レナウンの決算にみる貸倒引当金と倒産の可能性

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは株式会社レナウンです。
この会社はアーノルドパーマーなどのブランドを運営しているアパレル企業で、1980年代から1990年代には世界最大規模のアパレル企業でした。
しかし近年では業績不振が続き中国企業の子会社となっています。

こんなニュースがありました。

レナウン、19年12月期最終赤字67億円 貸倒引当金を計上

レナウンが25日発表した2019年12月期の連結決算(10カ月の変則)は、最終損益が67億円の赤字だった。決算期変更で単純比較できないが、赤字は2期連続で直前の19年2月期(39億円の赤字)に比べて赤字幅が広がった。取引先の香港企業に対する売掛金の回収が滞り貸倒引当金53億円を計上した。例年よりも気温が高い日が多く、冬物衣料なども低迷した。

レナウンは中国繊維大手の山東如意科技集団を親会社に持つ。売掛金の対象となる香港企業は山東如意の子会社。会社側によると山東如意が売掛金を補償する取り決めもあったというが、実現しなかった。同日に記者会見したレナウンの毛利憲司取締役は「(回収が)どのくらいの時期になるかは不透明だ」と話した。営業損益は79億円の赤字(前の期は25億円の赤字)となった。

どうやら2期連続での赤字となってしまったようですね、その要因としては売掛金の回収が出来ずに貸倒引当金を計上することになったことが大きいようです。

レナウンンは百貨店販売を中心としている企業なのですが、以前記事を書いた三陽商会を含め百貨店をメインにしているアパレル企業は厳しい状況にあるところが多いです、最近では新型コロナの影響で百貨店のメインの客層である50歳以上の方の来店が大きく落ち込んでいるようです。
今後はさらに厳しい決算が出てくる可能性が高そうです。

貸倒引当金って何?

こちらの資料をご覧ください。

貸倒引当金が58億円も増加している事が分かりますね。

そもそも貸倒引当金とは何かというと、回収できない可能性の高い債権がこれだけありますよという数字です。

企業の活動においては売上と入金は一致していないことが多いです、1か月に何十回、何百回と取引したりその金額も多額になる事が多いのでいちいち支払いしていたら面倒です、そこで後でまとめて払うよって約束で活動していることが普通です。

そうすると、売った相手の財政状況が厳しくなると当然入金されなくなってしまうという事も起きてしまいます。

例えば、自分が株主の立場だとすると取引先からほとんど入金の可能性が無くなったのにに教えてもらえず、突然入金されなかったので倒産しますといわれたら困りますよね。

そこで、入金がされない可能性が出てきた時点で投資家の人に情報開示しようねというのが貸倒引当金です。
あと会社の実態をしっかり把握できるようにしましょうという理由ももちろんあります。

レナウンの未来!!

つまり58億円もの貸倒引当金を計上したという事は、58億円もの金額が入金されない可能性が高いという事です。

こちらの資料をご覧ください。

現金残高が、78億円から33億円まで45億円も減っていますね。
50億以上もの金額が入金されなかったのですからそれは当然といえば当然です。

単純計算をするとこのペースで現金を失うと今年中には資金がショートするという事です。

「でも2019年は50億以上も入金がなかった特殊な年だから」と思われるかもしれません。

しかしこれは逆に考えると一気に50億円以上もの入金があるような大規模な取引先がなくなる可能性が高い事を意味するわけです。

そうすると当然今後さらに業績悪化、キャッシュフローの悪化が考えられるわけです。
という事は、2019年は特殊な年だったからでは済まされず、今後資金がショートしてしまう可能性が十分にありますよね。

先ほどのニュースを改めて見てみましょう。

レナウンは中国繊維大手の山東如意科技集団を親会社に持つ。売掛金の対象となる香港企業は山東如意の子会社。会社側によると山東如意が売掛金を補償する取り決めもあったというが、実現しなかった。

親会社が補償する取り決めがあったにも関わらず実現しなかったという事は、レナウンの財務状況が厳しくなった時に親会社が補填してくれる可能性が低くなったという事です。

つまり数年以内に倒産する可能性があります!!

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