ケンタッキーの決算から考える今後の業績

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは日本KFCホールディングス株式会社です。
ちなみに、KFCは(ケンタッキー・フライド・チキン)で皆さんご存知ケンタッキーを運営している会社です。

こんなニュースがありました。

日本KFC、営業益2.2倍 20年3月期、持ち帰り需要強く

日本KFCホールディングスが13日に発表した2020年3月期連結決算は営業利益が47億円と前の期比2.2倍になった。決算期を変更した後の11年3月期以降で過去最高。500円の値ごろ感あるランチを通常メニューに組み入れ、日常利用を強化した。新型コロナウイルスの感染が本格化した3月以降も、持ち帰り需要が旺盛で既存店売上高は20年4月まで17カ月連続で増加した。

売上高は796億円と7%増えた。フランチャイズ店も含めた全店売上高は9%増の1287億円と過去27年間で最高だった。割安なランチで来店のきっかけをつくり、「ブラックホットチキン」など新メニューを打ち出して「もう一つ」の需要を喚起し、客単価の下落を防ぐ戦略をとった。既存店の客数は10%増、客単価は横ばいだった。

どうやらケンタッキーは、営業利益は前期比で2.2倍と11年3月期以降で過去最高を記録し、新型コロナの影響があり時短営業などがあった中でも既存店の売上が2020年4月まで17ヶ月連続で増加と非常に好調だという事が分かります。

先日渋滞が出来ていたので何だろうと思ったところ、ケンタッキーのドライブスルーで驚きました、マクドナルドも人気が凄いですから、外出自粛の中でちょっと外出してドライブスルーでというのが人気だったのでしょうね。

今回はそんな好調なケンタッキーの今後について考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

売上高は52.8億円(7.1%)増の796億円、営業利益は25.7億円(117%)増の47.8億円と非常に好調ですが、経常利益は2.7億円(9.2%)増の32.5億円、純利益に至っては5.2億円減の15.3億円とむしろ悪化してしまっている事が分かります。

ではどうして営業利益ベースでは好調にも関わらず、純利益が悪化してしまったのでしょうか?

持分法による投資損失が16.4億円ほどあることが分かります。
前期は持分法による投資利益が5.6億円ありましたから、この持分法による投資で22億円ほど業績を押し下げている事が分かりますね。

ちなみに持分法による投資とは、会社に対して大きな影響力はあるけど、子会社よりはちょっと薄い関係の投資の事を言います。
例えばA社の株を20%取得したら、A社に対して大きな影響力を持ちますが支配権は無いので子会社にはなりません。
そんな時に持分法を使います、そしてA社が10億円の利益をだせばその保有比率である10億円×20%=2億円を持分法による投資利益として計上することになります。

つまり、持分法を適用する関係性の会社が不調だという事ですね。
ではどんな会社なのでしょうか?

㈱ビー・ワイ・オーという会社だという事が分かります。
この会社は、和食居酒屋の「えん」や「おぼんdeごはん」などの飲食事業を展開する会社です。(ビー・ワイ・オーグループ)

こちらの資料をどうぞ

今回の持分法による投資損失は、新型コロナの影響でビー・ワイ・オーの収益性が低下したことを理由として、株式の実質価額の下落に伴い19.3億円の損失を計上した事によるようです。(ビー・ワイ・オーは非上場なので、市場株価はなく実質株価しかない)

単純に言うと減損が起きたという事ですね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

日本KFCホールディングスは、ビー・ワイ・オーの取得価額を非公開としているので詳しくは分かりませんが、ビー・ワイ・オー取得年度を見てみると投資有価証券の取得による支出が40.2億円ある事から、これが取得価額だろうと推測できます。

つまり取得時の約半額まで、実質株価が下落していると考えられますね。
半額程度は損失として出し切ったので、もしも最悪のケースで倒産しても最大20億円ほどしか業績に影響を与えないと考えられますし、基本的に損失は出し切ったと考えられるでしょう。

続いてこちらの資料をご覧ください。

最初の資料の通り純利益は減少しています。
しかし税引き前の純利益では、31.4億円→33.8億円へと業績が向上している事が分かります。

そして、その要因は法人税が10.9億円→18.5億円へと増加している事のようですね。
どうして法人税が増加しているのかというと、持分法による投資損失は税金計算に含めないためです。

本質的には単純な株式の売買ですから、皆さんが投資する際に含み損や含み益に税金がかからないように、会計上は損失となっても税金の計算上ではカウントされないわけです。

なので好調なケンタッキー本業の業績だけで税金がかかってしまうので、法人税の額が高くなってしまったという事です。

という事で、2020年3月期に営業利益では非常に好調だったのにも関わらず純利益が悪化した要因は、完全にビー・ワイ・オーへの投資の失敗だったという事ですね。

ケンタッキーの未来!!

ビー・ワイ・オーはある程度損失を出し切ったと考えられます。

また、緊急事態宣言が解除された都市の反応を見ていると、すぐに外出解禁ムードに振れる感じでは無いので、ドライブスルーの好調はもう少し続くのではないでしょうか。

さらに、営業時間を短縮しているにも関わらず既存店の売上が増加と言うことは、時間給(アルバイト等)の人件費が大きいケンタッキーは利益が大きく伸びている事が考えられます。

という事で、ビー・ワイ・オーはリスクを出し切った可能性が高く、ケンタッキー本体は売上はもうしばらく好調が続きそう、4月5月は売上だけでなく利益率も伸ている可能性が高いので、次回も高決算を予測します!!

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