見出し画像

想像で世界を旅する #おうち旅行

その一枚の写真から、世界を想像できないのであれば、旅に出ることはあまり有意義なものではないのかもしれない。

二十歳そこそこの僕はそう考えていた。

自分を取り巻く世界がある。
自身の内に広がる世界がある。
自身の内外から離れた世界がある。

旅とは、世界を広げることだ。
確かにそこに存在しているけれど、自分の世界に含まれていないもの。
並び立つ世界の一端を知ること。
旅は精神や心と呼ばれるものを拡張させてくれる。
波のさざめきや、草木が擦れる音が聴こえるようになる。
水の味が分かり、空気の匂いを感じられるようになる。
その場所で人や動植物がきちんと生きていることを理解できるようになる。

画像1

今、この瞬間、誰もいない場所がある。
そこは山なのかもしれないし、海なのかもしれない。
どこだっていいんだ。
大切なのはその場所でも、きちんと世界が続いているということ。
風が吹いているかもしれない。
雲が存在し、雨を降らせているかもしれない。
海面はその一粒一粒を享受し、静かに雪のように積もっているのかもしれない。
旅とは、それらのほんの一部、世界の秘密に触れることだ。
だからここではこの写真がどこなのか言及しない。
自由に想像してほしい。
旅とはきっとそういうものなんだ。

画像2

思い描けることは沢山ある。
ここは上の写真と同じ場所だ。
同じ場所から見た景色ですら、視点や時間を変えれば、世界はまた大きく変わる。
旅とはきっと……


きっと……


……


……ん?


画像3

……えっ?


……えっと

……どちらさま?

画像4

???「あの時、助けていただいた人魚のアリエ◯です」

あーはいはい。人魚のアリ◯ルさんですか。あの時はどーも。(ってか足見えてるし)

ア◯エル「あっでも著作権的にマズいかもしれないから気軽にアリーって呼んでね」

あーはいはい。アリーさんですね。どーも(ってか手に持ってるものはなんだよ)

アリー「何でも世間が大変だから#おうち旅行という企画をやっているんだってね」

ええ。そうですよ。ってか企画とかメタなこと言わないでくれますかね。折角クールで知的でミステリアスな文章で乗り切ろうとしてたのに。

アリー「私もお手伝いするよ!!」

……えっ?

アリー「私がクールで知的でミステリアスない〜の君のために、いくつかおすすめの旅先をピックアップしておいたよ!」

(この人僕のことクールで知的でミステリアスだって思ってくれてるんだ。好きだ。扶養だ)キュン

アリー「それじゃあめくりめく電子の旅にレッツゴー」

レッツゴー!




画像5

アリー「まずはここだよ」

アリーさんの親戚ですか?
同じ作画臭がプンプンするんですが……

アリー「アメリカはニューヨークにある自由の女神像だよ」

ほー。これがあの自由の女神像ですか。
スカート?にfreedomって書いてますもんね。

アリー「自由の女神像はアメリカ合衆国の独立100周年を記念して、独立運動を支援したフランス人の募金によって贈呈され1886年に完成した。アメリカ合衆国の自由と民主主義の象徴であるとともに、19世紀以来絶えることなく世界各地からやってくる移民にとって新天地の象徴ともなっている。アメリカ合衆国ナショナル・モニュメントに指定されている。1984年にはユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。んだよ。」

へー。アリーさん詳しいですね。まるでウィキペ◯ィアからコピペしたみたいだ。

アリー「ちなみに正式名称は「世界を照らす自由」だよ。私たちがいつでもどこでも自由に生きていけるためにこの場所から優しく照らし見守ってくれてるんだね」

(なんか良いこと言ってるっぽいんだけど、女神像の左右の腕の太さがアームレスリングの選手かよってくらい違いすぎて何も入ってこない。)

アリー「アメリカは堪能したかな? それでは次の場所に行ってみよう!」

えっ? 早くない?
本場のハンバーガーは?
ラスベガスで一攫千金は?
グランドキャニオンの壮大な風景や、ナイアガラの滝の圧倒的な迫力は?

アリー「作画担当の人が描けないから無理だよ! さぁ次々!」



画像6

アリー「これも世界的に有名なスポットだね」

わかんねぇ。

え? スポット?
何か吐き出してる、何かの生き物がいるだけなんすけど。

アリー「マーライオンだよ」

言い切ったな。マーライオンだって。

アリー「シンガポールの象徴的存在であり、マーメイドとライオン= Mermaid の maid の部分を lion に置き換えた英語語彙の造語である。また、英語の mermaid [ ' マァメイド ] という語形を見て、“海” の mer- が入っているため、 フランス語の 「海」 Mer と、シンガポールの 名の元になったライオンを合体させたものと度々勘違いされるが、シンガポールは、ヨーロッパの言語に関して言えば「英語しか通用しない国」 であり、フランス語とは無関係である。だよ」

(またウィ◯ペディアからコピペしてきたな)
ん? マーメイドとライオン? マーメイド?

アリー「つまり私の叔父さんだよ」

お、叔父さん?
あーそうですか。つまり里帰りみたいなもんですね。あーはいはい。完全に理解したわ。

アリー「ちなみにシンガポールには7体のマーライオン像があって、みんな私の親族なんだ」

へー。

アリー「反応が薄いね。じゃあ最後はクールで知的でミステリアスない〜の君が一度は行ってみたいと思っているあの場所に連れてってあげるよ!」

えっ!マジすか!?

アリー「レッツゴー!!」




画像7

アリー「はい到着!」

だんだんこの作画にも慣れてきたせいか、これはなんとなく分かる。
分かるが……

アリー「スフィンクスだよ」

やっぱり言い切ったな。これがスフィンクスだって言い切りやがったな。

アリー「ギザの大スフィンクス(Great Sphinx of Giza)は、巨大なスフィンクスの石像である。古代エジプトの古王国時代に作られ、カイロ郊外、ギザのギザ台地の、三大ピラミッドのそばにある。一般には単に「スフィンクス」と呼ばれることも多い。全長73.5m、全高20m、全幅19m。一枚岩からの彫り出しとしては世界最大の像である。だよ」

(さっきのマーライオンでも思ったけど、なんでしっぽがクルッとしてるんだろう。可愛いけどさ)

アリー「それにしてもエジプトは暑いね〜。私の鱗も干上がっちゃいそうだよ」

あー確かに暑いですね。砂漠ですもんねー。(まだ人魚の設定してるんだな。足生えてるけど。共食いなのか手に魚持ってるけど)

アリー「私にできるのはここまでかな。い〜のくんどうだった? 少しはおうちで旅行気分が味わえたかな?」

旅行というか、斬新な前衛芸術を垣間見た気分ですが、まあ楽しかったですよ。

アリー「それなら頑張って描いた甲斐があったよ。私はもうすぐ消えるけど、私のこと忘れないでね」

え? アリーさんが描いたの?
ってか消える?

アリー「私はいつでもい〜の君のこと見守っているからね。バイバイ」

画像8

あっ消えた。

え、ここから終わらせるの?

えーと。

こほん。


その一枚の写真から、世界を想像できないのであれば、旅に出ることはあまり有意義なものではないのかもしれない。

二十歳そこそこの僕はそう考えていた。
今は自信がない。

自分を取り巻く世界がある。
自身の内に広がる世界がある。
自身の内外から離れた世界がある。
自分の理解を越えた作画の世界がある。

あなたは、これらの写真(絵)から世界を想像できただろうか。
もしできたのならあなたはきっと空想を旅することができる。
あと、多分前衛芸術も理解できるだろう。

旅とは、世界を広げることだ。
家にいたって、僕らは旅をすることができる。

さあ、旅に出よう。


ーおわりー





ーーーエンドロールーーー

出演
アリ◯ル(アリーさん)

画像9


自由の女神像

画像10


マーライオン像

画像11


ギザの大スフィンクス

画像12


Special Thanks(イラスト提供)


はるさん。
僕のしょーもない記事にお付き合い頂き本当にありがとうございました。
いろいろ落ち着きましたら獺祭を奢りますので、ぜひ皆でぽしゃけかーにばるしましょうね。


本記事は、こちらの企画に参加したものです。

素敵な企画をたててくださったえみさん。
そして誘ってくださったあきらとさん。
お二人のも多大なる感謝を。

ありがとうございました。

貴方のその気持をいつか僕も 誰かに返せたらなと思います。