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クライアント業務の深い理解で結果につなげる。伊藤忠インタラクティブのEC運営

伊藤忠インタラクティブ株式会社(以下、IIC)のデジタルコマース事業部では、主にECサイトの構築・運用を行っています。

昨今のニューノーマルな状況からか、ECサイト運営に着目する企業も少なくないようで、デジタルコマース事業部には「ECサイトを新たに立ち上げたい」という企業からの問い合わせが頻繁に届いています。

デジタルコマース事業部では、どのようにクライアント様のご要望に応えているのでしょうか。事業部のメンバーに、これまで培ってきたEC運営の技術や知見、EC運営で心掛けていることなどを聞きました。

話を聞いた人---------------------------------------------------------------------
・デジタルコマース事業部
 事業部長 大角尚弘
・デジタルコマース事業部 ビジネスソリューショングループ
 柴木勇介
・デジタルコマース事業部 ビジネスソリューショングループ
 高梨邦拡

■デジタルコマース事業部で行うEC運営とは

――デジタルコマース事業部の事業内容について教えてください。

大角:デジタルコマース事業部では、ECサイトの構築・運営やサポートを行っています。現在は5ブランドと関わっており、複数のアパレルブランドのECサイトを展開するアパレル企業様(以下、A社様)や、大手食品メーカー様などが主なクライアント様です。

――デジタルコマース事業部が手がけるECサイトには、どのような技術が使われていますか?

大角:アパレル企業A社様の場合は、弊社独自のECプラットフォームである「ePlas」を導入しています。

ePlasはECアプリケーションをコアに、システムやネットワーク、決済や物流機能を備えた、トータルECプラットフォームサービスです。販促機能やユーザビリティ機能、オムニ機能など、ECサイトの売上を拡大するための諸機能を取りそろえています。導入プランは2つ用意しており、初期コストを抑えながら短期間でECサイトのオープンが可能となる「スタンダード」と、機能のカスタマイズなどご要望に応じたECサイト構築ができる「エンタープライズ」から選択いただけます。

その他、クライアント様のご要望によっては、スクラッチ開発や別のプラットフォームの導入を提案することもあります。

――ECサイトの構築だけでなく、運営もデジタルコマース事業部で行っているのですか?

大角:クライアント様のご要望に応じて運営代行も可能です。クライアント様により、どこまで関わるかは異なっており、たとえばアパレル企業A社様のECサイトでは、運営自体はA社様が主体で行われています。弊社ではA社様とともに、ECサイトの売上を伸ばすための施策を考えて実施し、必要に応じて追加開発を行っています。

――その施策とは、具体的にどのようなものでしょうか?

柴木:売上を伸ばすための施策は、多岐にわたります。新商品のプロモーションやレコメンドの実施、機能の開発や改修、外部のツールとの連携、弊社からのePlasの新規機能提案など、多種多様な手法を検討のうえ、実行していきます。

■クライアントの業務知識を持ち、実際の運用を想定した提案が可能

――デジタルコマース事業部ビジネスソリューショングループで、メインで扱っている技術はePlasということですが、このプラットフォームを使うメリットは何でしょうか?

大角:クライアント様のECサイトを、時代の変化に対応しながら臨機応変にカスタマイズできる点だと考えます。

アパレル企業A社様とは、2007年にePlasの提供を開始してから、15年以上お付き合いがあります。EC運営は「パッケージを納めて終わり」ではなく、運用に合わせて追加開発をしたり、サイトデザインをリニューアルしたりと、時代に合わせてECサイトを改善してきました。技術的に柔軟な対応ができることが、このプラットフォームを長く使っていただけている理由だと考えています。

――長年にわたってお取引を続けてきたということは、技術面以外でも何か強みがあるのではないでしょうか?

大角:技術面以外ですと、弊社メンバーにアパレル業界の知見やクライアント様の業務知識が豊富にあることでしょうか。クライアント様からご提案があったときも、積み重ねてきた知見・知識をもとに、システムに必要な機能を見極められます。

クライアント様からのご要望の多くは、「○○ができるようにしたい」というような抽象的なものです。しかし、ご要望をそのまま実装したとしても、他のシステムや運用フローに影響が出て、かえってクライアント様にとって不利益となるケースもあります。そのようなことのないように、業界知識・業務知識をもってご要望を検討し、施策を提案できることが弊社のEC運営の強みです。

――クライアント様のご要望はどのようにして実現しているのですか?

柴木:まず、開発のご要望は複数のブランドからかなりの数が来ますので、いただいたご要望を弊社内で一つひとつ検討し、開発のメリットやリスクなどを整理していきます。その検討結果をもって、開発の優先順位やスケジュールをクライアント様や弊社技術チームとも調整し、納期に間に合うようにプロジェクトを進めていく、というのが大まかな流れです。

――つい「クライアント様のご要望通りに」と考えてしまいがちですが、ご要望の調整も大切なフェーズなのですね。

高梨:そうです。ECサイトは単体で存在するものではなく、複数のシステムと連携しています。追加機能の開発は複数のブランドに関係しますし、EC関連部署のみならず、倉庫業務などを行う他の部署や会社にも影響がおよびかねません。したがって、「いかに今の業務を変えないように機能を追加するか」「いかに高品質を維持しながらスケジュールに間に合わせるか」を常に意識しています。

――そのようにクライアント様の他のシステムや業務まで子細に理解している会社は、少ないのではないでしょうか?

大角:話に聞いている限りですが、クライアント様の業務の細部まで把握したうえで提案ができる会社は、さほど多くないのではと思います。

かつて弊社も、クライアント様のご要望通りに機能を実装する会社と組んでプロジェクトを進めたことがありますが、運用できない提案になってしまい、再検討となることがありました。クライアント様のご要望といえども、やはりその裏の影響度まで突き詰めないと、機能・運用ともに満足のいく結果は出せません。

ベストな提案を行うためには、クライアント様のご要望にただ沿うだけでなく、運用時のフローや影響がおよぶ範囲まで想定することも必要なのだと思います。

■ECサイトのマーケティング分析もサポート

――ECサイトはパッケージ納入後の調整も大切なのですね。

大角:そうですね。もちろんクライアント様も、ECサイトを構築するだけ、リニューアルするだけで売上が劇的に上がるような、そんな極端なことはありえないと認識されています。仮説を立てて施策を考え、うまく機能するかどうか検証するというように、常に試行錯誤することが必要です。

そのようなECサイト改善において、弊社ではシステム開発以外に、マーケティング分析も行っています。サイトの課題を分析し、毎月クライアント様とともにレポーティングと提案の場を設けています。

――マーケティング分析とは、具体的にはどのようなことをするのですか?

高梨:基本的にはアクセス解析ツールを用い、サイトの訪問者数や売上金額、離脱率などの数値を集計し、前年と比べて数値の増減を分析して、原因を検証します。もし前年と比較して売上の数値が落ちているなら、「前年にセールなどの施策を行っていたか」「施策が奏功していたのであれば今後どうするか」というように関連性を分析し、打つべき手を探っていくのです。

また、アクセス解析ツールだけでは検証できない項目については、他のECの受注データを組み合わせて分析します。その結果、たとえばTシャツとパンツの組み合わせで買う人が多いのであれば、「Tシャツのみを買った人に向けて、パンツをレコメンドするメルマガを打つ」といった施策を検討できます。分析を長く続けていると、購買層の年齢や男女比率などブランドごとの特徴がわかってきて、より適切な施策を考えられるようになっていきます。

方法は他にもありますが、大まかにはこのような流れで分析を行います。

■ECサイトの活用に挑戦する、幅広い企業の支援を目指す

――最近ではECサイトを立ち上げたいクライアント様は多いのでしょうか?

大角:そうですね。昨今の状況の中、リアル店舗を持つクライアント様が売上減となったため、ECサイトを活用したいというご要望は多くいただきます。

ただ、ECサイトを立ち上げるといっても、リアル店舗をすべて撤収するわけにもいかないでしょう。その場合、リアル店舗でもECサイトでも同じように商品を買ったりポイントを使えたりする、「オムニチャネル」としての施策が必要になります。また、リアル店舗とECサイトの在庫をうまく配分することも考えなければならず、ご要望をいただいてすぐECサイト開設、というわけにはいきません。

――考えることはたくさんありそうですが、ECに詳しくない人からすれば、わからないことだらけだと思います。何かデジタルコマース事業部からのサポートはありますか?

大角:弊社には、EC運営のノウハウや、システムの技術、デジタルマーケティングの知識など、幅広く知見があるため、「ECサイトを立ち上げたいけれど、何をしたらいいのかわからない」というクライアント様を一気通貫で支援できます。

高梨:先ほども触れた通り、弊社が運営を代行することも可能です。最初はクライアント様とともに、ECの役割を一つの販売チャネルとして定義し、仮説を立てて、集客のための提案をします。このような試行や検証を2~3か月のスパンで繰り返して、運営していくことになります。

――ePlasについては、今後さらに機能を追加する予定はありますか?

柴木:今後は、リアルでもWebでも同じようにお客様一人ひとりに最適なサービスを提供する「ユニファイドコマース」という考え方を取り入れていく予定です。このユニファイドコマースは今、海外でも浸透しつつあるといわれています。この考え方を新たに導入し、さらに集客や売上アップが見込める、使い勝手の良いプラットフォームを目指していきます。

――デジタルコマース事業部のEC運営は、どのような企業とマッチしそうでしょうか?

大角:アパレル業界をはじめ、リアル店舗を持つクライアント様がECサイトを新たに立ち上げて運用するのであれば、弊社のノウハウが存分に活かせると考えています。これまでのEC運営の知見をもとに、最適な提案をして、クライアント様の収益化を目指せます。

もちろん、アパレル業界や食品業界以外のクライアント様とも、対応力を活かしてECサイト運営による収益化を目指し、ともにチャレンジしていきたいですね。EC運営に関心をお持ちの方やお悩みの方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

<デジタルコマース事業部のEC運営の詳細はこちら>
https://www.market.co.jp/digitalcommerceactivation/

<デジタルコマース事業部とは>
アパレル業界や食品業界などのECサイトの構築・運用を行う、IICの事業部の一つです。独自のECプラットフォーム「ePlas」をはじめ、さまざまな技術を活用し、ECサイトの構築や運用、マーケティング分析などを行い、デジタルコマース領域全般に携わっています。

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