ファミリーマートの決算から考えるどうして伊藤忠商事は完全子会社化するのか

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社ファミリーマートです、もちろんコンビニの運営をしている会社ですね。

こんなニュースがありました。

伊藤忠、ファミマを完全子会社化 5800億円でTOB
小売り・外食
2020/7/8 15:28 (2020/7/9 5:23更新)日本経済新聞 電子版
伊藤忠商事は8日、ファミリーマートを完全子会社化すると発表した。5800億円を投じ、TOB(株式公開買い付け)を実施する。新型コロナウイルスを機に消費者の行動が変化し、コンビニエンスストアはこれまでの成長モデルが揺らいでいる。伊藤忠は主軸の消費者向けビジネスに欠かせないコンビニを立て直すため、両社で実店舗とデジタルとの融合など新たな消費ビジネスの構築に取り組む。

どうやら伊藤忠商事はファミリーマートを完全子会社化するようです。もともと伊藤忠商事はファミリーマートの株式を50.1%ほど持つ子会社でしたが100%所有の完全子会社を目指すという事です。

今回は、どうして伊藤忠商事はファミリーマートを完全子会社化するのかについて考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

2020年3月~5月期の売上高は15.9%減の1117億円、事業利益は54%減の89.8億円、純利益は67.9%減の67.8億円となっており大幅に業績が悪化している事が分かります。

そしてその業績悪化の原因は外出自粛によるものだとしています。
テレワークになったことで特にオフィス向けのコンビニの需要が大きく減ってしまっています。
オフィスに出社しないので、朝ごはんやお昼ご飯をコンビニで買っていたり、ちょっとした休憩で買い物したりといった需要がなくなってしまったわけです。

とはいえコンビニは日本各地に点在していますからリスク分散が出来ていそうですが、今回の新型コロナに関してはほぼ全ての地域で外出自粛が起こりましたからその影響が出てしまったのでしょう。
私自身も緊急事態宣言中などはコンビニに行く回数が減りスーパーに行くことが多かったような気がします。
時間も増えましたし1日の中で外出時間が減ったのでスーパーで1度に多めに買う事が多かったですね、もしかしたら私と同じような方が多かったのではないでしょうか。

こちらの資料をご覧ください。

外出自粛の影響によって売上や利益は大幅に悪化しながらも営業キャッシュフローは、498億円→1527億円へと1029億円も上昇していた事が分かります。

そしてその大きな要因は預り金の増加のようです、そしてこれは決済サービスファミペイによるものだと考えられます。
ファミペイにチャージした分だけ預り金として増えてキャッシュフローを良化させているという事です。

ファミペイは今のところファミリーマートと「Kaema」というECサイトでしか使えないようですので、預り金の分はほぼ丸々将来の売上につながるでしょうから、売上を前払いとして受けとったとも考えられます。

全てがファミペイではないと思いますが、預り金は2097億円ほどありますのでこれだけ売上の前払いを受けているとすると企業としては非常に強いです、資金を前払いで回収できるというのは資金繰りも良化して、投資もしやすくなるからです。

また、各社の決済サービスの覇権争いはかなり激しく、大幅な還元をするなど赤字を出しながら投資を進めています、最近ではそれに耐えきれずOrigamiなどは経営が行き詰まりメルカリに吸収されましたよね。

現状は資金力が莫大なPayPayが優勢な感じですが、小売り業者のやる決済事業はそういった世界とはまた違った戦い方が出来るので強いです。
ファミペイなど自社の小売りの売上が莫大な企業は、自社の取引で利用してもらうだけでも他社決済サービスに手数料を取られることはありませんのでそれだけでも元が取れ、赤字を掘りながら投資してシェアの拡大を進める必要性がないという訳です。

それでは現状把握が出来たところでそろそろ、なぜ伊藤忠はファミマを買収するのかについて考えていきましょう。

この資料から分かるように実はファミマは前期の段階で売上高が16.3%も減少しながらも事業利益は47.6%も増加している事が分かります。

なぜこのような推移になっているのかというと、大規模な不採算店舗からの撤退と早期退職を行ったためです。
その改革が上手くいっていたために売上は減少しながらも利益は増加となっていたんですね。
過去記事:ファミリーマートの決算にみる早期退職募集の理由

実は不採算店舗からの撤退というのは新型コロナに関係なく、昨年ぐらいからコンビニ各社で起きていた流れです。
すでにコンビニの市場はかなり飽和状況となっており、どのコンビニ大手も拡大路線を続けていましたが撤退戦が始まりだしたという事です。

今までの拡大一辺倒路線とは違った戦い方が求められる段階に入っているという事で、これまでの拡大が正義という企業カルチャーも変えなければならないですし、変化に伴う問題にすぐさま対応していく必要性があるので、迅速な意思決定が必要となってくるでしょう。

つまり伊藤忠としては、短期の利益を重視するステークホルダー(少数株主)の影響を受けることなく迅速な意思決定で改革をしたいのではないでしょうか。

さらに新型コロナによる業績不振の影響もあり、完全子会社化の発表前には2500円ほどあった株価が1800円弱まで30%弱ほど下がっていましたので以前よりも買いやすくなっていたというのも大きな理由でしょう。

という事で伊藤忠がファミマを完全子会社化した理由としては、拡大路線からの転換をする中で主導権をもって迅速な意思決定をしたかった、株価が下落していたので買いやすくなっていたという事がありそうです。

ちなみにローソンは三菱商事の子会社ですし、ミニストップはイオンの子会社です。
コンビニ各社は似た状況にいますし、ファミマは不採算店舗からの撤退や早期退職などは他社に先駆けて動いていました。

という事は、もしかするとローソンやファミマでも同じような動きが起きるかもしれませんので注目です!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?