市場からの評価という点で見るとかなり大きな差がある事が分かりますね。

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2020年度の販売台数を見てみるとトヨタが992万台で市場占有率は12.9%と圧倒的で、ホンダは465万台で占有率は6%、日産は405万台で5.3%と離れており、そしてテスラは50万台で市場占有率は0.6%とさらに大きな開きがあります。

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なので売上高としてもトヨタが27兆円と圧倒的で、それに続いてホンダが13兆円、日産が7.8兆円、テスラが3.4兆円と開きがあります。

また、ホンダに関しては販売台数では日産と比べるとそれほど大きな差はありませんでしたが、売上で見ると13兆円と7.8兆円と大きな差がついています。

これに関してはホンダが二輪車にも強みを持っていて、二輪車としては世界最大の企業であるという事が大きな要因で、自動車事業のみの売上では8.5兆円ほどです。

またテスラは販売台数からすると売上高は大きいです。
各社の自動車事業の売上を販売台数で割って、簡易的な一台当たりの単価を出してみると
トヨタ:248万円
日産:170万円
ホンダ:184万円
テスラ:600万円
と明らかに開きがあります。

テスラ車は安いモデル3でも500万ほどしますし、他のモデルでは1000万円以上と日本車と比べると明らかに高いので、単価が高いんですね。
トヨタに関してもレクサスなど高価格帯のブランドを持っているため他社と比べて高いと考えられます。

テスラやトヨタというのはブランド力からも強みがありますね。

そして、販売台数や売上と市場からの評価というのは大きな乖離がある事が分かります。

テスラと他社というのははもちろんですが、トヨタとホンダでも売上は2倍に対して時価総額は4.3倍、日産とでは売上3.4倍に対して時価総額は11.9倍となっています。

100年に一度という大変革期を迎えている自動車業界において、その評価は現状ではなく、将来性というところに大きく左右されているようです。

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また、収益性という点で営業利益率をみてみるとトヨタが8.1%、テスラが6.3%、ホンダが5%で日産は赤字となっています。

トヨタというのは売上が大きいだけではなく、利益率も高いという事でやはり国内自動車メーカーとしては1強という状態です。

テスラもホンダより利益率が高いですが、これはEV(電気自動車)メーカーであり排出権取引によるところが大きいです。
そういった様々な本業以外の要因を除くと、利益率は2.1%ほどとなっておりまだホンダよりも低くなっています。

詳しくはこちら

また、コロナの影響として売上高の変化としては
トヨタ:8.9%減
日産:20.4%減
ホンダ:11.8%減
テスラ:28%増
となっており、成長したのはテスラ、影響が小さかった順からトヨタ、ホンダ、日産となっています。

コロナ前から不振となっていた日産が圧倒的に大きなダメージを受けてしまった事が分かります。
一方でEVはコロナ禍でも市場自体が伸びていましたからテスラは成長しています。

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また、業績悪化した企業が多いですが、そんな中でも各社とも研究開発費はほとんど減らしていない事が分かります。

CASEやMaaSなど100年に一度の大変革期といわれている中で、研究開発を止めれば競争力を大きく失う事になりますのでそうはできないんですね。

また、研究開発費の額を見てみると
トヨタ:1兆900億円
ホンダ:7800億円
日産:5000億円
テスラ1640億円(1ドル110円換算)
と各社で大きな開きがあります、日産とトヨタでは倍以上の差があり、大変革期においてこの差は今後の競争力としてもやはり現れてきそうです。

また、テスラはまだまだ売上規模も小さいですし研究開発費としては額が小さい事が分かります。

トヨタは豊富な資金を活かしてWoven City (ウーブン・シティ)のようなモビリティを最適化した街づくりのような取り組みも始めています。
単純な車の研究だけでなくそういった資金力の差で他社が出来ないような事を進めてデータや実績を作っていく事も、テスラなどと戦う上では重要になっていきそうです。

続いて日本企業3社についてもう少し詳しく見ていきましょう

まずは市場別の売上について見ていきます。

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全ての市場でトヨタの売上が最大となっています。
また基本的にはホンダの方が日産より売上が大きくなっていますね。

ホンダは北米とアジア市場で強みがあるようで、ホンダの北米の売上は7.8兆円に対してトヨタは9.3兆円と、すべての売上だと倍以上の差がついている事を考えると比較的優位性があります。

また、アジアに関してはホンダは低排気量の二輪車が売れていますからそれによって売上が大きいのでしょう。

今後に関しては経済成長とともに、アジア各国で車の需要も増えていきますから、二輪車によってホンダの認知度が高まっているというのは優位性がありそうです。

また、ホンダは欧州に関しては日産より売上が少なく苦戦しています。
課題としては欧州市場にあるようです。

続いて売上の構成比率で見ていきましょう。


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基本的には3社とも日本と北米というのを主要市場としている事が分かります。
特に北米は3社とも最大市場ですから、北米からそれこそテスラの台頭によってこの市場シェアが奪われていくと日本企業は各社とも大きな打撃を受ける事になりそうです。

北米メインの日本企業にとってテスラの脅威度が分かりますね。

また、各企業とも欧州の規模が小さくなっています。
アメリカは特に車社会で市場規模が大きいという事もありますが、やはり欧州各国にはブランド力のある自動車メーカーがそれぞれある企業が多いですから、なかなか市場の開拓というのは難しいようです。

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続いて各市場別の営業利益を見てみると、トヨタは日本市場で大きな利益を出しておりそれ以外の2社は実は主要市場である日本市場では赤字となっています。
日産とホンダは日本市場で苦戦していたんですね。

トヨタの利益では日本市場が圧倒的ですが、これは日本市場から海外へ部品などの輸出や海外の販売会社からロイヤリティの受取などがある事も要因のようで、必ずしも日本市場の利益率が高いという事ではないようです。

また、北米市場では売上の劣るホンダの利益がトヨタを上回っています。
ホンダは北米が売上、利益ともに大きな軸になっているという事ですね。

となると、先ほども書いたようにテスラの成長が今後も続くと最も大きなダメージを受けるのはホンダとなるかもしれません。

続いて市場別のコロナの影響を見るために、売上の前年同期比を見ていきましょう。

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まず日本市場では最も影響が少なかったのがトヨタで、ホンダは日産よりダメージが大きかったようです。

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続いて北米市場ではトヨタ、ホンダは前期比9割弱に対して日産は78.2%と圧倒的に影響が大きかったようです。

主要市場の北米で評価が下がっているというのは、日産は今後の業績としても厳しい状況が続きそうです。

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欧州では、トヨタの回復が圧倒的に早く前期比94.7%、続いてホンダが88.3%、大きく離れて日産が71.8%となっています。

欧米では日産の人気低迷が顕著ですね、ゴーンさんの件などもあり最もイメージ悪化したと考えられる日本市場ではむしろホンダより業績の悪化率は小さく、前期比87.8%を保てていました。
欧米の業績悪化の方が大きいのは面白いですね。

問題が起きると大きく騒いで、飽きたらすぐ忘れるという日本らしさのようなものがあるのかもしれません。

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最後にアジア市場では、トヨタが95.2%と回復が早く、ホンダ、日産と続いています。

そしてアジアでは全体的に業績の悪化が小さい事も分かりますね。
やはり中国というのは回復が非常に早かったですからそれでアジアでは、売上が保てていたことが考えられます。

全市場を通じて日産の業績悪化が大きいという事で、日産はやはり厳しい状況が続いていきそうです。

そして全市場でトヨタの業績悪化が最も小さく、やはりトヨタが圧倒的なんですね。

また、各企業とも自動車の他に金融事業(自動車ローンなど)をやっています。
金融事業の影響を見ていきましょう。

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売上高に占める金融事業の比率を見てみると
ホンダが18.9%と非常に大きく、続いて日産が12.5%、トヨタが7.9%となっています。

ホンダではアジアの新興国での二輪車の販売なども多いですから、そういったところではローンの比率が高いのかもしれません。

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そして金融事業の利益に占める比率では
ホンダ:54.1%
トヨタ:22.6%
日産:金融事業のみ黒字
となっています。

ホンダや日産では金融事業の利益へのウェイトが大きいですね。

コロナ禍で各社とも販売不振にはなっているわけです、という事は各社とも新しいローンの組成が減っています。
当然今後はその分もらえる利息が減るわけですから、それは長期的な金融事業の業績悪化につながるわけです。

となると、金融のウェイトが大きい日産やホンダの方が業績への悪影響は大きそうです。

という事で、現在の事業規模としては明らかに小さいながらも圧倒的な高評価を受けているのがテスラとなっています。

コロナの影響としてはEVのテスラは好調で成長を続けており、日本企業としてはトヨタの影響が最も少なく、ホンダ、日産と続いています。
金融事業への影響を考えても今後の業績としても、トヨタ、ホンダ、日産の順で悪影響が出ていきそうです。

そして日本企業の主力市場は各社とも北米ですから、そうなると北米でテスラが伸びてシェアを奪われていくと日本の自動車メーカー3社とも悪影響が大きいためそこが懸念点となりそうです。

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