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先輩訪問でよく聞かれる「法務の魅力って何ですか?」という質問の答えを改めて考えてみる話。

年始で仕事が忙しい傍ら、実は去年から引き続き、この時期は就活生の先輩訪問をできる限り受け入れています。新卒で法務になりたかったけど、全然糸口が掴めずに遠回りした身として、法務に興味を持ってくれた学生さんの力になりたい気持ちが半分。もう半分は自分の仕事を他人に語ることで、努力が言語化され、キラキラした瞳に晒されることで少し元気になるから。

実は1月は本当に忙しくて心の余裕もなく、SNSもあまり追えておらず「noteの連続投稿が途切れてしまっても仕方ないな」と思っていたのですが、自分との約束を破るとそのうち人との約束も守れなくなりそうなので…ちょっと踏ん張ってネタを探し、今回は先輩訪問で聞かれる「法務の魅力って何ですか?」という質問に対して、今の時点(もうすぐ法務2年生が終わる)で思っている「私が法務という仕事を好きな理由」ことを書き残しておこうと思います。こういう質問に対して、一般的な法務職の「魅力」は分からないし伝えられないので、自分なりに「私はここが好き」を伝えることが多いので、若干問いと答えがズレている気もしますが…。

3年後とか5年後とかに見返して「まだまだ法務の面白さがわかってないねぇ〜本当はここがもっと魅力的なのに〜〜」って思えたら幸せだな、と思ってくたびれた体に鞭を打って書いています笑

何も作れない私でも、事業の役に立てるから、法務が好き

何でも屋さんをやっていると自分の苦手分野が嫌でも見えてくるのですが、私は"まだ世にないものを考える・作る"ことが超絶苦手です。先に「ルール」があり、そこに「実現したいこと」が発生すれば、擦り合わせて妥協点を探すことはできるけど、その「実現したい」ことを調査して仮説立てて企画することは本当に苦手だし、プログラミングも当然できません。

そういう点で弊社の事業チームを見てると、アイデアはポンポン出てくるし、精密に調査したり大胆に企画したり、そしてそれをサクッと作ってみたり…なんだろうヒーローに憧れる一般市民のような気持ちになります。事業進捗に関しては、「すげー」って言いながら拍手したり「がんばれー!!」って応援するのが精一杯な、非常に無力な存在です。そう、私には会社が存続する上で一番重要な「利益」を作る方の能力が足りてない。

でも、事業に法律が関わる時は、そのヒーロー達と一緒に肩を並べて仕事ができる。(そして多くの場合、法律はビジネスに関わる。)そうなったら当然、ヒーロー達がやりたいことを実現するために武器をかき集めるし、一丁前に戦略を一緒に考えるし、やり過ぎそうな時は止める。ヒーローにはなれなくても、ヒーローに感謝される研究員みたいな立ち位置になれる。そして、私が強くなることで、ヒーロー達が戦いやすく(利益を生みやすく)なることだってあるはず。

ちょっと曖昧な説明ですが、私は法務のその立ち位置が好きです。だから、みんなが思いっきり得意を発揮するために、面倒なルールやしがらみは任せてほしい。そう自信を持って言い切れる法務になりたいし、そうなることでますます法務が好きになっていくと思います。

ちゃんと勉強した人が報われやすいから、法務が好き

この理由が一番うまく表現できるか不安なのですが…運ではなく、努力によって得たもので評価される方が、努力し甲斐があると個人的に思っています。そういう点見ると法務職は「一番勉強した人が一番評価される」とまでは言えなくとも「評価されている人は勉強を怠らない」「一切法律を勉強していない人が、しっかりと勉強している人に運で勝つことがない」という点で、私には努力し甲斐がある職種だと思えるのです。(もちろん、他の職種もそうなのかもしれないけど…)

法務は知識のアップデートを怠ると、良い仕事ができなくなります。法改正は定期的に起こるし、判例だって毎日何かしらは出ている訳だし、自社のサービスもどんどん進化していきます。そして「知らない」ことはすなわち「能力不足」に繋がります。そのため、私の周囲にいる法務の先輩たちは本当に丁寧に広範囲にわたって勉強するし、ただの雑談についていこうとするだけでもぺーぺーは相当の学習量が必要です。

そして「法学」という学問領域と、「法務」という実務領域はかなり近く、法務だけでは法務になれないというか…丁寧にやっていくとどうしても「法学」に足を突っ込むことになり、その沼は相当深いです。また、「弁護士」というボスキャラみたいなのが最近はたくさんいらっしゃって、実務上でもウジャウジャ出てきます。(お金を払えば相談に乗ってくれるし、勉強方法は気軽に教えてくれる、心優しいボスキャラですが)

そんな中で2年目ペーペーの自分が信じられるもの、自分が戦うための武器となるものが「知識」であり「勉強して知っていることが増える」ことが「強くなる」ことに繋がる。本での勉強や法律の勉強が好きな私にとってはもはや「自分にめっちゃ向いてる感じのRPG」みたい設定に感じて、それが楽しいんです。

あと、小学校って女の子が勉強できてもモテないじゃないですか。むしろ「可愛げがない」とか「勉強ばっかりしても…」みたいに言われた。でも今の私は、その勉強し続けることで得た知識でご飯を食べてるし、さらに知識を得るために伸び伸び勉強している。なんか、そういうの、幸せだと思います。

歴史の1ページに立ち会っている気になるから、法務が好き

大学生の頃の法律の勉強って「要件・効果」の部分を覚えたり理解するのに必死で「趣旨」の部分をあまり丁寧に理解はできていなくて。

その点、社会人になって自分の飯の種として法律に向き合うと、「どうしてこのルールが存在するのか」「このルールが存在することで、国は何をどうしたいのか」みたいなところにも興味が湧いて、ちゃんと調べるようになりました。そうすると、法律が全然違うものに見えます。

そりゃそうで、法律って自然発生するものではなくて、人が作っているものだから。わざわざルールにするには、過去に何かしらの背景があったり、歴史があったり、政治や外交上の何かがあったり…そう考えると、法律って「今の時点でこの国ではこういうルールが一旦はベストじゃない?」という壮大な仮説であって、その仮説を3年とか5年とかで見直すルールとかもあって、自分たちが生きている時代の事件や技術革新等々がまたルールに落とし込まれていく訳で…。

そう考えると、人類史における究極の仮説検証の末端に今自分がいて、現時点でのベストプラクティスに対峙している訳で、そんなの最高だよなぁと思ってしまいます。この法律も誰かが「うんうん」唸って文章にした訳で、文章になる前にもたくさんの歴史や背景や駆け引き?があって…。

なんだろう、人を見るたびに「この人にも子供の頃があって親がいて…」みたいな気持ちになる感じ?で、最近は法律がいちいちエモく見えるお年頃のようで、いちいち感動しています。勉強の進みは遅くなったけど、そうやって遠くに思いを馳せることで、手元の仕事がさらに好きになるのだから不思議。

法務を通して出会う人達が好きだから、法務が好き


法クラが持ってるのは多分基本書ですけどね

幸運なことにnoteやSNS繋がりで、他社の法務の方と繋がらせてもらうこともあり、一つの集団としての"法務の固まり"に所属しているという視点で見ると、総じて法務の人たちって「本当に真面目で議論とか好きだな」って思います。

そもそも仕事じゃなくても割と法律の話好きだし、多分飲み会とかして「この1時間は民法に関連する話題縛りで」とか言っても余裕で盛り上がってなんならそのまま3時間くらい盛り上がれるような…。かくいう私も自分が深く触っている特定の法律についてなら、一晩中は余裕で語り尽くして議論できる自信がある…。

これなんだろうって思ったんですけど、あれです。多分オタクです。
あぁ、単純に我々は「法律オタク」であり、ある意味趣味を仕事にした人間なんだなと思いました。

法務になってから「そんなに勉強ばっかりして何になるの?」って言われたことなんて一度もなくて「あ、それ勉強したんならこれも面白いよ」とか「それ自分も勉強したいから輪読会やろう」とか。そういう「基礎知識をアップデートし続けるのは当然」「努力し続けることは最低ライン」という状況に、自分から進んで入っていくようなストイックさを持ちつつも、法律オタクだからそれが全然苦にならない。そんな気持ち悪い世界。

でもその「法律オタク」みたいな人がうじゃうじゃいて、オタクであればオタクであるほど尊重されるような世界が、個人的には非常にとっても居心地が良いんです。好きになったものが同じ人たちと、法務という職種を通じて知り合い、勉強会したり交流したりして、また明日からもオタ活頑張ろうって思える。

結局のところ、きっと私が法務を好きなのは、そういう人たちに囲まれてる幸運が一番なんだと思います。ということで、みなさま本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ガジガジ


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