社内のメンバーとのコミュニケーションで気をつけていることを職種別に書き出してみる(〇〇×法務)
この度、ビジネス法務さんの8月号に"他部署と作り上げる「信頼される法務」への意識"というタイトルで寄稿させていただきました。新卒で法務になれず、かなり遠い周り道をした私にとって、業界誌からお声がけをいただき、原稿を載せていただけるのは、本当に貴重な経験でした。
一方で、まだまだ執筆活動がひよっこなため、書きたいことを全て原稿に入れることができず、特に他部門のメンバーとの関わり方については、もう少し職種別で気をつけている点があるのですが、書ききれませんでした…。そこで今回は、ビジネス法務さんに書ききれなかった「社内メンバーとのコミュニケーション」について書いてみようと思います。
僭越ながらビジネス法務さんの原稿を先に読んでいただくと、より伝わりやすい記事かと思いますので、まだ読んでいない方は是非そちらを先に読んでいただけると嬉しいです!!
遅ばせながら自己紹介
LAPRASで法務部門の責任者をしています、飯田裕子です。LAPRASでは法務全般にプラスして、働く環境づくり、新入社員オンボーディング 等 興味のある仕事を欲張ってやらせてもらっています。サメが好きでお調子者な、一人法務担当です。
気づいたら1年半、毎月noteを書き続けていました。まだ法務としての歴は2年に満たないひよっこ若造ですが、法務という仕事が好きです。
さて、本編へ!!
〇〇×法務
まずビジネス法務さんに書いたことが大前提なのですが、あえて再度整理すると、他の職種のメンバーと関わるときに気をつけているのは「契約や法令遵守はそのメンバーのメインミッションではない」ということかな?と思います。あくまで法務は「私のミッション」なので、自分のミッションに人を巻き込む以上、できるだけ相手に負担なくかつ、あわよくば「法務サービス」に対する相手の体験をよくしたいなぁと思っています。
このスタンスは、おそらく元々営業だったことがかなり影響していると思います。当時はなんとなく法律って、夏休みの宿題みたいに「大事だし、やった方が良いのはわかっているけど、そこそこ面倒なもの」だと思っていたので、そう思う側の気持ちもチョットワカル
とはいえ、守ってもらわないと本当にダメなものについては強目のコミュニケーションを取る必要があるので、その際にすでに信頼残高が溜まっている状態にしたいと思っています。
①相手の「法務サービス」に対する体験を向上する
②相手に対する信頼残高を日頃から貯めておく
ざっと要約すると、この2点をすっごい意識して仕事をしています。
営業×法務
営業メンバーと関わるときは、同じ目線で「売上」を追いたいと思っています。月末や期末は他の急ぎ業務を入れないようにして「さぁ、いつでも来いや!!!」という謎のテンションで待っています。
また、集客のための企画等のレビューをする際には、ついでに誤字脱字や導線等もチェックして気づいたことがあればお伝えする。契約書を法務に回し忘れて納期がタイトになってしまった時も1回なら笑顔で許して爆速対応する(繰り返すと怒るけど)、忙しい時期は契約に関わるものは法務からリマインドして抜け漏れを防ぐ、営業担当に合った個別のフォローをする等で信頼残高をがっちり蓄えようとしています。
営業と法務が仲悪くて良いことなんてないですからね!!
エンジニア×法務
エンジニアメンバーと法務が関わるのは、大体新規開発の際のレビューや、個人情報周りの仕様変更の場合が多いです。その際には、リスクはちゃんとヘッジしながらも、実装を大きく変えなくて良い案があれば、できるだけその案をブラッシュアップすることを意識しています。
とはいえ、そんなにシステムの仕様に詳しい訳ではないので、そんなに一発でいい感じの案は出せません。なので、できるだけ取りうる選択肢を多く提示するようにしています。法務からしたら「この手段はないかな」と思っても、一旦すべからく提案してみると、意外と「あ、これなら1日あれば実装できる!」みたいな案が見つかったりします。
それとは別に、エンジニアに信頼残高を貯めるために、毎月「エンジニアの人に知っておいてほしい法務話題」をシェアしています。
実際にいますぐ使える方な法律知識〜時事ネタやエンジニアからリクエストがあったものまでを幅広く取り上げています。特に今自分達が対峙している「業法」については、「レビュー」のタイミングよりも「実装」のタイミングで、さらには「実装」のタイミングより「設計」のタイミングで、つまりよりシステム開発のより上流で知っておくことで、手戻りを大幅に抑えることができます。そのため、ちょっと難しい法律の話をできるだけ噛み砕きつつ、エンジニアに時間をもらってシェアしています。
また「弊社ではすぐには使えなくても、転職後とかに使うかもだし、知っておいて損はない」情報についても、積極的にシェアしています。普段ちょっとした開発で業務を楽にしてもらったり、PC何もしてないのに壊れた時に相談に乗ってもらったりしているので、正直その恩返しの側面が強いのですが…その一方で「ルールは縛ってくるもの」という印象を変えて、いろんな事情や背景でルールができていることを知ってほしいなとも思っています。
あとはやはり、副業とか自主開発とかでも、先進的な技術や斬新な方法を採用すると、場合によっては法的なリスクが非常に高かったりするので、どこに落とし穴があるのかは、保険として知っておいて損はないんじゃない?とも思っています。エンジニア定例に毎週出続けている内に、謎のおかん心が芽生えてきている最近です笑
マーケ/企画×法務
マーケや企画メンバーは、新規のアイデアを、まだアイデアの段階で持ち込んでくれることが多いです。そのため、すぐに「これは無理」と突っぱねてしまうと、「法務に相談するとできなくなる…」という印象になってしまい、ついつい相談が遅れてしまうので「できるだけ着地点を探す」ことを心がけています。
また、場合によっては法務が「くまさんデバッグ」のくまさん役みたいな立ち位置をやることもあります。
やりたいことが明確だけど、手段に選択の幅がある時は、「これって何をもって成功なんですっけ?」「追っかけてる数字ってありますか?」「絶対にこれで避けたいことって何ですか?」等と一丁前に聞いてみたりもします。あとは、具体的な案として出てきた場合は、ユーザーがその企画を知ってから、利用規約を見るまでのユーザー体験をなぞってみたりします。
これは親切でやっている訳ではなく「何がしたいのか」を知らないとユーザーにとって分かりづらい点や契約でケアしたい点が分からず、規約類が作れないためにやっています。また、いくら規約に書いていても、ユーザーが導線上で知り得ない特別なルールを、できるだけ作りたくないという思いもあります。
また、くまさん役をやっていると、おまけでやりとりからポロッと出てくる新規情報があったり、この企画がどの程度煮詰まっているかを推測することでなんとなくの法務依頼の納期感を推し量ることもできるので、割と良い習慣になっています。
あとは、判例とか行政資料とかは、都度都度展開するようにしています。特に国の戦略会議等で人材サービスが挙がったときは、そこで共有することで「国としてどう捉えているのか」みたいなものが見えるので、信頼残高も貯まるし、何より喜ばれます。
コーポレート×法務
最後に愛しのコーポレートチームですが、ここは他の部署とは違って「身内」意識があるので、他の部門ほど「お客さま!」みたいな扱いは正直していないです。
とはいえ、相談に来たビジネスモデルで経理にも頭出しが必要な時にはスレッドに経理担当も召喚したり、SNS頑張って法務の取材してもらうことでPRの助けになったり、あとは地味に古い社員になってきたので「前にこういうことがあった」みたいな情報は法務以外の場面でもシェアするようにしています。親しき仲にも礼儀あり。
コーポレートチームに対しては、「信頼残高」という概念をあまり持ってないというか…根本で「同じ方向を向いたチーム」なので、「事業ファースト」「会社として成長する」みたいな部分で目線が合っている信頼もあり、チームメンバーの優しさにも甘えて、肩肘張らずに仕事をしています。
まとめ
ということで、あの手この手で「気持ちよく法務を使ってもらって」かつ「信頼残高も貯めて置けるように」工夫しているという話でした。
弊社は小規模な会社なので今はこれでやれていますが、今後どんどん拡大していった時には別の工夫が必要になってくると思うので、それはそれでワクワクしています。
そして皆様!私以上に他の執筆者の皆さんの記事が参考になる&豪華なので!!是非8月号読んでください〜〜!!!
最後になりますが、改めてお声がけいただいたビジネス法務の編集部の方、ありがとうございました。九州の家族に送ったら、すごく喜んでくれました!!
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