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独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

大木 毅 著『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』を読みました。

「独ソ戦」とは、第二次世界大戦に行なわれた、ドイツとソ連の戦争のことです。
第二次世界大戦の核心、主戦場といってよい戦争です。

ソ連は1939年の段階で、1億8879万3000人の人口を有していました。
そのうち軍人・民間人あわせて2700万人が、独ソ戦によって命を落としました。
ちなみにアジア太平洋戦争における日本人の犠牲者は、軍人・民間人の合計で310万人と推計されています。
十分に悲惨な数字ですが、独ソ戦におけるソ連の損害は桁がちがうのです。

「独ソ戦」を知ることは、第二次世界大戦、あるいは現代史を学ぶ上で欠かせません。
それにも関わらず、日本では独ソ戦の重要な側面が一般に理解されていません。
特に1991年のソ連崩壊によって、史料公開や事実の発見が進み、欧米の独ソ戦研究は飛躍的に進んだのですが、日本では独ソ戦をテーマとした文献は、ほとんどアカデミシャンが読むだけの専門書か、一般向けの戦記本(1970年代の水準にとどまったもの)に二分されていました。

そこで本書は、独ソ戦について、現代の欧米における学問研究を踏まえ、
新書という手に取りやすい形で独ソ戦史を提示することを目的として出版されました。
ナチズム、ホロコーストとの関連や、政治外交史側面や戦時経済のことも触れた通史として、独ソ戦に関心があって勉強したいと思っている人が、最初に手に取る本として優れています。

独ソ戦には、「通常戦争」「収奪戦争」「絶滅戦争」の三つの形があり、それぞれが並行する形で進められたと言います。しかし優勢が危うくなってくると、「収奪戦争」と「絶滅戦争」の比重が大きくなっていきました。

  • 通常戦争:ある程度の合理性をともなう戦争

  • 収奪戦争:民間人の食料を収奪し住民を飢え死にさせるなど、敵を徹底的に搾取・支配する過酷な戦争

  • 絶滅戦争:敵を「劣等人種」とみなし、合理性を欠いてでも皆殺しにすることを目的とした究極の戦争

はてなブログ「そういちブログ」に本書についての書評が書かれているのでご紹介させていたします。以下の記事をご覧になるだけでも、独ソ戦についての理解が深まると思います。

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