パート1_第4回_冒頭用

治療家のための”伝わる”英語勉強法 第4回 英作文トレーニング

文:斎藤大介(JAPANESE SPORTS MASSAGE)


瞬発力は感覚重視で養う

前回ご紹介した『頻出表現』をある程度覚えると、かなり表現の幅が広がります。しかし実際の英会話で使えるようにするためには、さらに『瞬発力』を鍛える必要があります。
瞬発力とは、頭の中で考えなくても英語が自然と出てくるために必要な能力で、この能力 = スピーキングの能力と言っても過言ではありません。日本人はスピーキングが苦手な人が多いと言われているのは、受験勉強などの過程でこういったスピーキング力を伸ばすための勉強量が圧倒的に少ないからだと思います。

頭の中で一度日本語で考えたことを英語に変換して話すのではなく、母国語と同じように『感覚』で話すためには、継続したトレーニングが必要です。そのための最適なトレーニングは、ずばり『瞬間英作文』です!!

パート1 第4回 写真1

ご存知の方も多いかも知れないこの瞬間英作文シリーズは、英語学習者の中では話題のベストセラーです!
瞬間英作文シリーズの最もベーシックな1冊『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(ベレ出版)


英文を瞬時に作るトレーニング

瞬間英作文トレーニングとは簡単に言うと、日本語の文を見て瞬時に英文を作成するのを繰り返していくトレーニングで、もともと通訳の方を養成するためのトレーニングとしてできたものだそうです。
このトレーニングのメリットとしては

①相手がいないとできないと思われていたスピーキングのトレーニングを1人でできる。
②本を1冊買うだけなのでお金がかからない。
③頻出表現ごとにまとまっていて、さらに例文が多いので理解しやすい。
④自ら例文を作成してトレーニングすることもできる。
⑤1つ1つの文が短く、シンプルなので覚えやすい。

実際に本に載っている例文をいくつか紹介します。

・この本は面白いですか? → Is that book interesting?
・これは塩ですか砂糖ですか? → Is this salt or sugar?
・あの男性は日本人ですか韓国人ですか? → Is that men Japanese or Korean?
・彼はとても忙しそうだ(に見える)。 → He looks very busy.
・彼女はそのドレスを着てとても綺麗に見えた。→ She looked very beautiful in the dress.
・あなたのお母さんはとても若く見える。 → Your mother looks young.
・手伝ってくれる? → Will you help me?
・私に自転車を貸してくれる? → Will you lend me your bicycle?
・窓を開けてくれる? → Will you open the window?

以上のように表現別にまとまっているので、非常にわかりやすくどんどん進められます! 私も渡豪後、英語につまづいたときにこの本を紹介され、徹底的にこの本でトレーニングしたおかげで英語力が飛躍的に伸びました。いろいろと試しましたが、実際に使ってみて一番効果が高かったと感じた使用法をご紹介します。

①まずは日本語文を読んで英語に訳す&わからない単語を調べる

英語初級者は一度日本語で言いたいことを考えてから英語を話すと思うので、まずはこの段階で素早く英語が出てくるようにトレーニングします。それを何度も繰り返すことで考えなくても英語が出てくるようになります。私は本を3回通して読んだ段階で、ある程度の効果を実感しました。このトレーニングは気軽に行えるので、とにかく何度も何度も量をこなすことで確実に身についていきます。 

②英語文を読んで日本語に訳す

日本語を英語に訳すことに慣れたら、今度は英語から日本語を考えるという逆パターンも同じように練習することで一層理解が深まります。


③付属のCDを使って、耳から聞いた日本語を英語に瞬間的に訳す

『見た』日本語を訳すのではなく『聞いた』日本語を訳すので脳への刺激が変わり、より理解を深めるために最高のトレーニングになります。これはリスニングのトレーニングにもなりますし、より瞬発力が必要になるので、とても実践的なトレーニングになります。


④ひたすら繰り返す

①~③までのステップを何度も何度も繰り返し、身体にしみこませる。


⑤文章を自作する

自ら文を作成して、同じようにトレーニングするのもとても良いトレーニングとなります。


⑥別冊のシャッフル版を購入し、いろいろな文をごちゃまぜの状態でトレーニング

瞬間英作文トレーニングは表現別にまとまっていますが、同じシリーズであるシャッフル版は、いろいろな文章がランダムに混ざっているので応用のトレーニングとしてとてもおすすめです。

もちろん本を買わなくても、ご自身でリストを作成されたり、インターネット上にあるものをダウンロードすることで同じようにトレーニングすることは可能ですが、非常に多くの例文が出ていることとCDでのトレーニングができること、さらにとても安価な本なので、私は本を使ってまずトレーニングをすることをおすすめします。


また瞬間英作文の本以外でも、子供向けのかなり優しい日本語の本を1冊まるまる翻訳してみるのも良いと思います。
これらのステップをしっかりと行うことで、英語力の伸びを実感でき、英語を話すのが楽しくなってきます。とても重要なステップなので、コツコツと毎日続けてみてください!!

【今回の便利表現】


前回は聞き返しの表現を紹介しましたが、今回は相手が言ったことがわかりづらかったり、上手く聞き取れずに、もう一度確認したい際に使える便利な2つの表現を紹介します。

①You mean ~ ?(あなたが言っていることはこういう意味?)
You mean の後に相手が言ったことに対する自分の解釈を肯定文でそのまま言うだけです。


【例】
You mean, you don’t have pain now? (あなたは今痛くないということ?)
You mean, you have to leave here 2pm? (あなたはここを午後2時に出ないといけないということ?)


②~ , Right? (~ということ?)
さらにシンプルで、相手が言ったことに対する自分の解釈を肯定文で言って、最後にRight?と言うだけです。


【例】
You have head ache right? (頭が痛いということですか?)
You have never tried acupuncture right? (鍼治療は初めてということですか?)


私もこの2つの表現は日常で多用しています。患者さんは自分の症状のことを少しでもわかってもらおうと一生懸命説明しますが、説明が長くなったり、知らない単語があったりすると100%理解することはとても難しいことです。しかし、上記の表現で自分がわかった部分を確認することで勘違いを防げます。

完璧なリスニング力を持っている方以外はこういった技術で補って、コミュニケーションを円滑にしていきましょう!


※2016年7月15日にシアナサイトで掲載された記事を転載しています


パート1用

斎藤大介(さいとう・だいすけ)
1985年、群馬県生まれ。高校卒業後、柔道整復師、鍼灸師、あん摩指圧マッサージ師の資格を取得。2010年、ファイテン株式会社に入社し、企業のトレーナーとしてプロ野球選手、プロゴルファー、ビーチバレー、大学駅伝などの選手を担当。2014年に独立し渡豪。ゴルフの名門AnKゴルフアカデミーの専属トレーナーとして活動しながら、2015年8月にJAPANESE SPORTS MASSAGEをオーストラリア・ゴールドコーストに開業。プロゴルファーを中心に、水泳オリンピック選手、野球・ソフトボールオーストラリア代表などのアスリートや一般の方まで幅広く施術している。


東洋医学の専門出版社・医道の日本社のページです。鍼灸、あん摩マッサージ、手技療法、ヨガ、コンディショニングなど「身体を呼び覚ます」プロに向けて情報発信していきます。よろしくお願いします!