夜更けに本を読む

 こんな夜更けに本を読んでいる。小説を読んで、疲れてきたら短歌を読んで、飽きてきたところで詩集を読んだ。満たされたような気もするし、満たされていないような気もする。そして今度は机に向かって、文章なんかを書いてみたりしている。眠るべきなのに眠るのが嫌なのはどうしてだろう。寂しいのに誰とも会話がしたくないのはどうしてだろう。誰にも答えなんか求めてないくせに、こんな問いばかり浮かんでくるのはどうしてだろう。

 あの詩人なら、こんな時に煙草を吸うだろう。あの小説の主人公なら、ウィスキーを飲むだろう。でも俺は、怖くて煙草は吸えないし、上手く酔えないから酒も飲まない。水道水を汲んできて、ぐいっと一杯飲むだけだ。何も誤魔化せないままで、夜が更けるのを待ってるだけだ。

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