【令和版】魔女の寄り道(1)
「あなた、魔女ですよね?」
あなたは魔女ですかと質問されて、はいそうですと答える人間は存在しないだろう。
「仰る意味がよく分からないのだけれど……」
沼森 美智子は緊張を悟られないよう、平静を装って答えた。
――確かに美智子は魔女である。
今まで魔女ということを隠して生きてきた。
人前で魔法を使ったことはないし、自分が魔女であることを誰かに言いふらしたこともない。
しかし、目の前にいる20代くらいと思わしき女は、面識がないはずの美智子のことを魔女だと見抜いた。
只者で