見出し画像

めぐりあひて

紫式部

めぐりあひて 

 

私は結婚してから5年した頃 

ある女性を本当に大好きになった

 

彼女との出会いは ああ、私はこの人を愛するために

生まれてきたのだ 

そう思う体験だった。

 

そう、そんな体験は誰にでもあることかもしれないけれど

その時の私は、とても辛かった。

妻を取るのか 彼女を取るのか

本当に毎日が苦しかった。

 

彼女への募る思い 

妻への罪悪感

妻を捨てて 恋に走れない自分の性格

彼女をあきらめながら 恋をする切なさ 虚しさ

 

結局 1年半のお付き合いの末に

私たちは自然解消した

 

めぐりあひて 

そう私たちは 恋する人と巡り合うのです。

見しやそれとも わかぬ間に

前世からの運命なのでしょうか?

この広い宇宙の中で 出会うと言うこと

せっかく巡り会えたその刹那

ああ、この人だったとわかっていたのに

わからないもどかしさ

雲隠れにし 夜半(よは)の月かな

夜の月のように 消えていくあの人の姿


私はこの歌を 詠んで 

平安の昔の人々の 恋の悲しさを思った。

 

恋愛は 大きなドラマである

私の小さな体験でも 恋には普遍的なドラマがある

だからこそ 人間が恋に揺さぶられ 恋に傷つき

まさに死にそうになりつつも

それでも 恋こそが 生きる源であり

そして 恋だけが生きる全てではないことも悟のだ。

 

でも だからこそ 恋の持つエネルギーは

人を捉えて離さないのである。

 

古典なんて つまらない

そう思っていたけれど 歳を重ねて

源氏物語がどうして 今も語り継がれていくのか?

その中に秘めた大いなる力に

今私は救いを感じるのだ

 

あの時にあんなに苦しんだ恋 

あの恋があるから 今紫式部とこうして出会えたのだ。

 

平安の貴族たちの恋のごとく

令和の庶民の恋ぞ 儚き

 

その儚さぞ 一炊の夢なり

その夢を 胸に刻みて 歩みいづる

我らの足あとが

地球の上に残されていくこと

これが生きること 愛すること 書くことなのだ

 

紫式部よ あなたに 伝えたい

1000年の時を経て 私に届けてくれた メッセージ


私は生きていてよかった そう思うのだ


めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に

雲隠れにし 夜半(よは)の月かな


私の苦悩が いにしへのロマンの中に

昇華されていく 

いつもサポートしてくれて本当に感謝です。 文字があるから、私たちは生きていける。繋がっていける。 そんなことをかみしめて生きています。 イイねや ナイスや スキ そんな暖かな気持ちに ありがとう。本当にありがとう。