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色覚異常(色弱)とデジタル着彩

IDeeezです。グラフィックデザインをやったりイラストを描いたりします。
なんか全然いつもとテイスト違うんですが色覚異常(色弱)とデジタルイラストの着彩方法の噛み合わせについて考えたはなしです。

結論から言うと色弱の気があるデジタルイラストレーターはトーンカーブ等の色調補正機能+グリザイユ画法で画面を作ることにより色弱であることによる厚塗りのハードルが幾分下がるんじゃねと思いました。

このエントリはかなり主観的かつ論拠がクソ不足してる上、僕の色覚異常に対する解釈が間違っている可能性もあるので信憑性がぜんぜんないという事だけ念頭に置いて読んでくれ!ただ僕がそうなんじゃねと思っただけです。

前提1: 色調補正機能+グリザイユ画法ってのはなんぞや?

これのことです。

ようするに最初にグレーで無彩色の絵を描き、後からトーンカーブ等の色調補正機能を使って色をつけるという描き方です。

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画像で説明するとこういうことです。着彩後の赤は僕が手を動かして塗った訳ではなく、着彩前の無彩色の明暗を元に、トーンカーブを利用して色相をいじって色をつけています。

前提2: 正常色覚と色弱のちがい

いつだったか読んだナショナルジオグラフィックの色覚に関する連載。この記事は長いけどマジでおもしろいから普段色を使うような活動をしてる人はぜひ読んでくれ。
この記事内では便宜上「正常色覚」と「色弱」ということばをつかいます。

クソ雑に説明すると人間には2色型色覚(色弱)の人と3色型色覚(正常色覚)の人がいて、長らく正常色覚の方がどう考えても有利だろということになっていた…
しかし研究の結果、人間の赤&緑の色覚は明暗を使って輪郭を見るための神経回路をそのまま流用しているので、正常色覚の人たちは赤緑をよく認識できる代わりに明度/輪郭を見る能力が犠牲になってるし、逆に色弱の人たちは赤緑はよく認識できない代わりに明度/輪郭を見る能力は正常色覚の人たちより優れてることがはんめいしました!よってどっちが正常とか無いです!トレードオフです!みたいな話です。
ゲームやってるとパワータイプとスピードタイプどっち選ぶ?みたいなのあるじゃないですか、アレです。運用次第
実際色弱のイラストレーターとかって少なくない(観測範囲で)のももしかしたらこの辺のことが関係してるのかもしれない。

本題: なんでグリザイユ画法と色弱の噛み合わせが良いとおもった?

ここからは僕が絵を一枚描いたことだけによる所感なので急に説得力がアレになりますが、これは僕がこの前描いた絵です。初めて上記の色調補正機能+グリザイユ画法を使って着彩しました。何が言いたいかと言うと、色弱の気がある僕にとってメッチャやりやすかったって話です。
画像2

僕は若干色弱の気があります。そこまでクリティカルに困ったことは無いけど黒板に赤チョークで書いた文字がマジで読めないとかそういう優しめの色弱エピソードがいくつかあります。とはいえ今まで散々色を使う為の勉強をしてきたし、色に関して人並み以上に感覚と理屈で理解できていると思っている
でもこういう厚塗りみたいな画面内に存在する色数がやたら多い絵は別の着彩方法で何度か試した結果、色の導入により明度がよくわからなくなる部分があり(ていうか1つの色の選択に対して考えることが多すぎる)カラーマネジメントがたいへんなので完成させられず、向いてないなと思い、絵を描くときは線画+ベタ塗りでやってました。僕は通常こういうスタイルで絵を描きます。
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んで今回厚塗りで描いてみようと思い立ったときに上で紹介したナショジオの神記事を思い出し、心のデジタル着彩ギャルが「色弱由来で厚塗りが苦手なのであればストロークごとに色変えなくてもいい塗り方(=色調補正機能+グリザイユ画法)に変えれば描けんじゃね?」と言うのでそれを採用した結果マジでうまくいった…という部分で、グリザイユ画法と色弱イラストレーターの噛み合わせは良いんじゃないかなと思いました。

この描き方は最後にトーンカーブでまとめて色を制御できる為、絵の全体が完成するまでほぼデッサンであり、ナショジオの記事で述べられている色弱の人は明暗を使って輪郭を見る能力に秀でているというのが本当にあるとしたらそこの噛み合わせもいい気がする。でも僕は色弱だけどその代わりに人より輪郭識別能力が特別優れていると感じたことはないです。

まとめ

そういうような理由で、色弱由来で塗りが進められない人(程度によるとも思いますが)は色調補正機能+グリザイユ画法を採用すれば、厚塗りのハードルが幾分か下がるんじゃないかなと思いました。
僕は全然こういうのやってこなかったのでデジタル着彩に対する造詣が浅く、もしかしたらもっと良いやり方あるかもしれないですが、とりあえず今僕が持っている知識の中だとここの噛み合わせは良いように見える。

とはいえ最終的には経験と知識でいくらでもなんとかできる部分だと思うので、そこを考えるより枚数描いた方が早いだろみたいな言説もあるが、せっかく色弱という要因由来で技法を選ぶ経験をしたので書いてみたというエントリでした。
眠いしビールを飲んでるので、後で読み返して破綻しまくってたら消すかもしれないです。

おわり

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