スカパーの決算から考えるメディア事業の拡大はしない話

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社スカパーJSATホールディングスです、有料チャンネル放送であるスカパーを運営している企業ですね。
さて、こんなニュースがありました。

スカパーJ 3日続落、減益予想に失望売り(銘柄診断)
2020/6/29 17:48

29日の東京株式市場でスカパーJSATホールディングス株が3日続落した。一時は前週末比38円(9%)安の386円と2カ月ぶりの安値を付けた。「巣ごもり」銘柄の一角と期待されていたが、25日に2021年3月期の連結純利益が前期比33%減の80億円になる見通しだと発表。失望売りが広がっている。

この日の終値は33円(8%)安の391円。売買代金は発表翌日の26日からさらに4割増えた。

どうやら巣ごもり銘柄と思われていたスカパーは、2021年3月期に減益となる見通しを発表したことで株価が大きく下落してしまったようです。

今回は減益の見通しとなってしまったスカパーの今後はどうなるのかについて考えていきましょう。

まずはこちらの資料をご覧ください。

営業収益は14.9%減の1385億円、営業利益は0.2%減の152.6億円、純利益は24.2%増の120.2億円となっており、営業収益(売上)は大幅に減少しながらも営業利益は微減の横ばいとなっている事が分かります。

ちなみに純利益は大幅増となっていますが、これは税金の支払額が減少したからであって、税引き前の純利益は155.1億円→154.9億円とほぼ横ばいとなっていますので今回はここには注目しません。

続いてこちらの資料をご覧ください。

スカパーの事業セグメントは①メディア事業(有料チャンネルのスカパー)②宇宙事業と2つある事が分かります。
①メディア事業:売上高976.4億円・利益30.7億円
②宇宙事業:売上高535.3億円・利益129億円
となっており、売上高こそメディア事業が大きいですが、利益面では宇宙事業が明らかに大きいことが分かります。

減益予測となった2021年3月期に関しても、メディア事業の利益は18億円、宇宙事業は68億円という見通しをたてており、完全にメインの事業が宇宙事業となっている事が分かります。

じつはスカパーを支えていたのは宇宙事業で、スカパーはもはや宇宙事業の会社となっていたんですね。

そして宇宙事業が何をやっているのかというと、「衛星通信業、放送事業者向け衛星回線提供及び宇宙関連事業」という事で人工衛星打ち上げて衛星通信を提供したり、衛星放送向けの回線を提供しているという事です。
あと最近は、飛行機などの移動中にwifiが使えるようになりましたが、そういった移動向けの衛星通信サービスを提供したりもしているようです。

宇宙事業についてもう少し詳しく見ていきましょう。

宇宙事業の営業収益(売上)は733.8億円→535.3億円となっており200億近く売上が減少している事が分かります。
一方で利益はほとんど横ばいですから、これが2020年3月期の決算で売上高が大幅に減少しながらも営業利益は横ばいとなっていた理由だと分かりますね。

ではどうして、売上がこれだけ大きく減少してしまったのかというと、前期に防衛相に通信衛星の売却を行ったからのようです。
この売上げが230億ほどで、今期は原価も213億ほど減少したようですから、その利益は17億ほどだったと推測できます。

つまり衛星売却という特殊要因で前期は売上230億、利益17億ほど業績が向上していたと考えられます。
という事は2020年3月期の宇宙事業は実質的に増収増益だったと考えられますね。

しかし順調に見える宇宙事業ですが、今後の見通しとしては新型コロナの影響を受けるようで航空機などの移動向けサービスがダメージを受けるとしています。

しばらくの間は、航空機の需要、特に国際線は戻りそうになりですからこの影響は続きそうです。

また、2019年12月には、話題のスペースX社のファルコン9から新しい衛星を打ち上げたようで、積極的に投資している事が分かります。

新型コロナによるダメージはあるでしょうが、まだライバルが少ないので利益は出し続けられるでしょうし航空機の需要が戻ってくれば業績の拡大も考えられますね。

続いてメディア事業についてみていきましょう。

メディア事業に関しては加入者数が7万8千件減の317万件となったようで売上は39.3億円ほど減少しています。
しかし広告費や番組供給料を減らしたことによって利益は5.4億円増加していることが分かりますね。

コンテンツや広告にお金をかけないという事は、これ以上の事業拡大は狙っていないのかもしれません。
現実問題としてネットフリックスなどを筆頭に、ネット配信系のコンテンツがものすごく成長していて、掛けられる予算も次元が違いますので、そこにコンテンツで勝つのは不可能に近いですから、コストを減らして最低限の利益は確保しておこうという方針なのでしょうね。

さらにそういった競争の激化だけではなく、新型コロナでスカパーの強みとしていたスポーツ中継や音楽ライブなどがなくなってしまった事も大きなダメージとなっているようで、今後も中止が続きそうですからさらに放送料収入が減るだろうとしています。

今後はスカパー事業は規模を縮小していく予定なのではないでしょうか。
スカパーの強みであるスポーツ中継や、音楽ライブなども放映権競争が激化しているようですし、スポーツなどはスポット需要も大きいのでネット配信系のサービスのように、簡単に課金出来てすぐスマホなどのデバイスで見れるサービスの方がユーザーの満足度は圧倒的に高いでしょう。
資金的にも豊富なネット系のサービスが出てきていますし、スカパーは配信者側からも選ばれずらくなっていくと考えられます。

なのでスカパーのメディア事業は、今後はコストをかけずに規模を縮小して利益優先で進めていき、利益をある程度出せる体質にして、その利益を宇宙事業などの次の事業に投資していくことになるのではないでしょうか。

という事で、今後はメディアとしてのスカパーの規模は縮小するがコストカットによって利益を出し、そしてその利益を宇宙事業など別事業に投資することで規模の拡大を狙っていくと予測します!!
10年後にはメディア事業のスカパーのイメージとは全く別の会社となっているかもしれませんね。

とはいえ今期は、メディア・宇宙ともに新型コロナの影響を受けていますから会社の予想の通り減益となる可能性が高そうです。
需要回復後に特に宇宙事業がどうなるかに注目です!!

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