大戸屋の決算から考える第三者割当増資でコロワイドの保有比率が2/3を超える話

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社大戸屋ホールディングスです。
定食屋の大戸屋を運営している会社ですね、最近ではコロワイドによる敵対的TOBを仕掛けられ大きな話題となった企業です。

結果としてはコロワイドが47%の株式を取得し大戸屋を傘下と収める形になり、その後は大戸屋の経営陣は大半が解任されコロワイド側の経営陣が新たに送り込まれることになりました。

ちなみに過半数は取れていませんが傘下企業という扱いになるのは、議決権を行使しない方も多いので議決権行使比率を考えると47%あれば実質的には過半数を取っていて、さらに経営層もコロワイド側という事でもう実質的に子会社だよねとなるからです。

さてこんなニュースがありました。

大戸屋HD、14億円の債務超過 コロワイド傘下で再建
企業決算 小売り・外食
2020/11/10 22:31

外食大手コロワイド傘下の大戸屋ホールディングス(HD)が10日発表した2020年4~9月期の連結決算は最終損益が46億円の赤字(前年同期は1億7400万円の赤字)と同期間として過去最大の赤字幅となった。来店客数の減少から数年前から急激に業績が悪化。有利子負債が膨らみ20年9月末に14億円の債務超過に陥った。コロワイド傘下で経営再建を図るが、コロナ禍の影響もあり先行きは厳しい。

どうやら46億円もの赤字となり債務超過となってしまったようです、コロワイド傘下となりいきなりかなり厳しいスタートとなってしまった大戸屋の今後がどうなっていくのかについて考えていきましょう。

それでは早速こちらの資料をご覧ください。

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売上高は40.5%減の73.3億円、営業利益は1.8億円の赤字→26.7億円の赤字、純利益は1.7億円の赤字→46.5億円の赤字となっており、大きく業績が悪化している事が分かります。

また、前期からすでに赤字だったという事でそもそも厳しい状況にいたことも分かりますね。

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大戸屋の事業セグメントは①国内直営事業②国内フランチャイズ事業③海外直営事業④海外フランチャイズ事業と4つある事が分かります。

それぞれの事業の業績の推移は
①国内直営事業:売上39.9億円(41.0%減) 利益2.9億円の赤字→16.6億円の赤字
②国内フランチャイズ事業:売上22.2億円(42.6%減) 利益4.1億円の黒字→370万円の赤字
③海外直営事業:売上9.5億円(33.9%減) 利益340万円の黒字→2.1億円の赤字
④海外フランチャイズ事業:売上0.8億円(28.9%減) 利益800万円(84.9%減)
となっており全ての事業で業績が悪化してしまっています。

また直営店事業は新型コロナの影響が無かった前期の時点で既に赤字で、フランチャイズ事業の方が黒字となっている事からも分かる通りで、前期の時点で大戸屋は直営店の赤字をフランチャイズ店からの収益でまかなっていました。

なのでフランチャイズ事業の業績の悪化というのは大きなダメージとなるわけです。

フランチャイズからの収入は売上の5%のロイヤリティ収入や食材の卸などで、当然店舗数が多いほうがその収益も大きくなるわけで、フランチャイズ店の店舗数が減少してしまうと業績は悪化してしまいます。

では新型コロナもありフランチャイズ店の店舗数はどのようになっているのでしょうか?

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4月には202店舗だったところから9月末時点では185店舗まで減少してしまっている事が分かります。

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既存店の売上を見ても9月の月次でも20%減、上半期では31%減というような状況ですので、フランチャイズ店が業績の悪化に耐え切れなくなり退店が増えていったと考えられます。

またフランチャイズ店の、大戸屋からの食材の仕入れにはには大戸屋の利益分が乗っかっているはずです。

となるとコスト的には直営店より高くなっているはずですので、直営店が儲かっていない中でフランチャイズが儲かっている可能性は低いですよね。

直営店が前期から赤字だった事を考えても、フランチャイズ店の多くが前期から赤字だった可能性が高く、そんな中で新型コロナがとどめとなってしまっい、退店が進んでしまったと考えられますね。

また、今から大戸屋でフランチャイズを始めようと思う方がそれほど増えるとは考えにくいでしょう。

そもそも直営店が赤字で儲かっていなかった事や、コロワイドともめていた事、さらにコロワイド関連ではイメージダウンとなるようなニュースも結構出ていますので、これからFC経営を始めたい方であえて大戸屋は選ぶ方は少なそうですよね。

となるとフランチャイズ店の減少は続いてしまい業績の悪化が続きそうです。

そんな業績的には厳しい状況ですが財務状況は大丈夫なのでしょうか?

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大戸屋の現預金や売掛金などの手元資金は26億円ほどあり、流動資産では32.3億円ほどある事が分かります。

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一方で流動負債は53.3億円ほどとなっており財務状況は楽ではない事が分かります。

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さらに、業績の悪化によって営業キャッシュフローは23.3億円のマイナスとなっており大きく資金を失ってしまっている事が分かります。
今後も業績の悪化が考える中で本格的に資金繰りが厳しくなっていきそうですよね。

また、流動負債は前期の31.1億円から大きく増えていますが、その要因は短期借入金が6億円→30億円へと増加していることだと分かります。
新型コロナによる資金繰りの悪化を借り入れで補ってきていたという事ですね。

という事は短期借入の借換えや、増資などの資金調達が必要になってくるわけです。

それでは、どのような資金調達を行っていく可能性が高いか考えるためにこちらの資料をご覧下さい。

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今回大戸屋は債務超過となってしまっていたわけですがそんな中でも、本部費をはじめとする経営効率の改善などを通じて収益性の向上を図っていく事に加えて、債務超過の解消に向けて適切な措置を講じるべく検討を開始しており、今年度中にの債務超過を解消する見通しを立てています。

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では今期の業績の見通しはというと利益面では現在の25.1億円の赤字から48.6億円へと赤字幅が拡大する見通しを立てている事が分かります。

という事は業績の回復によって債務超過を解消するという事では無い訳です、となると考えられるのは増資という事になりますよね。

あれだけの争いを繰り広げて47%ほどの保有比率であるコロワイドからすると、公募増資によって保有比率の引き下げを容認することは無いでしょう。

となると今後起こるのはコロワイド、もしくは他のコロワイド傘下企業への第三者割当増資という事になります。
そして財務状況も良くない、債務超過も解消する必要がある中で増資の金額は多額となる可能性が高いです。

なのでこの増資で株主総会の特別決議が出来るようになる2/3以上を取得する形になるだろうと思っています。

かなりの希薄化が起こる可能性が高そうですね。

という事で、業績としてはFC店が減少して業績の悪化が長期化する。
資本政策としては、コロワイドへの第三者割当増資によって特別決議の要件を満たす2/3以上まで出資比率を上げていく事を予測します!!

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