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【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第四部  第五十六話「お豆のヒット」

第五十六話「お豆のヒット」

とりあえず宝石王国の存在がばれない限り、

この国から狙われる心配はないだろう。

宝石王国なんて私も見たことないし、

王女だと言われてもピンとこない。

そんなものを信じる者はいないだろう。

後は宝石王国からフォスを狙って、

誰が来るのか。

それだけ分かればいい。

不安材料を一つずつでも消していかないと。

瑠璃がシアンの食事を済ませ、

朝食を用意しているとフォス達が起きてきた。

洋服も魔法で好きなウェアを作っているので、

お金は略食費のみで助かる。

最近は瑠璃も自分のウェアは、

魔法で作れるようになった。

おかげでフォスのお気に入りも作れて便利だ。

フォスが好きな動物の耳。

パーカーにも耳付きクマやネコ、

ウサギを着たがるので、

今日も上下セットで着ている。

動いてポーズを取っている姿に笑った。

トイレのお漏らしが少ないのも、

とても助かっていた。

王国問題が片付けば、

フォスのこれからを真剣に考えてあげないと。

「ほら、ご飯ですよ」

人数が多いので、朝食はパンが多くなった。

フォス達も喜んで食べてるので、

具材だけを変えて作っていた。

大家族のお母さん達は大変だろうな………

瑠璃はにぎやかな食卓を笑顔で見ていた。


その後も会社のアクセサリーは順調に売り上げを伸ばし、

ある日ハンドメイドイベントの主催者から、

出店して欲しいとの依頼が来た。

見ると瑠璃が参加するアクセサリーイベントだった。

「えっ? 瑠璃ちゃんが参加するってイベントこれなの? 」

太一が驚くように言った。

関東では大型イベントの一つだ。

「どんなの出すの? 」

翠も気になったようで聞いてきた。

「人気デザインの調査も兼ねて、

少し変わった天然石のアクセサリーを作ったの」

幾つか撮ったスマホフォトをだすと、 

「わあ、可愛いね。そっか、うちでも販売してるけど、

こういう組み合わせは考えてなかったな」

太一が勾玉を見て言った。

「ちょっとコストがかかるから、

大量生産には向かないんだけど、

人気があるならこういうのもありかなと思って」

「そうだよね。このお豆ってタイトル可愛いね」

春木が翡翠、グリーンアゲートを見て笑った。

「そら豆みたいでしょ。うちの………知り合いの子が、

これを見てお豆が可愛いって言うんで、

レジンでさやを作って組み合わせたのよ」

瑠璃はうちの子と言いそうになるのを慌てて飲み込み、

説明した。

「これは人気が出そう。

売れるならうちにも卸してもらえるかな。

勾玉は用意できるからさ」

太一も真剣に見ていた。

「いいですよ」

瑠璃が笑顔で言った。


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