素人の考古学―東京都心の古墳群巡り
古墳時代はまだ海進により東京の深くまで海がいり込んでいて、都内も低地は海の中で住居や古墳は多摩丘陵部先端部のような高台に作られていた。
その古墳も都市開発によりほとんど消滅してしまい、現存するものはわずかである。
中でも港区芝公園内にある芝丸山古墳は4cの大和王権との関係が伺われる大型前方後円墳である。その他の古墳は古墳後期の円墳が多い。
保存状態は非常に悪く、残っている遺跡もいずれ消滅してしまうので今のうちに確認しておきたい。
1.芝丸山古墳 (都指定史跡)
港区芝公園内の標高16mの台地の先端部に位置する。
3c末~4c 仁徳天皇陵古墳より早い築造。
112m前方後円墳で都内最大級の規模。埋葬施設は確認できず。周辺に10基余りの円墳が存在していたがこれらは6cの築造と考えられる。
武蔵野台地が東京湾に向かって突き出た東の端に築造されている。丘を削って整えて作られており周溝は無い。
当時の海上交通を差配した人物が埋葬されていたと考えられ、大和政権連合の一員であったと考えられる。
丘陵南側の斜面には縄文時代後期の貝塚が確認されている。
2.摺鉢山古墳
上野公園内にある、墳丘長70m高さ5ⅿの前方後円墳。築造は芝丸山古墳と時代はほぼ同じと考えられている。
武蔵野台地の突端部の上野台地に築造。この辺りには古墳が集中していて、総称して紫竹川古墳群と呼ばれていた。桜雲台古墳の跡には東京文化会館が、蛇塚古墳の跡には東京都美術館が、表慶館古墳の跡には東京国立博物館がそれぞれ建っている。
埋葬施設など詳細は不明。
かつては周囲に円墳群が分布していたが、現在は消滅。
3.猿楽塚古墳(渋谷区指定史跡)
渋谷区代官山に大小2基の円墳があり、猿楽塚は直径20mの円墳。6~7c築造。
マンションの中庭にある。学術的な調査は行われていない。
4.富塚古墳(新宿区登録遺跡)
新宿区の早稲田大学9号館辺り。この辺には多くの古墳が存在している。
円墳または前方後円墳。古墳時代後期。学術的な調査が行われていないため詳細不明。
5.飛鳥山1号古墳
東京北区飛鳥山に6基の円墳が確認されている。
直径31mの円墳。古墳時代後期の築造。
周溝と横穴式石室が確認されている。太刀、切玉、ガラス小玉など出土。
武蔵国造配下の豪族が、飛鳥山麓の低地地帯を農耕地帯へと開拓し、台地上に古墳を築いた。
6.白山神社古墳
東京都文京区の白山神社の北側に位置。
径29m高さ4mの円墳。未調査の為詳細は不明。
文京区には6基の古墳があったといわれ、墳丘が存在するのは、富士神社古墳と白山神社古墳である。
7.富士神社古墳
文京区本駒込にある。旧加賀前田侯の邸内にあったものを、寛永5年にこの地に遷座したものといわれている。江戸七富士の一つ。墳頂に富士神社がある。
全長45ⅿ、高さ5.5ⅿの前方後円墳、未調査
以上
小兵衛