マクドナルドの決算に見る、今後のリスクと接客業の未来
どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。
今回見ていくのは日本マクドナルドホールディングス株式会社です、もちろん皆さんご存知マクドナルドの運営をしている会社です。
こんなニュースがありました。
マクドナルド、店内客席利用を中止、テイクアウトのみに。13都道府県
日本マクドナルドは、4月20日午前5時から、政府の「特定警戒都道府県」対象地域である13都道府県の全店舗で、店内客席利用を終日中止し、テイクアウトのみでの営業とした。期間は5月6日までを予定している。
特定警戒都道府県となっているのは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の13都道府県。全店舗で、店内客席の利用を中止する。
なお、「モバイルオーダー」や「ドライブスルー」、「デリバリーサービス」などは継続して提供する。
マクドナルドでは、これまでも東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県、愛知県、京都府、岐阜県の店舗において、20時~翌朝5時までの「店内客席ご利用中止」や「閉店」を実施。店舗の形態や状況に応じて社会的距離を保つなどの対策を行なってきたが、更なる安全強化と新型コロナウイルス感染拡大抑止のため、店内客席利用中止の対象地域や対象時間帯を拡大する。
特定警戒都道府県に指定された13都道府県で、5月6日まで店内客席の利用を中止するようです。
今回は、店舗休業の影響と今後について考えていきましょう。
まずはこちらの資料をご覧ください。
2019年1月~12月期の売上高は4.7%増の5490億円で営業利益は11.9%増の280億円と非常に好調なことが分かります。
純利益は減っていますがこれは前期に退職金制度の改定があったことで、一時的な利益を計上した事と、前年度から業績が好調だったことにより税金の支払いが増えた事が要因なので、会社としては非常に好調です。
続いてこちらをご覧ください。
なんと1店舗当たりの平均月商は上場来最高を更新し、既存店売り上げは50か月連続で増加していることが分かります。
数年前は中国工場で衛生上の問題などもあり、業績がかなり落ち込んでいましたが本格的に回復していることが分かりますね。
そんな好調な時期に新型コロナがやってきて店舗を閉めるようになってしまったのは非常に残念でしょう。
実際に2020年3月の売上は全店売上こそ増加していますが、既存店売り上げは減少してしまっています連続増加は52か月で止まってしまったようです。
新型コロナの影響が強く出始めた3月からは客数が減少して、客単価が上がっていることが分かります。
コーヒー飲むだけや、ちょっとだけ商品買ってマックでゆっくりしようという需要が減って食事として買われているという事でしょう。
それでも既存店の売上は0.1%の減少ですから、強いですね。
もともとハンバーガーはテイクアウトが多かったですし、デリバリーも積極的に進めていましたからそこまで影響がないようです。
5月6日までテイクアウトとデリバリー限定にすることでもちろん売り上げは減少はするでしょうが、そこまで大きな影響は出ないかのもしれません。
マクドナルドの未来!!
では、マクドナルドにはリスクは無いのでしょうか?
マクドナルドは本社、事務所、さらに店舗の95%以上の土地建物を賃借にしていることが分かります。
新型コロナは長期化することが確実となりましたから、店内利用を解禁した後も長期的に店内で飲食する人の数は減ると考えられるでしょう。
マクドナルドの強みの一つは好立地にある事です、これはテイクアウト売上にも大きくかかわってきますから、店内の利用率が下がったからといって店舗を撤退することは難しいです。
賃料が安くなった別店舗新しく入るにしても、マクドナルド仕様に店舗の改装を行わなければいけないので、結局高くついてしまいます。
つまり稼働率の減ったからといって既存の店舗から移動することは難しく、賃借料が重荷になってくる可能性が高そうですね。
商品的にも売上自体は維持できそうですから、店舗の利用率の低下に合わせてどれだけの賃下げ交渉が効くかが重要なポイントになるのではないでしょう。
接客業の未来!!
おもてなしリーダーを置いているように、マクドナルドは接客にも力を入れています、マックスマイルなんかも流行りましたよね。
最近ではAIの技術進歩に連れて、コミュニケーションや人柄の価値が重要視されるようになってきています、接客に力を入れるのは非常に素晴らしい施策です。
しかし、新型コロナ以降はその価値観がまた変わっていくかもしれません。
元気に「いらっしゃいませ」の挨拶や積極的なコミュニケーションが「それ飛沫じゃん」というネガティブな要因になり、「素敵な笑顔」はマスクで認識できないような世界が現実に訪れているからです。
マックスマイルが存在しない世界になってしまったわけです。
このままだと接客業はなるべく喋らずに商品を渡すだけの存在になってしまい、接客は人がしたほうがいいよねという価値観が崩れロボットでいいじゃんとなってもおかしくないんですね。
さらに新型コロナの発症者が出ると、お店の休業を余儀なくされるような状況だと「ロボットより人の方が安い」というコスト構造にも変化が出てきます。
ロボットは新型コロナにかからないので、感染対策コストや、休業リスクが減らせるという事です。
ロボットの利用者が増えれば、当然製造コストも下がりますから導入が一気に進む可能性もあります。
とはいえ、我々はリスクが無ければ人から接客される方が好きですから、どのように形を変えるかは分かりませんが、愛される方は残り続けるでしょう。
それでも接客業に必要な人数が減るだろう思っていたほうがいいはずで、接客業につかれている方はいずれ元通りになると楽観せず、その準備をしておく方がいいかもしれません。
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