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何を話すかの前に

半年に2,3回のペースで、都内の高校に行って『社長のなり方』というキャリア教育授業をしています。

この授業は「自律的職業支援授業」として、企業の社長が依頼のあった高校を訪れて行います。基本的に1人の社長が1クラスの授業を担当し、それが2コマあるという構成です。

また『社長のなり方』というテーマは決まっているものの、何をどう話すかはそれぞれの社長に任されており、僕もその時に高校生たちに伝えたいことを考えて臨んでいます。

これまで多くの高校で授業をさせていただきましたが、授業に慣れない頃は日々の仕事とのギャップにとても戸惑いました。

囲碁教室の生徒さんたちは、自分が学びたいから通っているので、こちらが伝えたことを熱心に聞いてくれます。また質問も積極的にされたりと、お互いに熱量をもって接することができます。

対して高校生たちは、この授業は特別でもなんでもなく、学校が決めた授業の中の一つに過ぎません。そのため内容を聞いて「つまらない」と判断された瞬間、普通に寝てしまいます。

まぁ僕自身も、高校の授業ではけっこう寝ていました。しかしいざ自分が寝られる立場になると、当時の先生たちに謝りたくなります(笑)


そういう状況で授業を行ってきて良かったのは、講師としてのスキルを毎回とても鍛えられることですね。授業を通じて伝えたいメッセージを、興味を持ってもらえるように、いかにおもしろく話すか。どんなに良い内容でも、ただマジメに伝えるだけでは高校生たちには刺さらないのです。

いろいろと工夫してきた中で、一番大切に感じたのは、メッセージと同時に、僕自身のことをしっかりと伝えるということでした。

こちらは万全の準備をして臨みますが、高校生たちは「そもそもアンタ誰?」という疑問から授業が始まります。それが解消されないまま熱く語っても、こちらの想いは届きません。

まずは「私はこういう人で、こういう経験をしてきたんですよ。」という自己紹介をしっかりと伝え、高校生たちとの信頼関係を築く。その上でメッセージを伝えていく。この流れがうまくできた授業は、自分なりの手応えを感じられました。

何を話すかの前に信頼関係が大切ということは、当たり前といえばそうなのですが、時間制限(1コマ50分など)もあるので、メッセージをつい早く伝えたくなってしまうんです。ただそこをグッとこらえ、「この人の話を聞いても良いかも」と思ってもらえるようにしていく。

仕事において信頼関係がとても大切になるように、授業づくりにおいても同じことが言えるのだと、高校生たちから学びました。これから人前で話す機会があるときは、しっかりと意識していきたいと思います。

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