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学生ブランド失効期限に花束を

菊地里帆子
武蔵野大学 グローバル学部4年→日本財団


『「若い」の賞味期限は案外短い』
最後の授業で森山さんが口にした知見です。
進学校の制服を脱ぎ捨て、学生ブランドを存分に振り翳した5年間の大学生活を終えるわたしが新しく手にする武器の名前は「若い」と言います。
今からその「若い」の賞味期限を延ばす方法をIAで手に入れた話をします。
金融リテラシーに関しては月並みなことしか述べられそうにないので、どうか他のアルムナイの方の言葉を参考にしてください。
所謂文系で、クリエイティブに生きたいと願っていて、自分の可能性は青天井だと知っているあなた宛てにわたしはnoteを書きたいと思います。

本当に共創せざるを得ない企業コンサル

自分たちで舵を取らないと本当に何も起こらないPJは早々ありません。
世の中には学生共創やら大学生との共同PJやらそういう類のものが腐るほどあります。
ただ大抵の場合、枠や期限が決まっていて、協力してくれる大人はアサインされていて、上げ膳据え膳のPJを就活のネタとしていくのが常です。
でもIAの企業コンサルは、0→1の作業を永遠に繰り返します。
では5期はそのコンサルで何をしたかというと、『塗る・切る・磨く』をスローガンにしたMipox社のRefliteの可能性を熟考しました。

“何も決まっていない”を捉えるチャンス

一般的な学生生活をしていては、一企業の社長や工場の責任者と言葉を交わし、どれほどの熱意か知る由もなかったと思います。
一番に驚いたことは“本当に何も決まっていない”ことです。工場見学をして、セミナー形式で工程を学び、今後の話に耳を傾けても待てど暮らせど明確なターゲットがない。「わたしは3時間かけて京都に来て、何も決まってない、という話を詳らかに聞きに来たのか…!」と度肝を抜かれました。限りなく0に近い1の解像度を上げるためだけに、自分は連れてきてもらえたのかと感激したのを覚えています。
下記は5期開始1か月時点で得た3つの糧です。
①0→1の作業を学生時代に追求した経験
➁忖度なしで自分の意見を述べる度胸
➂本当に意味で共創してくれる企業との接点を活かす力
このようなチャンスは早々落ちてきません。企業自体がまだ何も決めていない段階に無知な学生をアサインするメリットはほぼ無いはずだからです。
“何も決まっていない”を自分に落とし込む実体験を積み重ねる場所、それがIAの企業コンサルです。

不便と逆張り

“不便と感じる頻度”を指折り数えたことがあるでしょうか。
各務さんの『デザイン思考の先を行くもの』という本の中に「もし「デザインのセンス」と呼べるものがあるとすれば、それは「不便と感じる頻度」ではないか」という一節があります。
わたしは約8年不便をひたすら数えて生きてきました。
中学3年生で起業に挑み、誰が・いつ・どの頻度で・何を・どの温度感で求めているのかと向き合ってきました。
なかでも温度というのは、ひととコミュニケーションをとるときのわたしの軸にあたります。わたし自身東日本大震災の津波で被災をし、温度感の難しさを沢山経験してきたからです。
温度の違いで起きる不都合は23歳の小娘が語れる範疇ではないにせよ、相手がどの頻度で、どの温度感の情報を摂取したいのかを見誤って起こるミスコミュニケーションは勿体ないと思っています。
論理的・定量的に加え、感情的な面を考慮して商材を考えることは骨を折りました。
不便と逆張りを意識し、企業側の温度を大切にした結果得た学びは
➃「デザインのセンス」と呼べる力を養いたい向上心
使いづらい・分かりづらい・扱いづらい。
モノでもヒトでもそんな不便を改善して、わたしも各務さんのように「こうすればいいのに」という逆張りをカタチにしてみたい、そういう思いで今回のコンサルに挑み、提案に至りました。

複数のアイデンティティの交錯

まず、自分の中に複数のアイデンティティがあるという気づきを得ました。
本質的に持ち合わせた個性以外に、メディアや友人からの影響に無意識的に呼応し、戦略的にアイデンティティの使い分けができるようになったと大いに実感しています。
長所と括れなくても特徴とは呼べそうなものを沢山見つけました。
加えて、アイデンティティに溢れた環境でそれぞれの特徴の化学反応を味わうことができました。濃度の高い、~らしい考え、~らしくない提案、を聞く楽しさはここ数か月で覚えたような気がします。
➄「~らしい」と「~らしくない」を面白がるテクニック

「若い」の賞味期限を延ばす方法

ここから先の社会人生活は地図がありません。
それにもかかわらず、秒針付きの腕時計ではなく期限が曖昧な砂時計を持って生きていくようなものです。
「若い」を美味しいと思ってもらえる賞味期限はいつまでだろう、加えて、消費期限は何年後だろうと、オリフィスに目を凝らしていくのだと思います。
3月31日に学生ブランド失効期限を控え、社会で「若い」を最大限に活かせるようIAで得たことは全部で5つ。これらがあれば「若い」が美味しくなくなるギリギリまで自分の価値を届けていけそうです。
①0→1の作業を学生時代に追求した経験
➁忖度なしで自分の意見を述べる度胸
➂本当に意味で共創してくれる企業との接点を活かす力
➃「デザインのセンス」と呼べる力を養いたい向上心
➄「~らしい」と「~らしくない」を面白がるテクニック

最後に

なにより“2023年の5期生”に出会えたことは大変な幸運でした。
列挙すればチープかもしれないけれど、どの瞬間も忘れ難い思い出です。
山手線で“株 投資 基本”と調べて観たYouTube、京都から筋斗返りして授業まで時間を潰したスタバ、23時まで改札前で将来を語り尽くした夜、バイト帰りに重ねたMTGや熱海駅までのドライブ。
女子会のために用意されたGoogleフォームや、大晦日深夜にかかってきたグループチャットの謎の電話にはときに首を傾げて笑いながら、大学生「らしい」と「らしくない」を一気に経験できた数か月でした。
 
いつか自分が明るくない分野で困ったときに頼れる友達ができるように、
また自分が手を差し伸べる側になれるように、そういうコミュニティになれば
という森山さんの言葉に報いる人材になりたいと強く思う場所がIAです。
卒業旅行で写ルンですに閉じ込めた、27枚の瞬間を糧に4月から社会人生活に臨もうと思います。
彩溢れた個性の花束を抱え、失効期限を心待ちにする機会はきっと後にも先にもないでしょう。
わたしの23歳に花を添えてくれた5期生に敬意を示すとともに、不確実ながらも希望に満ちた未来を用意してくださった森山さんをはじめとする皆さんに心から感謝しています。
今回幸いにもここに記す機会をいただき、かけがえのない幾許の思い出を残したことが、金融業界に明るくない文系、芸術系、ゼネラリストを目指す誰かにとって一歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです。


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