レオパレスの決算から考える、村上氏の増資提案を受け入れるのかと、新たな社会問題の火種

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社レオパレス21です、アパートの運営をしている会社ですね。
レオパレスに関しては以前に書いた記事が2つほどありますのでよろしければどうぞ
 ①決算から考える倒産の可能性
 ②決算から考える業績回復の可能性

さてこんなニュースがありました。

レオパレスが構造改革発表 希望退職1000人、不採算事業から撤退

レオパレス21は5日、抜本的な体質改善のため、構造改革を実施すると発表した。約1000人の希望退職を募集するほか、非中核事業や不採算事業から撤退する。希望退職に伴う費用として約30億円の特別損失を2021年3月期に計上する。同社は「構造改革の実施と中核事業である賃貸事業の収益力の強化により、22年3月期以降の黒字化・収益力の回復を目指す」としている。

どうやら、レオパレスは業績不振から1000人もの希望退職を行い、さらに不採算事業からの撤退を行うようです。

さらにこんなニュースもありました。

村上氏 増資引き受け提案 レオパレスに数百億規模
賃貸アパート大手のレオパレス21に対し、大株主の村上世彰氏がきょう、大規模な増資を引き受けると提案したことがテレビ東京の取材で分かりました。金額は数百億円規模だということです。村上氏は「大株主として協力したい」と話しています。レオパレスは、きょう2020年3月期の最終赤字がこれまで予想していた304億円から、803億円に拡大したと発表していて、今後1,000人規模の希望退職者を募る方針です。村上氏の提案については、「必要な情報は適時開示する」としています。

どうやら、村上ファンドなどで有名な村上世彰氏の運営する大株主でもあるファンドが数百億円規模の増資を引き受ける提案したようです。

違法建築問題やサブリースの途中解約問題など、多くの問題を抱えているレオパレスは増資の提案を飲むのか、今後はどうなるのかについて考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

売上高は、14.2%減の4335億円、営業利益は73.9億円の黒字→364.7億円の赤字、純利益は686.6億円の赤字→802億円の赤字となっており、赤字幅も拡大していますし、営業利益が赤字に転落したという事で、前期のように特殊な要因で赤字となっただけでなく本業で稼ぐことが出来なくなっている事が分かります。

続いてこちらをご覧ください。

レオパレスは①賃貸②開発③シルバー④ホテルリゾート・その他という事業セグメントを抱えており、さらにすべてのセグメントで赤字となってしまっているうえに、ほとんどのセグメントで計画を大きく下回っている事が分かります。

このようなずさんな計画を立てている事もそうですし、以前に「決算から考える倒産の可能性」の記事でも書きましたが、不正建築の工事補償損失に対する引当金を大分少なく見積もって小出しに計上していることからも、ガバナンスが良くない事が想像できますね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

レオパレスの主力事業はもちろん賃貸事業なわけですが、売上高は4263億円→3889億円へと大幅に減少する一方で売上原価は3636億円→3680億円へと微増となっており、売上が減ってもコストが減らない構造になっている事が分かります。

レオパレスの賃貸事業は不動産オーナーからレオパレスが借上げをして、貸出すという事をしているわけです。

つまり、入居率が下がっても不動産オーナーに支払う額が変わらないのでコストが減らないという事です。
以前にこうなった際には30年という契約だった所を、一方的に契約破棄して大問題になりましたからまた同じ事は出来ないでしょう。

つまり一連の問題による入居率の低下のダメージを大きく受けてしまう構造になっているのですね。
今後も需要が回復するかはかなり怪しいですし、「決算から考える業績回復の可能性」の記事で書いたように適正価値よりも安く貸し出す事でしか空室率を下げられなくなる可能性が高いので業績の回復は難しそうです。

続いてこちらの資料をどうぞ。

レオパレス自体も2021年3月期は80億円の最終赤字になる見通しを発表しています。

さらにレオパレスの純資産は2020年3月期の時点で15.89億円となっていることも分かります。
第2四半期までの純利益予想が140億円の赤字ですから、単純計算で第1四半期の時点で70億円ほどの赤字となるわけです。(もちろんそんな単純計算で行くわけがありませんが)

つまり、次回の決算で債務超過に陥るのはほとんど間違いないわけです。。
だからこそ村上世彰氏は、数百億円にも及ぶ増資の提案をしたという事ですね。
債務超過になるので、増資による資本の回復が必要な状態が来ることが間違いないわけです。

また、村上氏とレオパレスの現経営陣は、前回の臨時株主総会で現経営陣の刷新を求めて争っていました、結果としては村上氏側が負けてしまったという経緯があります。
レオパレスの時価総額は2020年6月8日現在で602億円ほどですから、数百億円規模の増資を受け入れればほぼ間違いなく過半数を村上氏側が持つことになるでしょう。

となると現経営陣が刷新される可能性は非常に高く、増資の提案を受け入れない可能性が十分にあります。

もしかすると今頃、現体制を受け入れてくれる別のスポンサーを探して動き回っているのかもしれません。

今のレオパレスに状況を考えると、そう簡単に増資を受け入れてくれる別のスポンサーが見つかるとは思えませんので、一旦増資提案を受け入れずに別のスポンサーを探すが見つからず、最終的に村上氏からの増資を受け入れる事になると予測します!!

レオパレスの未来!!

さて、業績が非常に厳しいレオパレスですが復活の兆しはあるのでしょうか?

レオパレスはこんな施策を打つとしています。

まずは当初のニュースにもあった通り1000名にもなる希望退職の実施、つまりコストカットです。
不採算事業からの撤退も発表していますし、規模を縮小して賃貸事業で収益性の向上を狙っていくという事ですね。

そしてその賃貸事業の強化策として、法人営業の人員増加と外国人顧客の獲得を強化していくと発表しています。
日本人顧客にはイメージの悪化が大きすぎるので、外国人顧客を取りたいという事でしょう。

続いてこちらの資料をご覧下さい。

日本として外国人労働者の受け入れが今後も増えるという事で、レオパレスを社宅として貸出需要を取ろうとしている事が分かります。
外国籍の方は不動産が借りにくいので、伸ばしやすいだろうという事ですね。
これが法人営業を伸ばす×外国人需要を取るという施策だという事です。

さて、日本の外国人技能実習制度は非常に評判が悪く、悪質な企業による低賃金労働や不当な搾取など多くの問題が発生しているわけです。

問題が多発している現状を考えると、どこかの悪質な企業がレオパレスを社宅として借上げ1K の部屋に何人か住ませ、不当に高い家賃を天引きするような企業が出ることも十分考えられます。

そういった使われ方をされないためにも、貸し出す法人の調査や、きちんとした対策を講じておく必要があると考えられますが、現在のレオパレスのガバナンス状況、業績回復が急務で利益最優先の状況だと大丈夫でしょうか。
疑問は残ります、今後新たな社会問題の火種を産んでしまう可能性があります。

という事でレオパレスは債務超過となり増資が必要になり、村上氏側と一旦もめた後に増資を受け入れる。
その後は賃貸事業の回復のために、外国人労働者向けの社宅として法人へ手広く貸し出すが、それが新たな社会問題の火種となる事を予測します。

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