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中国IT企業

年内出す予定の新企画がついに6本も同時追い込みという、今まで経験したことがない山越え中。

いろいろとコロナで遅れた企画も集中し、しかもどれも大作で、いくらやっても終わりが見えない、そんなこんなで気がつけば8月は新刊ゼロでしたが、ついに今月9月は、長年かけて出せることになった中国のIT企業の本の翻訳書の企画が出ます。

最近ファーウェイと一緒にトランプから排除されつつある話題?の中国IT企業の「テンセント」のCEO、ポニー・マーこと、馬化騰の著書(共著)としては初邦訳となります。

この本は中国で5年前に出た本の翻訳ですが、中国にITの分野で5年以上は遅れをとっていると思われる日本人が読むとちょうどいいです。どうやってここまで中国のIT企業がアメリカの企業と肩を並べ、脅威と感じられるるレベルまで来れたのかが分かります。

いまだに中国では道路に自転車が溢れているとか、普通にコーモリ食ってるとか、一度も中国に行ったことがない人は、思っている人も相変わらずいると思いますが…これを読むと、中国の若い起業家(馬化騰は、まだ48歳で私と同い年で、アジアトップの資産を持っています)が、全ての日本の上場企業を抜き去るほどの時価総額のレベルに会社を成長させられたのか、それはなぜなのかが少しは分かると思います。

70歳以上の老害が相変わらず政治も企業も支配する日本にはないイノベーションをし続けられる中国企業の土壌、ビジネスモデルとはなんなのか、反中の人も中国脅威論を唱える人も、日本を強くしたいと思う人こそ読んだ方がいいと思います(まあ、余計なお節介ですが)。

本書を読むと、もうすでにテンセントやアリババなどの中国IT企業は次の目標を見据え、すでに準備から実行に移しています。それは農業であったり医療であったり金融であったりしますが(本書では、それらの可能性について書かれていますが、もう5年経っていて、今ではかなり進んでいます。とくに金融と医療はコロナで実際に見せつけられましたが)、特に注目すべきは農業のIT化ですね。中国の巨大な農業がIT化により、近代化と効率化ができたら、「食」の分野でも世界をリードする圧倒的な力を身につける可能性があります。

ただ、この本を読んでいて感じる矛盾は、IT化、インターネットによる変革は、中央集権ではなく、個人のイノベーションが活かされる時代を生み出すということを馬化騰自身が言っていることですが、そうなると中国共産党の一党独裁と矛盾してきちゃいますね。
今は、国家の力も借りて大きくなる中国IT企業ですが、そのうち国家を凌ぐ力を身につけてしまう恐れがあります。今、アメリカのGAFAも、トランプの暴走に歯止めをかけていることからも、それは分かりますが。


ということで、『テンセントが起こす インターネット+世界革命』がアルファベータブックスより9月下旬発売。
翻訳は、数々の中国IT企業の翻訳で実績のある永井麻生子さん。『アントフィナンシャル』『アリババの経営哲学』『シャオミ(Xiaomi)』などの翻訳を手掛けた方です。

よろしくお願いします。


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