見出し画像

VR Simulator(スキー&スノーボード)の3つのブレイクスルーポイント

Ski & Snowboard Simulatorについて

私の所属する志賀高原「癒しの宿 幸の湯」では2019年2月より「Ski & Snowboard Simulator」という製品を使ったサービスを導入しました。

この製品はドイツ製で、日本には3台目の導入です。1台は北海道でブーツ開発の研究用に、1台は横浜でトレーニング用に設置されています。幸の湯は3台目の導入ですが「スキー場に設置」「高地に設置」「ホテルに設置」はそれぞれ日本初となります。

構成はビンディング部分とレールが一体化し、レールを左右のモーターがワイヤーで引っ張ります。

シミュレーターはスキーであれば外足のエッジ角度に従って反対方向へ引っ張る力を自動計算して生み出します。上の写真であれば右脚(外足)のエッジ角度に従って写真を見て右方向へ引っ張られます。雪上で言うとエッジを立てて板を踏み込みカーブしている最中に体にかかる力を擬似的に作り出しています。エッジを素早く立てればその分、強く引っ張られるのも雪上を再現しています。

スノーボードであれば1枚なのでエッジ角度がそのままモーターの引っ張る力になります。

写真のとおり室内で実施するため持ってきてもらうものはスキーであればブーツのみ、スノーボードはソフトビンディングの用意はありますがハードブーツ使用の方はブーツ+ビンディングをお持ちください。

UI画面では主にエッジ角度エッジ荷重が見える化できます。真ん中の人の下にある左右の数字がエッジ角度です。リアルタイムで反映されるため、エッジ角度を作るスピードや左右の差が一目瞭然となります。真ん中の人の上にある数字がエッジ荷重です。強い荷重をかけられているということは、板から来る荷重を体が逃していない、フォームの確からしさを数字で見ることが出来ます。他には左下の数字は想定する速度、右上の数字はターン数と消費カロリーを表現しています。

このマシンの凄さを3つのポイントでお伝えしたいと思います。(ここまでは凄さではなく機能の紹介です)

ブレイクスルー その1…30倍の練習効率

この練習方法の凄さは練習効率にあります。身近にいるスキーのプロコーチからの受け売りですが、スキーの練習量はターン数であるとのこと。スキーチームの1日中(3時間×2(午前午後))滑って25旗門×20回=500ターンが一般的な数字だとします(もっと多い可能性もありますが仮定として)。一般スキーヤーでガンガン滑る人も500ターンが上限と考えられます。

一方で、このシミュレーターでは30分で1200ターンすることが可能です。私の子供たちは日々やって慣れているので1500ターンすることも出来ます。スキー場と違いリフトに乗らないことが大きな違いを生んでいます。またスキー場では、コーチの話を聞いたりするなど滑っている時間と同じくらい、止まっている時間もあります。

スキー場:500ターン/6時間 = 1.3ターン/分

シミュレーター:1200ターン/30分 = 40ターン/分 

 40 / 1.3 = 30倍

ターン数だけを特徴量として見たら、30倍の練習効率を生み出すことがわかります。

ブレイクスルー その2…課題のあぶり出しとフォーム固め

シミュレーターと雪上の違いは他にもあります。まずシミュレーターは左右のターンをしている間、足より下の条件が延々に変わりません。(※実はシミュレーター側で「アイスバーン」などの条件を作ることは出来ます。)

雪上ではターン毎に雪の状況が違います。例えば雪が盛ってある、掘れている、硬い、もろい、など。そして雪上ではコーチは定位置に居て選手をビデオなどで見守り、1本に1回のみ、つまり10〜15分に1回アドバイスのチャンスが有り、ほとんどのターンは非常に遠目で見る必要があります。

シミュレーターでは常にスキーヤーとの距離5m以内でコーチが見守ることが出来るため、ターン1回毎にアドバイスをすることが出来ます。雪上で再現しようとすると、コーチが果敢なチェイスをする必要があります。さらに幸の湯のTraining labでは大きな鏡があります。

コーチが近くで見て1ターンずつに補正がかけられる&鏡で常に自分のフォームをチェックしながら滑ることが出来る、が 癒しの宿 幸の湯 では実施できます。「コーチに言われたこと、やっているつもりで実は体に反映できていない」を見える化することで選手本人のフィードバックを早くすることが可能です。これを雪上でやろうと思ったら、このサイズの鏡を背負った人がコースを直滑降しないと実現できません。(というか無理です)。

3月に元アルペンスキーヤーの佐々木明さんが来てくれました。その際に初めて会った選手の滑りを10ターンほど見て「左のお尻の筋肉が弱くてバランスが悪くなっているね」と、初めて見た滑りから弱点と改善点をすぐに分析していました。またシミュレーターのことを「このマシンは人の弱点をすぐに分からせてくれるマシンだ」と、私達が考えていたことと同じことを1分以内に言い当てていました。

世界のエンターテイナーの佐々木さんはマシンに慣れるのも異常に早かったです。

コーチがいない一般のお客様もご安心ください。癒しの宿 幸の湯には平昌オリンピックに帯同したナショナルチームコーチが常駐しており、シミュレーターの使い方、正しい動きを教えてくれます。別途コーチ料がかかりますのでお申込みの際に宿までお問い合わせください。一般的なスキースクール料金と同等の価格ですが、前述の時間効率を考えると30分コーチをしてもらうだけで1日プライベートレッスンを受けたような価値があります。

ブレイクスルー その3…「いつでも」効率的な筋力トレーニング

シミュレーターは雪が必要無いので1年中滑ることが出来ます。また室内に設置しているため天候に左右されることがありません。そのため、1年中通していつでも、同様の条件で同様の効率でトレーニングをすることが出来ます。ヨーロッパではスキー選手はシーズンに向けて10万ターンを蓄積していくことが一般的だと聞いております。このマシンであれば1日2,000ターンを50日行えば10万という数字に到達できます。

雪がない時期に雪がある場所に行く、というのも大変素晴らしいことですが、雪がない時期にシミュレーターでフォーム作りと身体作りを同時に徹底的にやる、という選択肢を提示して遠征に行くお金をかけられない場合にも練習が積める環境を提供したいと思っております。

また設置場所は1650mの高地です。アルペンスキーヤーが勝負する場所はスキー場のため、スキー場と同じ標高で、スキー動作が一年中出来る場所は日本でココだけです(2019年5月時点)。標高の高い場所で1分のレースをする持久力、体力を、スキー動作の中で身につけることが出来ます。陸上トレーニングよりも直接的に鍛えることが出来ます。標高の高い場所に設置してあるのは幸の湯だけです。(陸上トレや一般的な筋トレなども大事だという前提で)

また時間効率が高いということは、様々なトレーニングと並行して出来るということです。冬は日中雪上トレーニング、夕方にシミュレーターでフォーム修正することで1日で2倍のトレーニングが出来ます。夏はシミュレーターを使った上で陸上トレーニングや他のアクティビティに時間を費やすことも出来ます。ちなみに志賀高原にはSUP、キャニオニングなどのアクティビティを提供してくれる業者さんもいます。

おまけ:オリンピアンもたまに来るよ

前述の佐々木さんの他にも稼働開始からの2ヶ月でオリンピアンが多数訪れてくれています。教え子を連れてきたり、遊びに来てくれたり、楽しめる空間を作りたいと思っています。

スノーボードの野藤さん、コーチとして来てくれてるはずが自分も乗るというツワモノ

「Ski & Snowboard Training lab」の設立

皆さんとともに、新しい領域でスキーの新しいトレーニングについて研究したく、「Training lab」と名付けました。今の環境にこのマシンがあり、日本のスキー強化にどのように貢献できるかを研究していきたいと思います。

よろしければぜひページへの「いいね」をお願いします。

まとめ

訪れてくれるお客様は「新しい発見をした」と言って帰ってくれます。そしてコチラが驚くくらいハイペースで通っていただいているお客様、コーチが率いるチームもあります。ある一般スキーヤーのお客様は「今まで20年間やってきたスキーが変わった!」と言って喜んでスキーをしに行って、帰ってからも興奮して話してくれました。

まだまだ未完成を自覚しながら、新しいトレーニング、新しい効果、新しい発見を皆様と経験したく、頑張っていきます。是非一度体験しに来てください。

ご予約はコチラから↓↓↓



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?