Shasha

旅、暮らしについて。

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  • ロサンゼルス生活

    2014-2016ロサンゼルスでの生活をつづります。

記事一覧

メルローズ通りのアパート

ロサンゼルスに住んでいたころ、大小合わせて6回引越しをした。そのうち半年間住んだ3件目の家は、メルローズ通りとヴァイン通りの一角にあった。 住んでいた部屋を数日後…

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4年前
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入道雲がもくもくと空に伸びている。 真っ青な空とのコントラストがうつくしい。 地元の祭りは7/15を皮切りに30日で幕を閉じる。 生まれ育った町のお祭りの、すべてのス…

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4年前
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そばかす

わたしの顔にはそばかすが散らばっていて、おまけにほくろもいくつかある。 小学生のころからあるそばかすは祖母譲りで、デリカシーの欠片もない男子たちに「ソバソバ〜」…

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4年前
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高1の妹

6月24日、くうが16歳になった。 私はとにかく動物が大好きなこどもだった。 犬か猫と暮らしたかったけれど、賃貸だったのもあってその夢はなかなか叶わず、バッタ・カブト…

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4年前
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ロサンゼルス、二年目の記憶。

アメリカ ロサンゼルスに住んでいたときのこと。 夜間の語学学校に通っていた時期がある。 そこに来るのはある程度語学力のある生徒ばかりで、ビザのために通っている人…

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4年前
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下町のあったかさに触れた朝。

ある晴れた日の午前中。夕食の買い出しに出かけるため見慣れた街を歩く。この街で生まれ育ち人生のほとんどを過ごしてきたけれど、平日の午前中にただ歩くなんてことはこれ…

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4年前
19

仕事やめた

仕事やめた。って聞くと大変な決断をしたように聞こえるけれど実際のところそうでもない。 眠れない日曜の夜を何度も繰り返して、毎日憂鬱に出社する日々に未来を見出せな…

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4年前
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メルローズ通りのアパート

ロサンゼルスに住んでいたころ、大小合わせて6回引越しをした。そのうち半年間住んだ3件目の家は、メルローズ通りとヴァイン通りの一角にあった。 住んでいた部屋を数日後に退出しないといけないのにまだ引越し先が決まっていなかったルームメイトと私は非常に焦っていた。ふたりで沈んでいても仕方がないので、気晴らしに甘いものでも食べに行くことにし、3rdストリートにあるカフェに入った。焼けるように甘い大きなチョコレートケーキをラテで流し込むと緊張がほぐれていく。 「どうにかなるよ、こんな

入道雲がもくもくと空に伸びている。 真っ青な空とのコントラストがうつくしい。 地元の祭りは7/15を皮切りに30日で幕を閉じる。 生まれ育った町のお祭りの、すべてのスケジュールが体内に刻み込まれている。その日付で夏を確かめているようなもんだ。 地元で一番大きい祭りの日には必ずと言っていいほど雨が降り、その翌日に梅雨が明ける。今年は祭りもなければ梅雨もなかなか明けなかった。 2020年、夏が消えた。 祭りが、イベントが、海水浴が、バーベキューが、川遊びが、こどもたちの長

そばかす

わたしの顔にはそばかすが散らばっていて、おまけにほくろもいくつかある。 小学生のころからあるそばかすは祖母譲りで、デリカシーの欠片もない男子たちに「ソバソバ〜」とちょっかいをかけられたけれど、わたしはそれにひるむほど繊細ではなく、彼らを追いかけ回せるほどには元気で健気な少女だった。 気にしていなかったわけではない。このそばかすが無ければ……と幾度となく思った。 幸い大きくないほくろは思春期を過ぎたころからポツポツと姿を現した。 ビタミンCのサプリメントやシミそばかすに効

高1の妹

6月24日、くうが16歳になった。 私はとにかく動物が大好きなこどもだった。 犬か猫と暮らしたかったけれど、賃貸だったのもあってその夢はなかなか叶わず、バッタ・カブトムシ・金魚・めだかなど、できるだけ世話のかからない命(母にとって)を飼うことでその欲求を満たしていた。 それでも道に野良猫がいれば近寄って撫でまわしたし、祖母の友人の家にいた中型犬のブッチを自分の子のように愛したし、両親への犬猫がほしいアピールを何年も続けた。 そんな我が家に転機がやってきた。 両親がマイホ

ロサンゼルス、二年目の記憶。

アメリカ ロサンゼルスに住んでいたときのこと。 夜間の語学学校に通っていた時期がある。 そこに来るのはある程度語学力のある生徒ばかりで、ビザのために通っている人が大半を占めていた。 昼間は働いて夜に学校に来る人が多いからか生徒の平均年齢も高く、落ち着いた空気が心地よかった。 そこで出会った人たちについて。  ある韓国人の男の子には、頻繁に連れ回されては飲みに飲まされた。韓国料理の美味しさを知ったのもこのとき。彼はかなり反日精神が強かったけど、それでも日本人の私を妹のよう

下町のあったかさに触れた朝。

ある晴れた日の午前中。夕食の買い出しに出かけるため見慣れた街を歩く。この街で生まれ育ち人生のほとんどを過ごしてきたけれど、平日の午前中にただ歩くなんてことはこれまで数えるほどだったと気づく。知っているはずの街の知らない店や風景に出会えるとなんだかうれしい。 肩にさげているエコバックはメルボルンのオーガニックスーパーで買ったものでマチもあり、ビニール袋なんかより何倍も頑丈で気に入っている。特売のたまごや農家から直送された野菜をメインに買い物をすませ、重くなったバッグを抱えて歩

仕事やめた

仕事やめた。って聞くと大変な決断をしたように聞こえるけれど実際のところそうでもない。 眠れない日曜の夜を何度も繰り返して、毎日憂鬱に出社する日々に未来を見出せなかったし、そもそも海外行くための資金を集めるためにつなぎのつもりではじめた派遣の仕事だったから。これからどうするんだと周りに心配されようと自分の気持ちは固まっていたので、契約更新をしないと伝えた瞬間、すーっと楽になった。 それは1月なかばのことで、その頃はまだ世間がコロナで騒ぎ始めたころだったので、ヨーロッパにいく