ワタミの決算から考える今後の業績と飲食店大量閉店時代の話

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは、ワタミ株式会社です。
居酒屋チェーンの和民で有名ですが、その他にも多数の飲食チェーンを展開しており、宅食事業なども最近は拡大しています。
こちらの資料をご覧ください。

最近よく見るようになった、ミライザカや鳥メロなどもワタミの運営するチェーン店なんですね。

さてこんなニュースがありました。

居酒屋大手 ワタミ 国内65店を閉店に 新型コロナ影響

居酒屋チェーン大手のワタミは、新型コロナウイルスの感染拡大で休業した店舗のうち、今後も採算が見込めない国内の65店について、営業を再開せずそのまま閉店することを決めました。
国内で491店を展開するワタミは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、先月からおよそ400店の直営店舗を臨時休業にしていて、その影響で先月の売り上げが前の年の同じ月に比べて90%以上落ち込みました。

どうやらワタミは65店舗もの閉店を決めたようです。
以前記事を書いたロイヤルHD(ロイヤルホストの決算から考える70店舗閉鎖の理由と今後の業績)やコロワイドなども大規模な閉店を決めており、大手チェーンの大規模な閉店が目立ちますね。

今回はワタミの今後と飲食店の大規模閉店時代について考えていきましょう。

まず、売上高は3.9%減の909億円、営業利益は91.3%減の9200万円、純利益は13.7億円→29.4億円の赤字となっている事が分かります。
営業利益ベースは大幅減となってはいますが何とか黒字を保ったものの、純利益では29.4億円以上もの赤字となってしまったようですね。

それでは、もう少し詳しく内訳を見ていきましょう。

ワタミの事業は①国内外食②宅食③海外外食④環境⑤農業と5つのセグメントに分かれており、その中でも国内外食と宅食が売上の9割以上を占めている事が分かります。
なのでメインの2事業に絞って見ていきましょう。

①国内外食:売上477億円→469億円(1.7%減) 利益11.5億円→2.4億円(79.1%減)
②宅食:売上376億円→344億円(8.5%減) 利益21.5億円→22.3億円(3.7%増)

売上こそ国内外食の方が規模が大きいですが、減収減益となっており、前期の利益率は2.4%、今期の利益率は0.5%と非常に利益率が低い事が分かります。

そして利益のメインは前期から宅食事業だという事も分かります。

また、最終赤字となってしまった要因としては、冒頭のニュースの通り大規模閉店を行うための減損損失を17.2億円ほど計上した事が主要因だと分かりますね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

主力事業の1つである、宅食事業について減収ながら増益となった要因としては生産体制の見直しだという事が分かります。
かなり抽象的なので具体的には分かりませんが、単純に言うとコストカットだと考えられますね。

宅食事業に関しては、競合が増加していることによって売上高は減少してしますし、今の状況を考えるとキッチンや店舗などの稼働率を上げることが重要になってくるでしょうから、さらに参入企業が増える可能性が高いです。
という事で今後も大幅な業績の向上は望めなそうです。

続いてこちらの資料をご覧ください。

国内外食事業の売上高は、第3四半期までは既存店で前期比で99.5%とほぼ横ばいですが、2020年3月の売上が既存店において59.6%となっている事からも分かる通り新型コロナによる影響が業績悪化の要因だという事が分かりますね。
また飲食業界を見渡すと、多くの企業が人件費と材料費の高騰によって利益率を落としていますから、ワタミにおいても大幅な減益の要因についてはそれもあると考えられます。
実際に2019年4月~12月期の決算では売上は6億円ほど増加していましたが、利益は3億円ほど減少となっており収益性が悪化していました。

続いてこちらの資料をどうぞ。

新型コロナの影響が本格化した2020年4月には、既存店売上が前期比7.5%となっており大打撃を受けている事が分かります。

つまり、国内外食に関してはもともと「利益率が低かった」=「不採算店舗が多かった」所に人件費や材料費の高騰といった市場環境の悪化に加えて、新型コロナが襲ってきたという事です。

これが大規模な閉店を決めた理由と考えられますね。

さて新型コロナによって飲食業、特に居酒屋業態は大打撃を受けおり、前期比で売上が10%以下となるような所も多数出てきています。
現在の店舗数を維持することが難しくなっている企業は多いでしょう。
そして、ワタミと同じように近年の賃金上昇・材料費高騰といった要因でそもそも抱えている不採算店舗が増加していた企業が多い事も想定できます。

通常大規模な閉店をしてしまうと、企業イメージの悪化(あそこ人気ないらしいよ的な噂)に繋がってしまうので難しいのですが、新型コロナは実際に業績に大打撃を与えていますから、嘘を付かない言い訳として非常に有用なわけです。

となると今後も不採算店舗の大幅な撤退を始める企業が増加する可能性は高いのではないでしょうか。

ワタミの未来!!

続いてこちらの資料をご覧下さい。

現預金、売掛金といった手元資金が186億円ほどあることが分かります。

これに対して、流動負債が163億円となっており資金的には余裕がある事が分かります。
この数字は飲食業界の中では高いほうです。
飲食店というのは日銭商売なんて言われたりするように手元資金は多くないところが多いんですね。

それはどうしてかというと、外食した際をイメージしてもらえると分かりますが売上と入金が一致していますよね。
ちょっと前だとカード支払いだと入金が1か月後なんてこともありましたが、今では数日後には入金するところが多いです。
それに対して仕入れに対する支払いは1か月後だったりするので、お金が先に入ってくるのでそこまで多くの資金を残しておかなくても経営が出来るわけです。

例えば仕入に対しては支払いが後なので、月末の50万円の支払いのために今月50万円分売れば間に合うわけです。

だからこそ新型コロナで、売上がほぼ立たなくなってしまい経営が立ち行かなくなった所が多かったわけですね。

さて、閉店するとなると場所によっては違約金や現状復帰費用などが掛かるわけですがワタミはその費用が掛かっても大丈夫なのでしょうか?

差入保証金という科目が71.8億円ほどある事が分かります。
通常賃貸で飲食店を始める際には、家賃の数か月分を保証金として支払う事が通常ですから、閉店関連の多くの支払いはここからされるわけですね。
店舗によっては戻りもあるでしょうし、実は閉店によって資金繰りにに影響は出にくいです、むしろ良化する可能性もあります。

という事でワタミは飲食店にしては資金的余裕がありますので、新型コロナに関しても耐えることが出来そうですし、今後は飲食業界で撤退するところも増えていくでしょうから、好立地に安く出店することが出来ればチャンスとなるかもしれませんので注目です。

とはいえ、今回の件で資金が削られた事は間違いないでしょうし、利益のメインである宅食も競合が増えている現状を考えると業績が大きく向上する事はないと予測します!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?