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事業部の目線に追いつくため、夜な夜な論文問題を解いている話

いつもの簡単な自己紹介

LAPRASで法務部門の責任者をしています、飯田裕子です。LAPRASでは一人法務にプラスして、働く環境づくり、新入社員オンボーディング 等 興味のある仕事を欲張ってやらせてもらっています。

今CSM等ビジネス職種も募集しているので、ご興味ある方は是非是非。

始まりは、輪読会でプチ挫折したこと

なぜ夜な夜な論文問題を解いているかというと...ちょっと話が長くなるのですが。

まず最近、個人情報保護法の輪読会を大学時代の知り合いを誘って自分が幹事でやり始めました。教材は一時期売り切れ続出だった、噂の二弁本ですが、これがまた事例と法改正が結びついてて勉強になるなる。

色んな人に声をかけた結果、自分以外弁護士4名というなかなかの鬼メンバーでやっているのですが、そこで「勉強のやり方」について思うところがありました。

今回は各々がレジュメを作る形式でやっているのですが、そこでやはり自分と他のメンバーの間に差があると個人的には思っています。

そしてきっとその原因は「法的なロジックを積み上げる」ことが習慣化しているかどうか。弁護士のメンバーはやはりそこがすごくしっかりしていて、1つ1つの条文、文言、判例を大事に読んで掬って自分の力にしている。論理の飛躍があまりないし、細かい条文の単語の定義まで、しっかりと押さえている。

一方、我流で法務をやってきている私の場合は、とにかく結論ありき。普段から細かすぎるロジックは追わずに、まずは結論をスピード感を持って出することを優先している癖が悪く出てしまていて、言うなれば「行政が出しているQ&A」は頭に入っているけど、その間のロジックや法的根拠はごそっと抜けていたり、ガイドライン等の内容や行政処分された事例は把握していてもその根拠条文が抜けていたり。

普段の業務では、急ぎのものを自分で裁き、ちゃんとした確認が必要な部分は弁護士の先生にお願いしてしまうことが多く、それはそれで合理的なのですが、「弁護士の先生が細かいロジックを確認して出した結論」ありきで自分なりに根拠づけをしたり事業部へ回答したりするので、そこの部分の能力がまだまだ弁護士のメンバーに比べて足りてないと感じました。

その点は、司法試験通った先生方にすぐに叶う訳はないけど、資格の有無に関わらずライバルになるのが法務なので、そろそろ手を打ち始めないと、30代後半とかで辛い差がつくぞ...という暗雲たる気持ちになりつつ、早めに問題意識や差を意識できて良かったなとポジティブに捉えることにしました。

「事業部の目線に合わせること」への苦労

そしてちょうど同時期に、事業部メンバーと一緒に新しい事業/サービス等の検討に手をつける場合の、ロジカルな説明力について課題に思っていました。

私の場合、事業部の目線に合わせるということは、子供が全力で背伸びして親に話しかけるような大変さがあります。事業が追っている数字、競合や業界全体の情報、今自社が目指している姿。いつも扱う、条文、判例、ガイドラインの世界とは全然違う世界で、なんとか着いて行かないと...という感じです。

そして特に苦手だと自認しているのが、自分で仮説を立てて、それに対して回答の粒度を揃えつつ、ロジカルに説明すること。

普段は契約書のレビューだったり、明らかなQ&Aだったりと、割と投げられている疑問の粒度が細かい方に揃っているのですが、何か新しい機能だったり、レクリエーション的にアイデアが出たものを法務でも勉強がてら検討してみたりする際には、かなりバラバラな粒度のものを自分で整える必要があります。

自分でまず問いを整理して、適切な粒度に分けて、それに対して同じ粒度の回答を用意して...という過程で、綺麗なツリーになっていなかったり、ロジックが飛んでいたり...本当に重要なものを弁護士の先生に確認していた結果、1年間法務をやってきてもそのロジックの部分の力がついていないということが今の課題だと感じていました。

事業部のメンバーが「これってこういうこと?」とか「ここはこういう理解でいいの?」とか指摘してくれるので、一見法務チェックが滞りなく進んでいるように見えるのですが、できればそういう「確認」や「修正」を受けなくても、スパッと綺麗に事業部と同じくらいのちゃんとしたロジックで返したい。

そして、あわよくば弁護士の先生に確認するとしても、自分なりのロジックをちゃんと持った上で、答え合わせとして確認したい。もちろん、リソースに限りがある一人法務なので、そこまでを一人でカバーしようとするのは欲張りかもしれませんが、今は欲張りたいお年頃です。

弁護士のメンバーと、私の致命的な差はなんだろう?

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そんな課題感を持っていたので、ちょうど勉強会で「私も他のメンバーみたいな調査や発表ができれば、事業部にも伝わりやすくなるはず」と思う反面、「この差はなんだろう」ということを考えていました。

そこで、一番ハッとしたのが、「論文」の存在でした。

AI系のベンチャーということもあり、会社のメンバーは普通に論文を当然学生時代に書いているし、社会人になってからも興味のある論文を読んでいたりする。何なら、AIの研究開発チームはYouTubeとかで毎週気になった論文を紹介していたりします。

また、輪読会で一緒に勉強しているメンバーはロースクールや司法試験において嫌というほど論文答案を書いている。

そうなってくると、法学部で感想文レベルの卒論しか書いておらず、「法的ロジックの通った論文」についてやり切った経験がないことが、今の私の一番の弱点なのでは?という思いがむくむくと湧いてきて、慌ててビジネス実務法務検定の1級のテキストを買ってみました。

はい、あたり。そうこれこれ。

「夜な夜な」と言いつつも、やっとこさまだ何問か着手できた状態ですが、法律のちゃんとした論文答案を書くのって、本当に難しい。普通の論文と違う部分もあるし、根底にある程度の条文や判例の暗記が必要だし、ロースクール受験等で誰かと答案を添削し合ったような経験がない私には、めっちゃ難しい。

でも、ビジ法1級の論文答案を書くと、普段の業務と違って絶対に論理が飛ぶときには気づけるんですよね。なぜなら、法律の論文答案は、明らかに飛躍しているのが分かりやすいような作りにならざるを得ないから。

おそらく、いつものように答えありきで解く頭の使い方ではなくて、自分で積み上げて答えさえも1から作っていく頭の使い方になるから、ちゃんと置き石ができていないことに気づきやすいんだと思います。

あとは、条文や定義や単語の意味までしっかりと理解していないと、どこかで答案が書けなくなってしまうので、択一六法をこまめにひいたり、用語の定義までちゃんと確認したり、かなり細かい注意力がついた気がします。

ビジネス実務法務検定って、なんで1級で急に難しくなって論文試験なんだろう...って思っていたのが、今すごく腑に落ちています。

契約書を見るだけ、質問に答えるだけなら、正しい選択肢を拾えるだけで良いけど、大きな問いを設定して答えを導くには、論理的に法律を使える必要がある。なるほど。考えた人すごい。

ということで、事業部と話が合うようになりたいし、弁護士法務にちょっとでも追いつきたくで、最近は論文試験の過去問を説いて、自分の頭の中に「法的なロジカル」を入れようと頑張っています、というお話でした。

仕事の中でもふとした時に「あ、これビジ法でやったやつ!」とか「あ、ここロジック飛んだ?」とか「これは軸を変えて整理し直さないと厳しいな」とか気づくことが増えたので、もし私と一緒で学部卒法務や未経験法務で、何か行き詰まっている人がいたら、ぜひ一緒にレッツ論文ライフしましょう!!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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※写真は、いただいたひつじちゃんと可愛い感じで撮ったつもりが、完全にサメによる捕食シーンになってしまったやつです。

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