【無料回】東映アニメーションの決算から考える、動画配信サービスの普及が大きな追い風になる理由と今後の懸念点
このくらいの時期に半袖半ズボンになって、英語単語を発していれば外国人になれると思っています。
ちなみにやった事はあります!!
さて、これからは様々なコンテンツを作っている企業を取り上げていこうと思います。
具体的に取り上げる企業としては、アニメを作っている「東映アニメーション」ドラマや映画を中心とする「東映」マンガや書籍、雑誌やニコニコなどもやっている「KADOKAWA」テレビ局を運営する「日本テレビ」を取り上げていきます。
そんな中で今回取り上げるのは東映アニメーション株式会社です。
アニメの製作やその放映権の販売、さらにゲームアプリやグッズなどの2次利用したい企業への版権の販売をメインとしています。
手掛けているアニメとして主要なところでは「ワンピース」や「ドラゴンボール」「ダイの大冒険」「ゲゲゲの鬼太郎」などがあります。
日曜の朝にやってるやつですね。
また、売上の構成を見ると国内外の版権収入や海外での映像収入では、ドラゴンボールとワンピースで半数以上を占めていてこの2つが主力です。
やはりドラゴンボールとワンピースの人気はすごいですね。
その他にもデジモン、スラムダンク、プリキュア、セーラームーンなども一定の規模があって、海外の版権ではスラムダンクが近年伸びていて、直近だと海外版権売上の10%を占めるまでになっています。
中国でのスラムダンク人気の高まりが大きくゲームなども人気なようです。
ドラゴンボールやワンピース、スラムダンクやデジモン、セーラームーンなど私が子供のころから人気なような、定番となっている人気コンテンツを抱えている企業なんですね。
それでは早速業績を見ていきましょう。
今回見ていくのは2022年3月期の2Q(4~9月)までの業績です。
売上高は21.6%増の297.4億円、営業利益は48.6%増の111.3億円、純利益は45.4%増の81.4億円と大幅な増収増益で非常に好調となっています。
そして、この売上・利益ともに2Qまでの業績としては過去最高を記録したとしています。
中国向けの配信権販売の売上が一括計上になるなど、下期に予定していた高収益の売上が前倒しになり一時要因の影響が大きかったようですが今年に入ってからアニメ関連は好調となっていたようです。
そして好調だった中で、上方修正を発表しています。
とはいえ上方修正したのは利益のみで、通期の業績は前期比で売上5.9億円減、営業利益は10億円減となる見通しです。
2Qまでの好調は一時要因の影響が大きかったので通期では、巣ごもりによる大きな追い風のあった前期ほどにはならないという事ですね。
これからの下期は業績としては落ち着いていきそうです。
また、営業利益率を計算してみると30.6%→37.4%となっていて、もともと高かった利益率がさらに伸びています。
ではどうして営業利益率が改善したのかというと、特に改善したのは売上原価で原価率は51.4%→45.3%へとなっていて、利益率の高い海外版権事業や国内外の配信事業の比率が高まった事で改善したとしています。
以前はテレビへ卸すのがメインだったわけですが、利益率の高い配信が主流になった事で利益率が改善しているんですね。
また海外の版権も好調との事ですが、これもやはり動画配信サービスの普及による影響は大きいでしょう。
例えば日本国内だとテレビ局との関係上ワンピースなどは動画配信サービスでは見れませんが、海外だとネットフリックスで配信しています。
ネットフリックスのような動画配信サービスはテレビのように枠が決まったものではないので、海外展開が非常に容易です。
そして作品の海外展開できれば、当然それに伴って映像収入も増えますが、ゲームやグッズなどの2次利用も増えて版権収入も期待できますので好影響が大きいという訳です。
今後もその流れでの利益率の上昇が期待できそうです。
続いてもう少し詳しく業績を見ていきましょう。
東映アニメーションの事業セグメントは①映像制作販売事業②版権事業③商品販売事業と3つあります。
それぞれの事業の業績の推移は
①映像制作・販売事業:売上117.8億円(24.0%増) 利益46.1億円(78.9%増)
②版権事業:売上167.3億円(21.2%増) 利益83.7億円(24.1%増)
③商品販売事業:売上9.7億円(3.4%増) 利益1.6億円の赤字→1億円の赤字
となっていて主力の映像制作・販売事業、版権事業ともに非常に好調となっています。
映像制作・配信事業の売上をもう少し詳しく見てみると①劇場アニメ②テレビアニメ③コンテンツ④海外映像⑤その他と5つに分けて開示しています。
それぞれの売上の推移は
①劇場アニメ:売上1.1億円(67.8%減)
②テレビアニメ:売上17.4億円(84.6%増)
③コンテンツ:売上2.1億円(27.9%減)
④海外映像:売上77.7億円(17.8%増)
⑤その他:売上19.3億円(49.3%増)
となっていて好調だったのはテレビアニメと海外映像です。
そして売上規模では海外映像が全体の65.9%を占めていて、実は海外への配信権の販売が主力となっている事が分かります。
ドラゴンボールなど海外人気の高いコンテンツも抱えていますし、やはりネットフリックスなど動画配信の世界的なプラットフォーマーが出てきたことで海外展開は非常に容易になっていますから、今後も好調が期待できそうです。
海外映像売上の内訳をみてみると、規模が大きいのは圧倒的にアジアで、アジアの中でも特に中国の配信売上が大きい事が分かります。
アニメに関しても中国のマーケットとしての巨大さは業績に大きな影響を与えますね。
となると気がかりなのは中国の自国コンテンツの成長でしょう、中国ではアニメに関しての技術はかなり上がっていると言われていますよね。
製作現場の待遇面なんかは日本ではかなわない状況になっていて、人材の流出が起きたり日本企業が中国の下請けになるケースも増えているようで、中国の自国コンテンツは大きな成長を続けています。
東映アニメーションでは定番コンテンツがありますので、好調はしばらく維持できる可能性は高そうですが、長期的には中国での自国のコンテンツの成長に押されていく懸念はありそうです。
また、マンガ原作のアニメは多いですがグローバルで成長している、スマホ向けの縦スクロール型のマンガという市場では日本は後れをとっています。
そういった縦スクロール型の人気マンガのアニメ化も進んでいますから、そういった変化も懸念点とはなっていきそうです。
続いて版権事業の売上をもう少し詳しく見ていくと
①国内版権:売上59.9億円(10.6%減)
②海外版権:売上107.3億円(51.1%増)
となっていてこちらでも売上規模としても大きいのは海外で、伸びていたのも海外となっています
映像事業も海外売上が大きかったですし、実は東映アニメーションはすでに海外市場をメインとする企業になっていたんですね。
先ほども書きましたが、海外展開が容易になれば当然その2次利用の成長も起きてくるという中で、ドラゴンボールやスラムダンクのゲームアプリ向けに加えて、ドラゴンボール、ワンピース、デジモンシリーズの商品化が好調に推移した事のようです。
東映アニメーションのコンテンツは、非常に知名度が高い定番コンテンツが多いですがそういったコンテンツは、2次利用を含めさらに強くなっていくと考えています。
というのも、グッズやゲームなどを買ってもらおうと思えば実際にお金を払う親の取り込みも大切になります。
ですが以前のように家族そろってテレビを見る時代ではなくそれぞれが、それぞれのデバイスで違った作品を見る時代になっています。
家族で一緒のテレビを見ていたころは、子供が見ているアニメを親も何となく見てファンになったり共通の話題になったりという事もあったでしょうが、今は知らない子供向けのアニメを見る親は少ないでしょう。
ですが、親世代が子供だった時に人気のアニメなどであれば比較的親も取り込みやすいですよね。
子供からしてみれば、ドラゴンボールだって新しいゲゲゲの鬼太郎だって初めて見る新しいものですから関係ありません。
なので2次利用の売上まで考えても定番コンテンツの需要は大きいはずで、東映アニメーションも好調が続くと考えています。
ちなみに海外の版権売上をもう少し詳しく見てみると、北米とアジアが同程度の規模で大きな割合を占めていて、ゲーム向けの売上が大きいです。
動画の配信に関しては中国がメインでしたが、北米はゲームというのも大きな市場なんですね。
また、国内版権売上の推移を見てみるとドラゴンボールの増減は結構大きく、やはりこれはテレビアニメの放映に左右される部分が大きそうです。
なのでこの主力のドラゴンボールがアニメ放映されるかで業績は変わってきそうです。
今後は海外展開の中でもハリウッド展開にも力を入れるとしています。
映像配信面では中国が中心となっていましたから、そこも伸ばしつつ北米での市場もさらに拡大していきたいという事でしょう。
自社IPなども作って行くとしていますから、そういった展開がどうなっていくのかにも注目です!!
という事で東映アニメーションではネットフリックスなどグローバルな動画配信サービスが出てきた事で海外展開が容易となり、動画の配信、それに伴ってゲームアプリなどへの版権の販売含め非常に好調となっていました。
今後もそういった追い風を受けて好調が続くことを予測します!!
一方、中国ではアニメ産業が急成長している事や、縦スクロールのマンガが伸びていてそこからのアニメ化も増えている事などは懸念点になると考えています。
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