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素人の考古学―東京都多摩川上流その1(府中・国立市)の古墳巡り

●府中市周辺の古墳群

府中市周辺は、武蔵野の天平の史跡のまち、7世紀頃にこの地方の有力者の古墳が築造され、すぐその後に東山道が通り、次に武蔵国の国府が置かれ、国分寺、国分尼寺が造られ、武蔵国の中心地となった。

(武蔵国分寺址)

今回はこの史跡をたどりながら当時に思いをはせる旅であった。

各遺跡には付属の資料館があり、詳しい説明と、出土遺物を見ることが出来た。

以下国府が置かれる直前の主な古墳である。
 

1.   武蔵府中熊野神社古墳(国史跡)

上円下方墳、7世紀中、同型は全国に5基。非常に稀少な形の古墳で、全国で最大規模を誇る。3段構造で各段とも盛り土で築かれている。1段目と2段目が正方形で、3段目が円形。2段目と3段目は全面が河原石で覆われている。

(武蔵府中熊野神社古墳)

石室は横穴式石室で3室構造。

出土遺物は、殆んど残っていないが、ガラス玉、鞘尻金具、環金具、釘が残されている。注目は、鞘尻金具に刻まれた「七曜文」という文様で、富本銭にも見られる文様。

このあたりには60基以上の小古墳があり、地域の有力者の墓と考えられる。

(鞘尻金具に刻まれた「七曜文」文様)

2.   分倍河原高倉塚古墳

府中近辺には古墳が少ない。武蔵国造の乱があったり、中央の直轄領である屯倉が置かれた為、古墳の空白地帯になったと考えられていた。

しかし分倍河原駅付近の、府中崖線の斜面上に、高倉古墳群がり、27基の古墳が確認されている。

直径20ⅿ、高さ2.5mの円墳、6c前半。銀象嵌太刀出土

(高倉塚古墳)

3.八雲神社古墳

高倉古墳群の一つ。直径14ⅿ、高さ3ⅿの円墳

(八雲神社古墳)

4.御嶽塚古墳

高倉古墳群のひとつ。付近では13基確認されている。直径23ⅿ、高さ2ⅿの円墳、6c前半

(御嶽塚古墳)

●国立市周辺の古墳

5.下谷保古墳2号墳

 下谷保古墳群は4基の古墳から成っている。近くで下谷保遺跡が発見され 
 ていて、古墳群を造った人たちの生活拠点とされている。

 12x1.56m円墳。6c末~7c初

(下谷保古墳2号墳)

6.   四軒在家古墳1号墳

 10基の古墳が発掘された。7c前半に造られた。

 墳丘の周りに周溝が掘られ、円墳の中央の埋葬施設は、多摩川の河原石を 
 積んだ横穴式石室があった。木棺が使用されていた。

 埴輪が発見されず、墓制の違う移住者のものと推定されている。武器や装
 飾品が副葬されており、集落の長クラスのものとされている。

(四軒在家古墳1号墳)

              以上

             小兵衛  

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