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2020年2月公開作品〜『プレーム兄貴、王になる』いよいよ2月21日(金)より

久しぶりの更新になってしまいました。

2月の公開、まずは、21日(金)より、『プレーム兄貴、王になる(原題:Prem Ratan Dhan Payo)』が公開に。踊って歌って神話も出てきて、さらには泣ける家族もの。これぞ「ボリウッド」といえる、多幸感あふれるマサラ映画。
※マサラ映画とは・・・涙も笑いも恋も家族も葛藤もダンスもあって幸せに終わる、大衆向け作品。

作品を手がけたスーラジ・バルジャーティヤ監督は寡作。サルマン主演作を再び手がける噂も出ているものの、これほど安心して観られるボリウッド作品は、当面出てこないかもしれませんので、ぜひ劇場でご鑑賞のほど。

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旧知の二人が紡いだ「古き好きボリウッド」

サルマン・カーンの父、サリーム・カーンは脚本家。ジャーヴェド・アクタルと共同で手がけた『Sholay(炎)』(1975)や『Mr. India』(1987)は、殿堂入りのヒンディー映画として知られる。〝親の七光り〟を持ちながらも、サルマン・カーンの映画デビューは脇役だった。ようやく映画2作目、バルジャーティヤ監督のデビュー作品『Maine Pyar Kiya(私は愛を知った)』(1989)で主演を得る。作品はヒットし、サルマンは人気俳優に。サルマンはバルジャーティヤ監督を、「自分をスターにしてくれた」と恩を忘れない。

二人が再び組んだ『Hum Aapke Hain Koun...!(私はあなたの何!)」(1994)がさらに大ヒット。バルジャーティヤ監督はその後、リティク ・ローシャンを主演に据えた『Main Prem Ki Diwani Hoon』(2003)、シャーヒド・カプール主演『Vivah』(2006)を監督したあと、約10年近く、監督作品が発表されていなかった。そして2015年。久しぶりの監督作品『プレーム兄貴、王になる』がインドで公開になり、ヒットした。

この作品が構想されていたと思われる2013〜2014年あたりは、ヒンディー映画にも新しい流れが入り始めていたころ。『時に喜び、時に悲しみ(原題:Kabhi Khushi Kabhie Gham…)』(2001)のような、豪華なサリーを着こなす母が登場する荘厳なマサラ映画は減りつつあった。2013年のヒット作は、『チェイス!(原題:Dhoom 3)』や、『チェンナイ・エクスプレス』『クリッシュ』など、アクションに力を入れたものが中心になっていく。1作品あたりのダンスの曲数も、1作品あたり3、4曲に減りつつあった。それを意図したかは分からないが、バルジャーティヤ監督は、再びサルマンとの作品を製作するにあたり、さまざまなアイデアを提案したというが、サルマンの「昔に戻ろう」という一言で、ダンスの曲数を減らさず、家族が絆を取り戻すストーリーを据え、あえて古い時代のボリウッド作品のスタイルで作られたという。

かつてのボリウッド作品といえば、例えば家族内の葛藤や分裂、ほんのりした恋愛、幸せの絶頂から、恋愛結婚を両親に反対されて落ち込むどん底などさまざまな感情が乱高下し、最後にどん底から幸せの絶頂に駆け上がるような、感情の振り幅が大きい作品が多かった。インドの芸術で必要とされる九つの感情(ナヴァ・ラサ)をもれなく盛り込んだような。2010年以降の作品の多くは、九つには満たず、その半分以下くらいに削ぎ落としすっきりコンパクト化の傾向にあると感じる。

『プレーム兄貴、王になる』を例えるなら、ひとまわりして帰省し、再発見した〝ふるさと〟のような作品。真新しいものは何もないし、驚きもないけれど、安心できる温もりがあって、心が穏やかに解れていくような。もちろんナヴァ・ラサ九つがすべて盛り込まれている。まさに、ボリウッドの王道回帰といえる作品。

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