大塚家具の決算にみるずさんな在庫評価と戦略ミス

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは大塚家具です、お家騒動から経営が悪化し最近ではヤマダ電機の傘下入りとあまりいい話題は聞きませんね。(過去記事:ヤマダ電機が大塚家具を買収した理由)

こんなニュースがありました。

大塚家具、66億円赤字の見通し
ヤマダ電機傘下で業績予想公表
2020/2/10 18:37 (JST)2/10 18:49 (JST)updated
©一般社団法人共同通信社
ヤマダ電機の傘下で経営再建中の大塚家具は10日、2020年4月期(19年1月~20年4月の16カ月)の業績予想を公表し、売上高が368億円、純損益が66億円の赤字になる見通しだと明らかにした。今期から決算期を変更したため単純比較はできないが、前期(18年12月期)の業績より悪化し、赤字が継続する。
消費税増税の影響で年末商戦が振るわなかったほか、新型肺炎のあおりで中国での事業展開が遅れる見込みとなったことが響いた。ヤマダの子会社となったことに伴う会計基準の変更で在庫などの資産評価を見直した結果、約18億円の評価損が発生したことも下押し要因となった。

どうやら66億円の赤字となる見通しの様です、大変厳しい状況が続いていることが分かります。
ちなみに大塚家具は決算期を変更する影響で今期は16か月間となっています、大手のEY新日本有限責任監査法人から有限責任開花監査法人という2019年にできたばかりの新設の監査法人に変わったことが影響していると考えられますね。

面白ポイント!!商品の評価方法の変更

さっそくこちらの資料をご覧ください。

画像1

今期の大塚家具の赤字の理由の1つに、棚卸資産の評価基準の変更というものがありその影響は18億円もの金額となっています。

具体的にどうしてこうなったのか簡単に説明します。

1.棚卸資産の評価基準の変更とは何か

大塚家具のビジネスモデルは家具を仕入れて販売するという家具の小売業ですよね。
そうすると当然仕入れてもなかなか売れない商品が出てきます、在庫というやつです。
例えば100万円で仕入れた新作のソファも、売れなくて時間がたつと当然価値は下落していきますよね。
その下落に対して評価損を計上しなければいけないのですが、そのためにはソファの価値をいくらと判定するのか決めなければなりません。
その評価方法が変わったという事です。

2.ではどのように評価基準が変わったのか

どうやら従来の大塚家具の評価基準は期間によって一定の料率をかけるという手法だったようです。
例えば100万円で買ったソファが1年売れなかったら9掛けで90万円2年売れなかったら8掛けで80万円といったような評価です。

当然個別の商品を見ていくと、もっと価値が下落しているものや意外と下落していないものもあるはずです。
以前であれば市場価値を把握するのは大変な事でしたが、これだけ情報が容易に把握できる時代に一律の料率をかけるという管理の仕方はずさんと呼ばざるを得ません。
業績を少しでも良く見せるためにそうしていたのでしょうが、問題の先延ばしであり本質的に価値のある戦略ではありません。

今期はヤマダ電機の子会社となったことによりヤマダ電機の厳格な在庫評価システムを導入することになり、個別の商品ごとに市場価値を把握するよう必要が出たために、今期に一気に18億もの評価損を計上するに至ったという事です。

こちらの資料をご覧ください

画像2

これは、ヤマダ電機の子会社になる前の前四半期の決算です。
商品というのが在庫の事です、もちろん12月時点では数字が変わっているはずですが大きな変化はないでしょうから、89億の在庫の評価が18億円間違っていたという事でその管理のずさんさが分かると思います。

大塚家具の未来!!

こちらの資料をごらんください

2020年4月期第4四半期決算説明資料

大塚家具は、大幅なコストカットを行っていて人件費などは24%も減らしていますが広告費は増加していることが分かります。

2018年では店舗数は19で2019年12月時点では13となっています、1店舗当たりの広告費を計算してみると。
2018年:約15億÷19店舗=7900万円
2019年:約16億÷13店舗=1億2000万円
つまり1店舗当たりの広告費は4千万円で5割以上も増やしているという事です。

これによって業績は回復に向かうのでしょうか?

こちらの資料をご覧ください

2020年4月期第4四半期決算説明資料1

入店件数も売り上げも大幅に減少しており、広告費が全く機能していないことが分かります。
しかし残りの4か月でさらに広告宣伝を強化するようです。

大塚家具といえば高価格帯の家具を高品質の接客と手厚いサービスで売るというイメージがあります、広告費に金をかけてお客さんを呼び込んだところで人件費を24%も減らしているような現状で十分なサービス提供は出来るのでしょうか?

広告費を減らして、サービス向上にコストをかけて口コミベースでの回復を目指したほうが可能性があるのではないでしょうか

この広告戦略には大変疑問ですので、今後の業績回復は難しいと予想します!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?